学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

(イ)昭和十五年五月二十日付在京和蘭公使宛有田外務大臣書翰

通六機密第一〇号
以書翰啓上致候陳者閣下は本月十六日蘭領印度産物資に関する本大臣との会談に於いて蘭印総督より蘭印としては石油は素より錫、護謨其の他の本邦必需原料品の対日輸出を制限する意向なく日蘭印間の一般経済関係を従来通り持続することを希望する旨電報越せる趣を述べられたるが帝国政府に於いても総督の通報を謝する旨を通知すると同時に右に関連し従来蘭印より帝国へ輸出せられ居る十三品目に付蘭印政府に於いて右を今後毎年少なくも別紙記載数量を将来如何なる事態に於いても日本に輸出することの確約を与えられんことを要請するの光栄を有し候
本大臣は前記総督言明竝に獨蘭戦争開始後蘭印総督に賦与せられたる広汎なる権限(本年五月十一日付本大臣宛貴翰参照)に鑑み右帝国政府の要請に対する蘭印総督の応諾が出来得る限り速やかに閣下より文書を以て通報せられんことを希望且期待するものに有之候
右申進旁本大臣は茲に重ねて閣下に向かって敬意を表し候  敬具

昭和十五年五月二十日
外務大臣 有田 八郎
和蘭国特命全権公使 「ゼネラル・イュー・セー・バブスト」閣下

一、錫(鉱石共)     三〇〇〇屯
二、護謨        二〇〇〇〇屯
三、鉱油      一〇〇〇〇〇〇屯
四、ボーキサイト   二〇〇〇〇〇屯
五、ニッケル鉱    一五〇〇〇〇屯
六、満俺鉱       五〇〇〇〇屯
七、ウォルフラム     一〇〇〇屯
八、屑鉄       一〇〇〇〇〇屯
九、クローム銑鉄     五〇〇〇屯
十、工業塩      一〇〇〇〇〇屯
十一、ヒマシ       四〇〇〇屯
十二、規那皮        六〇〇屯
十三、モリブデン     一〇〇〇屯

(ロ)昭和十五年六月六日付有田外務大臣宛在日和蘭公使書翰

(仮訳)
以書翰啓上致候陳者両国政府間の経済関係改善に付和蘭国政府及び日本国政府間に交換せられたる書翰に関し本使は先ず閣下に対し和蘭政府は和蘭国が当面する戦争に依り惹起せられたる困難なる地位に関し日本国政府に依り示されたる同情を深く多とする旨を通告する光栄を有し候
我政府は又在「ハーグ」日本国公使により提出せられたる筈のところ一九四〇年五月十八日在「バタビア」日本国総領事より蘭領印度総督に提出せられ且一九四〇年五月二十日付閣下発書翰通六第一〇号に依り補充せられたる覚書は此の不幸なる時に於いて相互の接触及び討議の缼除のため三世紀来幸に和蘭国及び日本国の間に存在する伝統的友好関係を害すべき緊張が発生し且其の継続するを防止せんとする意図に出でられたるものと思考致候
和蘭国政府は虚偽の報道及び悪意の宣伝と闘う必要有りとの日本国政府の意見に全く同感に有之候而して右目的は卒直且冷静なる雰囲気の下に於ける接触に依り最もよく達成せらるべく候
女皇政府は和蘭国及び日本国間の関係特に蘭領印度及び日本国間の関係に付ては憂慮すべき何等の理由無之と思考致候
右に関しては両国間の経済関係は一九三七年四月九日所謂「ハルト」石澤協定により規律せられたる事を想起すること有益なるべく候当時双方に於いて或る協定の適用に付き常に口頭又は書面に依る討議が行われ候而して右討議に於いては常に友好精神に支配せられ其の例として本使は一九三八年和蘭国政府が蘭領印度及び日本国間の貿易尻を漸次均衡せしむること竝に砂糖の如き、土人産物を出来得る限り買付け方努力すべき旨の日本国の約束に関し「ハルト」石澤協定に依り作られたる可能性が実現を見ること遼遠なりし事実に付き日本国政府の注意を喚起するを適当と認めたることを指摘致候右申入れは右輸出が土人にとり絶大なる重要性を有する事実に基づきたるものに有之、即ち土人の購買力は多数の日本品を輸入する基礎に有之候
然るに其の結果は和蘭國政府にとり余り満足ならざりしに不拘我政府は支那事変が日本国に於ける経済情勢及び「ハルト」石澤協定の結果を判断するに当たりては常に戦争状態より不可避的に生ずる已む無き事情を考慮致候依って和蘭國政府は日本国政府に於いても和蘭国政府も亦戦争に入りたる事実を考慮せらるるものと確信致候而して右戦争状態は当然蘭領印度の経済状態に影響を及ぼすべきものに有之候
然れども我政府は日本国にとりても将又蘭領印度にとりても両国間の通商関係が障碍なく発展することの利益なることを充分了解致候
和蘭国政府は蘭領印度の現状維持の意義に関し閣下が為されたる声明を満足を以て諒承致候我政府は右現状を無条件に維持すべき意図を再三再四確認致候右現状維持は和蘭國の同盟国及び他の太平洋沿岸国の利益に極めて密接なる関係を有するに鑑み右相互の声明は益々重要性を有するものと認められ右は英国、佛蘭西及び米国に依り為されたる声明によりても明白に表明せられ候
実に蘭領印度の地位に変更なく且同国が不断に諸種の原料品及び食料品を以て世界への供給に参加することを継続し得ることは実に世界の此の部分(東洋)に於ける平和維持の為極めて重要に有之候
本使は次に閣下に対し一九四〇年二月二日付在「ハーグ」日本国公使の書翰及び貴翰に依り補充せられたる前記覚書中に含まれたる提案に対する回答を致すべく候

