学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

南京       発
  十一月十一日前
本省       着

有田外務大臣
須磨総領事

第九一二号の一ー五
往電第九〇三号に関し
川越大使より
本使張群との会談は張不在なりし為(例の内報に依れば張は熊式輝と共に七日洛陽に赴き蒋に面会し其の指示を受け九日帰寧せるものなるが張自身及び外交部当局は右旅行の事実を秘し居れり)本十日午後三時より二時半に亙り行いたるが其の要旨左の通り

一、
先ず本使より支那側に於いて依然交渉を纏むるの決心なりやと資したる処張は速やかに交渉の解決を計らんとする方針には変更なき次第なりと答え日本側にては支那が遷延策を執りつつありと観測する向きもある由日本の新聞等にも見え居るも国民政府としては本件交渉を遷延せしむることに依り何等得る所なき次第を充分覚り居り決して斯かる不得策なる手段を弄する意思なしと弁明せり依って本使は果たして然らば議論は既に之を尽くし日本側の要望に付ても徹底したるものと察せらるるに付此の際明確に支那側の態度を表示し本件交渉を速やかに纏むること然るべし本使に於いても此の希望に基づき過日須磨をして高宗武と会見せしめ極めて大胆なる試案を提示し本使の責任に於いて
交渉の妥結を図る決心なることは既に高よりも報告ありたる所なるべきが要するに一般反共協定問題は我方に於いては屡々説明の通り両国国民の共同目標を示し両国関係を改善せしむる絶好の問題として其の受諾を要求したる次第なる処国民政府に於いては其の趣旨に異存なきも今直に協定を締結し実行すること対内関係上到底不可能なりと固執する以上前述須磨試案の如く他の事項に付日本側の要望を容るる決心なるに於いては同協定は暫く之を他日に譲り時機を見て実行することとするも或は已むなきかと考慮し居る次第なるが是非共右試案の通り承諾することを希望するものなりと告げたり
二、
右に対し張は先ず北支防共問題を持出し国民政府が国策の一大転換を為して右協定の趣旨に賛成したる点は依然変る所なきも支那として斯くの如き決心を為す以上日本側に於いても蒋及び国民政府の対内的立場を考慮し冀東政府の解消及び綏東偽軍の解散を実行せられ度し元来北支防共協定問題に関しては嘗て有田大臣と会談したることあるが其の当時支那側は満洲問題の解決を条件としたる程なるが今回は之を変更し日本として寧ろ遣り易き冀東及び綏東問題のみを之が条件と為したる点に充分同情せられ度し実は今回の交渉の初に於いては塘沽協定の廃止も本件協定問題の条件となり居りし次第なるが自分(張)の努力に依り之丈は引込め結局冀東及び綏東の二問題のみを条件とするに至りしものなりと述べたるに付本使は冀東政府問題は之迄屡々説明せる通り防共問題とは全く関連性なき問題にして之と結び付けて解消又は変更するが如きは事実上不可能のことに属し去る九月二十三日会見の際本件協定を論議したる際も支那側に於いて何等の条件を付し居らざりしものにあらずやと告げ共同委員会設置を求めたる処張は飽迄冀東政府の解消問題を固執し此の点は蒋も絶対に譲らず今若し冀東問題を解決すること不可能ならば本件協定も或時期迄延ばすの外なしと答えたるに依り本使は抑々外蒙が現在の如き状況にあり蘇連の赤化勢力が此の方面より侵犯する以上日本は其の自衛並びに生存の必要より適宜の措置を執らざるべからず即ち日本の対内蒙政策は此の点に出発するものにして本協定を締結することは支那側に取りても極めて有益なるものなる旨を説きたるに張は其の点は蒋も良く承知し居る所なりと答えたるに付
本使は九月二十三日の張の国策転換の言明を繰返し支那側に於いては既に我方提議に賛成したるものと認むるが如何と念を押したるに張は素より其の趣旨を変更する訳にあらず蒋も同様にして絶対に共産主義を排撃し蘇連と提携するが如きことは毫も考慮し居らざることは茲に断言し得る所なるを以て日本側に於いても右蒋の態度に信頼し其の実行の時期を後日に延ばす雅量を示され度し本件協定に関する支那側内部の困難なる実状は到底御話にもならざる程度なりと零せるも本使より種々説得したる結果本件協定問題に付須磨と高宗武との間に於いて案を練らしむることを提議し張も之を賛成せり
三、其の他の項目に関しては
(一)
北支問題に付張は冀察の現状を黙認せよとの日本側の主張は冀東政府を承認する意味をも含むこととなるを以て之を承諾し難く冀察に触れずして其の他の三省に於いては日本と協力して経済開発を促進し中央竝に地方当局に於いて融通提携を図ることは差支えなく唯須磨試案中に掲げたる字句には多少修正し度き箇所ありと述べたるが結局須磨と高との間に於いて之を調整することとなれり
(二)
航空連絡は張は又復北支自由飛行の解決を持出したるが本使より之を撥付け置きたり
(三)
関税引き下げは日本側の希望を容れ之を調整するに異存なく
(四)
顧問問題に付張は両国間の空気良くなりたる上之を実行すべしと述べたるが本使は右は期限を付して実行すべき旨を告げ張も之を了承せり
(五)
不逞鮮人引渡問題は従来の話通り実行を約せり
四、
最後に本件交渉の文書作成問題に入り張は今回の交渉は最初より口頭にて之を為し文書作成を考慮し居らず国民政府の立場よりするも全く不可能のことに属すと強硬に反対したるも本使より会談の記録を留め置かざれば他日話の内容すら判明せざることとなり種々不都合を生ずべき点を説明し冒頭電須磨試案として提議したる覚書交換の必要を力説し之亦須磨、高宗武をして打合せ決定せしむることを承諾せしめたり


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