学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

昭和十六年五月二十日
大島大使発松岡大臣宛電報写し

第五六七号
日米交渉問題に付ては貴大臣の渡米説と関連し当地に於いて種々の風説を耳にし居りしが五月五日リ外相との会談に依り右が単なる風説にあらざることを承知したるも貴大臣の意図を忖度し本使としては本件に干与せざる建前にて進まんと存せしが本件の推移を見て本使は帝国の前途並びに三国条約への影響を考え深慮に堪えざるものあり独逸首脳部の意向並びに卑見を率直に貴大臣に披瀝するは本使の当然の義務なるを信じ別電五六八号及び第五六九号の通り稟申す
尚此の際併せて申上度は最近両回に亘り本件を在独伊大使に通報せられざる理由を示されたるが本使は現下の重大時局に於いて万民臣道実践を第一とするとき信任の問題とか国民への立場とかを詮索せんとするが如き意志毫末もなし況んや外交の実施及び技術は貴大臣の主宰せられ居る所なるに於いておや
唯本使の理解し得ざるは三国条約と極めて機微の関係に在る日米協定を結ばんとせらるるに当たり本使等をして独伊首脳部の意向を報告せしむる要なしとせられあるに在り、従って別電亦蛇足の感あるも本使駐独大使の任に在る限り職責上黙する能わず虚心坦懐に所信を述べたるものなるを諒せられたし(了)

