学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

昭和七年九月十三日

平沼審査委員長(前略)
 按するに、満洲国が其の住民の意思に依りて独立し、既に新国家として実体を整えたる今日に於いて、帝国が東洋の恒久的平和を確立する為同国を承認すべきことは当然の事に属す而して本案の取極は満洲国の独立を承認し、
 日満両国間関係の根本を規律し、満洲国の発達を助成すると共に、我が正当の権益を確保伸張することを目的とするものにして、洵に機宜を得たる措置なりと謂うべし、唯本取極の施行に関しては、帝国に取り極めて重要なる幾多の問題の
 伴うものあるべきを以て、当局に於いては各般の事項に付周匝綿密の用意を怠らず、以て善処するに努めざるべからず、殊に将来其の帝国の財政に及ぼす影響は誠に尠からざるものあるべきが故に、速に適当なる財政計画を定め之が施為を
 謬らざらんことを切望せざるを得ず、仍って審査委員会に於いては本案は此の儘之を可決せられ然るべき旨、前述の希望と共に全会一致を以て議決したり

右審査の結果を報告す
三十三番(岡田)
 本官は本案には賛成にして決して異議を有するものに非ず、然れども満洲問題は此の承認に依りて解決せらるるものに非ずして、寧ろ難問題は今後に存するものと考えざるべからず、依って一二の点に関し当局の御意見を承り置きたし
 本官は此の際最も考慮すべきは国際関係なりと思惟す、所謂不戦条約に関しては当局大臣の議会に於ける弁明は要領を得たるものなり、然れども九国条約の存在は寔に禍を為すものなりと考え、外務大臣は議会に於いて満洲国の承認は決して
 九国条約に牴觸するものに非ずと説明せられたるも、米国其の他の方面に於いては之にて満足せざるものあるべし、又外務大臣は満洲国はその住民の自由意思に依って独立したるものにして、日本は九国条約に依り支那国民の独立を
 阻止することを約束せしものに非ず、仮に広東が独立すとするも、右条約加盟国は之を阻止するの責を負うものに非ずと述べられたるも、米国人は言わん、満洲国の独立も満洲人の自主に由るものならば不可なからんも、日本が其の独立を
 援助し且之を維持せんとするは支那の主権を無視せるものにして条約違反に非ずやと、此の点に関する外務大臣の説明は尚不充分の憾あり、外務大臣は之に対して如何なる弁明の御準備ありや、又本案中の秘密協定と九国条約とを対比すれば
 牴觸の疑いあるも少なからず、外務大臣は之を如何に説明せらるるや伺いたし、又厳密と云うも果して之を保ち得べきや、日本側は之を保ち得べしとするも、満洲国側に於いては余程困難のことならずやと考う、寧ろ秘密は保ち得ざるもの
 として考え置くを相当とすべし、万一秘密漏洩の場合には支那は決して沈黙せざるべく、或は九国条約加入国会議の招集を要請すべく、其の会議の結果、若し日本の行動を以て該条約に背反すと決することあらば、我国は非常に苦境に
 立たざるべからずと考う、従って当局者は斯かる場合に於ける充分の覚悟をも用意せざる可からず、否斯かる覚悟のみにては不可にして、予め斯くの如き衝突を来さざるの用意なかるべからずと考える、外務大臣は此の点に付如何なる準備を
 有せらるるや、伺いたし

