学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

(一)三月十四日

「過去二ヶ月余に亙り終始一貫我主張を固辞し遂に英米側をして我方の態度を以て余りに融和性を缺き自国の立場に膠着して国際協調の
精神を発揮せざるものなりとの不満を漏らさしむるに至りたるに拘らず毫も主張を緩むること無く英米側が強て不合理なる低率を我に
押し付けんとするに於いては敢て決裂を辞せざるの決意をさえ仄めかして隠忍先方をして我主張に接近せしめんことに努力したり
然るに最近松平「リード」会談に次き十二日若槻「スティムソン」会談に於いて観取せらるる通り米国側は事実上既に総括的七割の原則を
認めたるものにしてニ厘余の開きあることは事実なるも之米国側が全然日本の主張に屈服したりとの非難を避け乍ら日本の希望に副わんとする
苦心の存する所なるべく大型巡洋艦に付ては我主張に副わずと雖も事実次回会議迄は大体我方は七割以上の勢力を保有するものと見ることを
得べく潜水艦に付ては我主張に比し少量なるの遺憾あるも先方が其の保有量を低下して我と均勢申たるは一の譲歩なりと認むるを得べし
本委員等の見る所によれば新たなる事態の発生せざる限り彼をして之以上の譲歩をなさしむることは六ヶ敷ものと認む然るに佛国問題が
中心となりて五国協定不成立に終わる場合は兎も角日本の態度によりて今回会議の破綻を見るが如き場合に立至らば諸般の関係上我方に
重大なる影響を及ぼすこととなるべきに付深き考察をなさざるべからず今後佛伊の態度其の他事態の推移に鑑み此の上とも我方主張の
貫徹に最善の努力を試むべきは勿論の義なるも此の際政府に於いて前述交渉の成行に対し御考察を加えられ何分の御回訓あらんことを
希望す」