別電
第五六八号
一、
五月三日リ外相は本使の来訪を求め本日オットより日米交渉に関する電報を接受せるが本件は貴大使及び在伊大使に知らさざることになしありとの趣に付貴大使に申上げ得る筋にあらざるも何分事極めて重大なるを以て友人として貴大使に秘匿する能わず貴大使個人の含み迄に申上ぐる次第なるを以て右御承知ありたしとして四月十六日米国提案協定案骨子四か条の電報を示し自分(リ)は突然日本より斯かる提案を受く実は日本政府の真意を知るに苦しみある旨を述べたるに付本使は先般松岡外相訪独の際判然述べられたる如く日本は三国条約を外交の基調と為しあるを以て日米間に之に背馳するが如き約束を結ぶ訳なしと答え本件に関係するを避け置きたり
二、
然るに五月九日更にリは本使の来訪を求めオットより電報ありたる米国に対する日本の中間回答案並びに五月六日に於ける貴大臣とオットとの会談記録電報を示しりは屢次のオット電により明らかとなりたるが右中間回答に依れば日本は既に本問題に関し相当米国と深入りたる協議を為しあるものと察せられ又打明けて申上ぐれば独逸の今日迄諸方面より接収せる情報中には本件は日本より提案せられたりと為せるものあり又松岡外相のオットに対するお話より察するに松岡外相が或一派に引き摺られ已むを得ず之に同意せるが如く見らる猶又該会談中松岡外相は独ソ戦争起こらば日本が之に参加するに至るべきことを述べられたるが松岡外相先般来独の際私見として承りたる新嘉坡攻撃を行わんとする御意見は全く御改めになりたるものと考えらる
予はルーズベルトの真意を疑うものにして若し此等に乗せられ万一の場合に於ける参戦の義務を回避する為本協定を締結せらるることともなれば法理上は何とでも理屈を着け得るも事実上三国条約は骨抜きとなるべく又日本の前途に執りても東亜に於ける指導権確立の機を失せらるるものと考う予は本問題取扱に関し熟慮の結果独逸側意見として次の二案を考えたり
(イ)米国の提案を拒否せらるる案
(ロ)米国がコンボイ哨戒線拡張等を行わず真に中立の態度を保持することを条件として日米協定を結ぶ案
自分(リ)は(イ)案を可と信じ之を総統に具申したと存するが貴見如何と問いたるを以て本使は何等訓令に接し居らざるも常識的に帝国政府の意図を忖度し本使の私見としてリに対し(ロ)案を有利とするを主張し之が理由として若し該案成立せば独逸は英国と一騎討ちを為し得対英戦争の終結を速やかならしむるを得べく又之は虫の良き考方かも知れざるも或はルーズベルト一派が対英援助の無効なるを知り之を緩和せんとする理由に利用する場合も全然なしとは考えられず
不成立の場合に於いても少なくともルーズベルトの対英援助に関する真意を確かめ得る利益あるべく又我国内に於いて日米協調を考える者にも其の不可能なることを納得せしめ得べしと述べたり然るにリは自分は本交渉を継続する間米国は之を日独離間に利用すべしとて往電第五四五号(土耳古宛第一一号)の件を述べ又米国内に於いても非戦派に対する説得材料に利用し之を以て太平洋は既に心配なきが故に大西洋に進出して可なりと云うべく誠に危険なりと述べ本使の意見に賛成せず兎も角も本件は未だヒ総統の裁決を経居らざるを以て今夜直ちに伯林外に在る総統の下に電報し其の裁決を受くることとすべく其の際貴大使の意見も併せ述ぶべしと答えたり依って本使は伊太利側とは既に協議せられたりやと問えるに伊太利側もインデルリ大使より一切を報告せられあるも未だ直接伊太利と協議しあらずヒの裁決あり次第オットに対する訓電を起草するを以て之に依り伊太利と協議する筈なりと答えたり
二、
本使は既に本月初めム首相訪問の約なり居り十日夜出発ローマに赴きしに十二日朝ビスマーク公使本使を来訪しリの命なりとてオットに対する訓電を示すと共に伊太利政府も之と同意見なる旨述べたるが該案を読むに及びて総統がリの意見に反したる裁決を知れり
然るに十三日午後リは突然ローマに飛来し同日ムもチと会見し十四日午前本使の来訪を求めたり依って彼を往訪せるに十二日東京に於ける貴大臣と独伊大使との会見に関するオットの電報を示し貴大使が内政の関係上独伊の意見到着を待つ能わず米国に対し交渉を開始せざるべからざる事情に在ることを述べられたりとて大なる不満を表し僅か数日間待てば独伊の訓電到着すべき筈なるに何故之を待ち得ざりしやと云えるを以て本使は全然其の事実を知らざるを以て何とも申上げられざるも秘密保持の関係上速やかに之を解決する必要あり又日本に於いては此の種重要交渉は陛下に内奏申上ぐる関係もあり或は此等の理由により已むを得ざるに出でたるならんと想像するも独伊に対する不親切に非ざることは確信すと述べたり
然るにリは容易に納得せず実は松岡外相訪独の際度々面接せるに三国条約に密接なる関係ある日米協定に関し何等具体的の御話もなく松岡外相帰朝早々斯くの如き通知に接せること実に意外に感じ居る所にして率直に申上ぐれば自分(リ)は三国条約に自ら弛緩を致すものと痛く憂慮し居れり先日も申上げたる如く自分(リ)は始めよりルーズベルトを信ぜず日本に米国の提案拒絶を御勧めせんとする意見なりしも自分の考えと違いたる案を訓電することとなりたりと述べたるを以て本件に関し日独両国政府間に於いて誤解起こることは最も忌むべきことなるを以て御懸念はオットに訓令せられ十二分に御確かめになること極めて緊要なるを繰返し注意し置けり同日夕ム外相を訪問せるに既にリがム及びチと話合いたることとてリと同様の意見を洩せり
(三)、
五月十七日本使帰伯するや直ちにワイゼッガー次官の求めにより往訪せるにワは在フツシュル「リ」の電命に依るとて十四日付オット来電日本の対米回答案並びに之に基づくオットに対する独逸政府の訓令案を提示し自分(ワ)は貴大使に電文を提示すべき訓令を受けあるのみなるを以て何等意見を述べんとするに非ざるも特に現在の政局上独逸政府は本件問題の成行に深き関心を有しあることを述べ又松岡外相が若し独ソ開戦せば日本はソ連邦を攻撃すべきことをオットに述べられたることは独乙は之を重要視しあり、外相は滞独中独ソ関係の真相を了解して帰えられたるやと問えるを以て本使は独ソ開戦に際し日本の執るべき態度に関し外相が何と云われたかは知らざれども斯かる重大なる事柄は我国に於いては聖断に俟つべきものなれば恐らく外相は私見を述べられたるものなるべく又外相は滞独中度々リ外相とも会見せられたるに付独ソ関係の真相を知られあることを疑わずと答え置きたり(了)