七番(内田)
 岡田顧問官の質問に御答えする前に先刻の審査報告中に述べられたる御注意及び御希望の点は慎重なる考慮を払いて充分御期待に副うことに努むべき旨を申述べ置かん
 岡田顧問官の御質問の第一、九国条約に付ては、本官は我態度を充分に説明し尽せりと考える、昨年九月十八日に起こりし事変に対する日本軍の行動は全く自衛権の発動に過ぎず、但だ此の行動を満洲三千万の民衆が新国家の成立に利用
 したる点はあるべし、然れども新国家の成立が全く満洲人の自由意思に基づくものなることを認むるに、豪末も不都合あることなし、而して九国条約は支那の領土及び主権を尊重すべき旨約定するも、支那自ら分解作用を起こして其の一部が
 独立するに至るに付ては何等規定する所なし、固より此の点に付ては米国を始めとして各方面に種々の意見あるも、そは先方の見解にして、我国に於いては右の見解を以て邁進すべきものなりと考える、昨今に於いては新国家の成立の
 動機及び経過が漸次一般に了解せられ来り、列国の情勢も少なからず緩和せり、現に出淵駐米大使が此の程非公式に米国政府当局者に対し日本が満洲国を承認するときは抗議を出すことなきやと尋ねしに、毛頭左様の考なし、九国会議を
 招集するも、帰結を得る見込みなき故之を招集するの意なしと言えりと謂う右会議招集に付ては欧州諸国中にも反対出ずべし
 第二の御質問、厳密に付したる条約の内容は九国条約に違反するの疑いなきやの点に付ては、本官は唯今述べたる通りの次第にて何等牴觸する所なしと考う、列国の関心は門戸開放機会均等に在らんも、本案の文書は何等其の主義と牴觸する
 ものあるを認めず、日本国が満洲国より同国自身行い得る事項を託せられたりとて何等の差支えなしと考う、日満両国の秘密取極が外間に漏れたる場合は之を如何にするやとの御質問なるが、我国側より漏洩することは之れ無しと信ずるを
 以て、満洲国側より漏洩することなき様、特に注意を促しつつあり、仮令万一漏洩することあるも、本官は何等疚しきことなしと確信す

三十三番(岡田)
 唯今外務大臣の御説明にて一応は了解せり、唯列国がその弁明にて満足するや否やの点を憂うるのみ本官は必ず我国の本条約締結に対し反対する者あらんと考うるが故に充分に研究用意あらんことを希望す

二十二番(石黒)
 外務大臣の御説明を聴き少なからず安心せるも、往復文書の第二即ち鄭総理より我軍司令官へ宛たる文書中に「本国は今後の国防及び治安維持に関し之を貴国に委ね其の所要経費は孰れも本国に於いて之を負担す」とあるが、之には期限ありや、
 満洲国は現在に於いても軍費を負担しつつありや

九番(荒木)
 目下は未だ満洲国としての予算出来居らざるも、陸軍当局の腹案に於いては、同国には確実なる鉄道の収入あるが故に、国内の安定を得れば大同二年より若干の経費を我が国に提出し得る見込みなり、而して約五年後に至れば大体所要経費を
 支弁し得るに到るべしと考う

二十二番(石黒)
 五年後に非ざれば経費は取れざるや

九番(荒木)
 満洲国の国防は同時に我国の国防たり、従って之に要する経費の全額を満洲国のみにて負担せしむるは公平に非ずと考う、大同二年より九百万円、而して五年後には四、五千万円の支出は可能なるが如くに考う

二十二番(石黒)
 明年度に於いては九百万円位の支出は出来ると考なりや

九番(荒木)
 腹案に過ぎざれども、国内たに安定すれば年額九百万円位は支出することとならずやと考え居れり

二十三番(黒田)
 今次新満洲国と攻守同盟を為すことを得たるは頗る嬉しきことなり、只今外務大臣の御説明及び御答弁を拝聴するも、今後の対外関係は益々多事なるべしと思わるるが故に、当局に於いては外交関係を円滑ならしむる点に充分に考慮せられたしと考う、
 経費の支出は元より慎重にせざるべからざるも、日本国の国防たる以上、陸海軍に於いても充分に御勘考あらんことを希望す、今次の日本の行動は全く我国の建国精神を発揚するものなれば、挙国一致満洲問題の解決に全力を傾倒せしむることを
 切望するものなり