(二)三月二十五日

「此電報は若槻全権委員より外務大臣閣下に呈するものなり全権委員より政府の訓令を仰ぎたる第 号電報は事情を悉さざるの憾あるを以て
茲に聊か本委員の所見を述べ御参考に供せんとす今回の会議に於ける我重要なる主張は小出しに之を提議せず当初より總て之を公言し以て
正々堂々と世界の与論に訴うること一般の諒解を得るに付適当の途なりと考え会議開始前米国に於いて又英国に於いて委曲当局に交渉したる
のみならず其の大要は之を世間に公表したり故に会議開会の時は英米の全権委員は皆日本の主張の如何なるものなるやを詳知したるを以て
開会後我より進んで我数字の承認を得んことに焦慮するときは彼等は我提議には若干懸値あるやの疑いを起こすの虞ありと考え彼等より
進んで我と協議せんとするの態度に出づる迄は我は態と余り急がざるが如き風を示し居たり勿論其の間日本の主張を明らかにするを要すと
認めたる場合は遠慮なく之が説明を為し時には彼等をして憤怒の色を現わさしむる迄に至りたること展次の電報にて御承知の通りなり
此の如くして開会後五六週に亙り英米の間を除くの外孰れの国も数字に付協議の進みたるものなく与論は漸く会議の前途を悲観せんとするに
至りたるを以て屢々首席全権会議を開き会議の進捗に付意見を交換し終いに英首相より日を期して数字に付ての各国の意見を定めんことを
提議し米佛之に賛成し本委員亦其の成否は予期するを得ざるも期限を定めて会議の進捗を謀ることには同意したり日本の関する限り数に付
ては米国と極めて密接なる関係あるを以て日米の交渉に最も重きを置かざるべからず而も日米の間には既に十分の意見交換を為し其の間
頗る距離ありて之を繰返し居れば何時迄待つも双方の一致する帰着点に到達すること能わざるの状勢となれり故に双方共に自由に大胆に
意見を述べ而も其の意見は双方共に何時にても之を取消すことを得何等拘束を受けざることとし其の間に双方の同意し得べき一致点を
発見するに力むるを可なりと認め本委員と「スティムソン」との間に其の申合を為したりしが本委員自ら「スティムソン」と交渉するときは
如何に拘束を受けさざるの約束ありとするも自然余り大胆なる意見を述べ難き感を有すべきのみならず動もすれば右なり左なり断定せざる
べからざることとなり纏まるべきものも纏まらざるに至る虞ありと信じ松平全権と「リード」との間に交渉を為さしむることとせり
両氏間の交渉は如何なる意見を述ぶるも其の人の提議と称せず両氏間に生じたる試案と称することとし二週間以上に亙り互いに忌憚なき
意見の交換を為したるも頗る距離ありて一致点を発見するに至らず其の間本委員は「スティムソン」に面会し本委員は倫敦会議は是非成功
せしめたき切なる希望を有し終始一貫之が目的達成に努力しつつあり又今後も之が為に努力せんと欲するものなるも「リード」氏を通じて
示さるるが如き米国の態度にては遺憾ながら日本は協定に参加する能わず余の誠意を諒とせらるるならば貴下も亦其の誠意を示されざるべからず
「リード」氏に対して然るべく指揮せられたしと申入れ「スティムソン」大に感動の色を現し其の後「リード」は幾分我主張を斟酌するの
態度に出でたるも尚日本の三大主張の孰れに付ても同意せず会議は停頓し互いに同一の意見を繰返すに過ぎざるに至れり松平「リード」
交渉の間には松平全権は総括的七割のこと此の際一万噸大巡一隻建造のこと古鷹級四隻を一万噸に改造すること潜水艦六萬噸「パリチー」のこと等
繰返し繰返し少しにても我条件を有利にすることに関して米国の同意を求めたるも「リード」は固く執て之を聴かず依って本委員は
「スティムソン」を訪問し過日余は誠意を披瀝して日米の間に協定を得んことを切望し貴下も之に共鳴せられたるに拘らず「リード」氏の
主張せらるる如きことにては日本は断じて之に同意すること能わず第一艦齢超過艦を加えて総括的七割を認むべしと言うが如きは
如何にも人を馬鹿にしたるものなり此の点は絶対に矯正せられざるべからず米国に於いて是非艦齢内の艦艇のみを以て総括的七割を
認むることとせられたしと諭し総括的七割丈けは大体其の同意を得たり潜水艦に付ては七万八千噸の必要なることは繰返して述べたる所なるも
総括的七割を得るが為には已むを得ず日本も英米同様六万噸とすべしとして六万噸「パリチー」を極論したるも「スティムソン」及び
「リード」は頑として聴かず終いに彼より五万二千七百噸「パリチー」を提議し本委員に是非之に同意することを求め本委員は之に対し
難色を示したるも其儘にて大巡問題に移り総括的七割の為め此の際一万噸大巡一隻建造のこと六々敷ものとせば古鷹級を一万噸に代換すること
丈けは此の際是非決定し置かざるべからずと数回に渉りて論議したりしが米国側は大巡に付米国が一万噸三隻の建造を一九三三年より三年間に
一隻づつ起工することとし次の会議迄には之を竣工せしめざることとしたるは米国の最後の譲歩にして此れ以上の譲歩は上院の承認を得ること
絶対に望なきが故に我主張は応ずる能わずとて固く執て動かず依って本委員は此の如きことにては此れ以上話を進むる能わず本日は此の程度に
止め置きたしとして両人が頗る不機嫌の顔付を為し居る間に引上げたり今日仮妥協案と称せらるるものは以上の経過に依って成れるものにして
勿論本委員は之に同意を与えたるものにあらざるも此処に至る迄のことを詳悉する本委員としては此れ以上譲歩せしむることは全然見込立たざるなり
日米の交渉状態は之を英国にも知らしむること是迄の例なるを以て本委員は右の経過を英首相に話したる後「クレーギー」とも話を続けたるに
同人は日本が右の条件に同意せらるるならば英国にても海軍当局に相談すべしと述べたるに対し本委員は日本は全部には同意し居らずと答え
「クレーギー」は然らば英国にても海軍側には相談せずと言い放ち相別れたり然るに拘らず翌日米国側の勧誘に依り英国も海軍側の同意を得今日にては
所謂妥協案なるものが英米の主張となれること御熟知の通りなり以上の次第なるに依り所謂妥協案は日本当初の主張に比し異なる所あるも条約の
有効期間を五年とし次回会議に於いては従来の主張を自由に為し得ることを考量するときは其の間は大巡に在りても大体米国との間に七割の比率
を保ち居り総括的には勿論七割の勢力を有し唯潜水艦の保有量は少なきも英米亦共に其の保有量を日本と同じくし居る次第にして右状態にて
日本が不同意を唱え会議を決裂せしむるときは与論は決して日本に同情するものにあらず会議を決裂せしめたる場合に日本の蒙るべき不利不幸
は実に言うに忍びざるものありと信ずるも此の点は閣下の最も能く承知せらるる所にして本委員の陳述を要せず目下佛伊の態度にて倫敦会議は
当初期待の如く五国協定を得ること困難なりと認められ結局三国協定となるにあらずやと察せらる此の如き状態なるを以て英米両国当局が
頗る困惑しつつあるべしと想像し此の際日本より我条件を有利にすべきことを交渉すれば其の目的を達することなきにあらずとの観察あるが
如きも英米の間には夙に共鳴する所あり所謂妥協案を固持する深き決心を為し居るものと認めらるるを以て本委員は右の観察を是認する能わず
殊に英米両国に於いては場合に依り二国間の協定を辞せざる決意を仄めかしたる事曩きに電報したる通りなるを以て本委員は一層前述の
感想を深くするものなり従って日本が其の条件を有利にする提議を為さんとするに於いては彼等が聴かざるときは断然会議より脱退するの決心を
有せざるべからず若し此の決心なくして交渉し彼等が応諾せざる場合に於いて結局妥協案に屈服する如きことありとせば帝国の威信は全然
失墜すべし本委員の最も痛心する所なり今や政府は全権委員より請訓したるに対し慎重なる考慮を加えられつつある大切なる時機なりと存じ
本委員の卑見を御参考に供するは全く無益にあらざるべしと信ず」

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