第五六九号
一、
日米協定問題に関し独逸側に於いて深刻なる不満を有し三国条約の前途に関し多大の危惧を有し居ること別電の如し蓋し米国が既に事実上参戦し居る今日其の現状を黙過して日米間に於いて協定を結ぶは恰も日本は米国の参戦を阻止し併せて自国の参戦義務を回避するものなりとの疑惑を抱くは独逸としては已むを得ざる所なるべく殊に先般貴大臣の御来独に際し独逸朝野が挙って歓迎の意を表し枢軸の強化を謳歌したる直後なる丈独乙として裏切られたりとの感を強くし居る次第なり
二、
帝国が支那事変の速急解決を図り政治経済各般の余猶を得んとする必要は本使としても了解する所なりと雖も今や欧州戦争は益々独伊に有利に進展し此の処数か月の中に重大なる発展の予測せられ居る際目前の利益の為に欧州に於いて指導的地位を確保すべき独伊の不信を招くこと果たして妥当なるや多大の疑問なり況や米国の提案は単に日本を三国同盟より切離さんとする一時的の策謀に過ぎざる惧鮮からざるに於いておや本使は斯くの如き両面外交は戦後来たるべき重大危局に於いて帝国を完全なる国際的孤立に陥らしむるものなることを惧る
三、
更に米国の口添えに依り支那事変の解決を計ることが将来に関し重大なる禍根を残すものたるの点は暫く措くも此の絶好の機会に南方経略を抛棄し況や何時にても新嘉坡を攻略し得べしとの見込みすら失うが如きは単に英米のみならず独伊の軽侮すら招くものにあらざるや而して今後米国にして太平洋に於ける後顧の憂なきことを良きことにし名義上の参戦は避けつつ対英援助を強化するが如き場合に於いては欧州戦局の発展にも影響する所尠からざるべく帝国にとり不測の害生ずることなきを保せず
尚米国に対し大東亜に包含せらるべき南方地域に対する我が指導権を抛棄するに於いては独伊に対しても之を主張すること能わざるは明らかにして大東亜新秩序建設に関する我大使命を抛棄したるものと云わざるべからず
四、
昨秋三国条約締結に依り国民の向かう所明らかとなりたるに今又日米協定を結ぶに於いては内国民をして其の帰趨に迷わしめ外友邦の不信と軽侮とを招き実利よりするも国際的孤立を招来するに過ぎざることを惧るる次第なるが帝国政府に於いて協定締結を已むを得ずとせらるるに付ては少なくとも左の二件実現を切望す
(イ)
日米協定を締結するは日本が米国に対する地位を利用し三国条約の精神を拡充し独伊の対英作戦を容易ならしむるものなりとの主義を確立し米国に対し欧州戦争に関し真の中立を要求すると共に三国条約に基づく我が参戦義務を明らかならしむること絶対に必要なりと存す而して米国にして之を容れざれば協定は締結すべからず
(ロ)
独伊をして本件を以て日本に於ける現状維持派が勢力を得来れる為已むを得ず本協定を締結するものなりとの印象を抱かしむることは最も我に不利にして右は独伊をして日本は参戦回避の念より此の挙に出たりとの疑惑を深からしむるのみなるに依り日米交渉に付ては独伊との隔意なき意見の交換を行い(イ)の趣旨を独伊に徹底せしむる必要あるべし(了)


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