三十一番(石井)
 本官は日満議定書の調印に対し満腔の賛意を表したしと考う、顧れば既往一年間は所謂非常時にして我が国は極めて険悪なる道程を辿りしが、現内閣の大命拝受以来能く善処せられたる結果、爰に日満同盟の条約を締結し、満洲国を承認するの時期に
 達したることは帝国の為大いに慶賀すべきことと考う前々内閣及び前内閣を通じて疑団氷解せず、本官の深く憂慮したるは、第一に帝国対満洲問題、第二に帝国対国際問題なりき、帝国は元より満洲地方に特殊権益を有し従って特殊の地位を有す、
 而して昨年以来此の権益に対する中華民国の侵害行為を排撃中偶々満蒙民族に独立の意あることを観取し、彼等の願望の実現に便宜を与えたるは当然のことなり、唯本官の憂慮したるは満蒙が独立するも他日意思の一致を缺くに至ることなきやの点
 なりき、女真の如き、元の如き、日本国を脅迫したるは何れも蒙古人にして、今日に於いては日本を指導者と仰ぐも、他日一変して我が権益を無視し、第二の張学良政権と為ることなきを保せず欧州には国際交渉に必要なる準備を怠りし為不慮の
 禍を受けたるものあり、本官は「ブルガリア」の事例を引いて我が当局の注意を促したるが、本案の往復文書に依れば我が既得の権利は十二分に確保せられたることを発見し、爰に憂慮は一掃せられ、歓喜に堪えず
 次に満洲問題の国際連盟に対する関係に付ては、帝国の主張は甚だ心許なしと考えたり、其の主なる点は帝国は国際連盟理事会をして満洲に関する日支の紛争を連盟規約第十五条に依りて処理せしむることを肯せずとの主張なるが、連盟国中には
 自国の領土内に起こりたる紛争を戦争前に連盟に訴え、第十五条の審議を受けたるものあるを以て、右帝国の主張は到底貫き難かるべしと憂慮したり、日本の領土に非ざる満洲に関する紛争を第十五条に依って処理せしめずとすれば、世界の公論
 及び国際司法裁判所に依りて日本の主張は排斥せらるべしと思惟したるなり然るに今次御諮詢の案件に依り、満洲国が帝国に承認せられ独立の国家となり、且日満同盟が成立すれば、日本に最も不利なる点は之に依って殆ど除去せらるることを
 得べし、是れ此の正式承認及び日満同盟の最も望ましき効果なりと考う
 満洲国に於ける我行動が不戦条約及び九国条約違反なりとは米国等に於ける多数人の殆ど定説なりき、然るに日本が正式に満洲国の独立を認めて同盟したる今後に於いては、日本は満洲国が独立したるは支那の分解作用にして、支那の領土保全を
 破りしものは満洲国に外ならずと主張することを得べく九国条約に違反するの理由を消滅せしむるものなりと考う、而して今や日本が新満洲国と国防上同盟を締結したる以上、日本軍の満洲駐在に対し、何者と雖も異議を挟むの余地なく、従前の
 連盟の決議は死文たるに到るべしと考う
 今仮に「リットン」調査団が満洲の宗主権を支那に認め、自治権を満洲国に与うるを可とすと報告し、連盟が此の意見を採用したりとするも、日本は之に対して云為するを要せず、独立国家を他国の宗主権下に置くべからずとは満洲国自身が
 言うこととなるべく、日本と米国其の他の国との関係に付ては満洲国自身が其の矢面に立ち、又は日本の背景と為りて日本の立場を容易ならしむべし、兎に角満洲国の独立に因り国際連盟をして規約第十五条に依りて満洲問題を審議
 せしめざらしむるの要なきに到れり、満蒙民族が今日迄独立運動を起さざりしことは寧ろ不可思議にして、学良の旧政権倒るるや、直に独立するに至れるは当然のことなり、蓋し満洲の支那に属したるは愛新覚羅氏が支那本部を併略したる際の
 持参金に外ならざればなり、「リットン」卿の一行も親しく満蒙の歴史を学びたる筈にして、満洲国の成立民族自決の問題を了解せしむることは左程困難にあらず、従って満洲の独立に依り日本の地位は対外関係上著しく優良なりたりと思惟す
 之を要するに、今回の日満条約は、一方に於いては我が満蒙の特殊権益を遺憾なく確保し、且之を伸張するの効果あると同時に他方に於いては内憂外患の窮境より優勝の地位に移転するの効果あり、爰に初めて満蒙問題の前途に光明を求め
 得たるやの感あり此の趣旨を以て本官は日満同盟に関する文書の交換に対し熱心なる賛意を表するものなり、但今後尚幾多の難関あるべきことは只今委員長及び岡田顧問官より述べられたる通りなりと考うるが故に、当局に於いては更に周匝なる
 用意を以て有終の美を収められんことを切望す

議長(倉富)

 採決前に念の為一言注意すべきことあり、本日の案件は題して日満議定書調印の件と云うも、其の内容は議定書と往復文書とより成れり、別に御発言もなき故第二議会以下を省略して直に採決に付すべし、本案賛成の各位の起立を請う(全員起立)
 全会一致可決したり本日は之にて閉会す

聖上入御


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