・蘭領印度及び日本国間通商関係
和蘭国政府及び蘭領印度政府は既に決して蘭領印度及び日本国間の通商を制限せんとするが如き意向なきことを声明せるが寧ろ通商関係の漸進的発展は蘭領印度にとりても将又日本国にとりても利益とする所に有之国際関係の変化したる近時に於いて自己の輸出を遂行するに非ざれば其の絶対必要とする輸入品を取得し得ざる蘭領印度の国民にとりては輸出は嘗て如何なる時代に於いてもなかりし死活的重要性を有するに鑑み右の次第は愈明白に有之候
而して近年極度に不利となりし貿易尻を均衡せしむることの可能性増大するとせば夫丈更に日本品の輸入を増進すること可能なるべく従って和蘭国政府は過去に於いて常に日本向け輸出の増進に努めたるに鑑み和蘭国政府及び蘭領印度政府に於いても掲記せられたる十三品目に付日本国政府の要求に係る保障を繰返すこと何等の反対無之候
而して右数量に関し一切の誤解を避くる為め閣下は附属書中に右に関する説明を見出ざるべく候
曩に発したる声明に合致する前述の事項に加え国際情勢の変化に依り特に蘭領印度が為替管理上必要なる規則を採用する必要に迫られたることを付言致度候日本国政府は右措置が就中円及び弗為替維持の為絶対に必要なることを御了解相成ものと存候次て蘭領印度より輸出せらるる産品が終局に於いて敵の手中に落つることを防止する為及び過度の輸出が蘭領印度自身に於いて缼亡を惹起することを防止する為の措置を執る必要有之候然し右の如き措置を執るに当たりては外国との正常の通商を阻害することを能う限り尠からしむべき実施方法を講究せらるることと存候「ハルト」石澤協定に於いて意見の一致に達したる詳細なる討議の目的となれる日本国原産品の輸入は正常に継続せらる可く現在の情勢に鑑み右輸入が減少するよりも寧ろ増加の傾向を有することを希望し得べしと存候
和蘭国政府は現在の事態が必然的に現行輸入規則の適用に変更を必要ならしむることを看過するものに無之候然し我政府は右規則の原則が其の当初の価値を些も喪失したるものに非ずと思考仕候
前述の如く輸入の可能性は輸出の可能性と表裏を為すものに有之従って右輸出を阻害する一切の事態は蘭領印度の不利となると同時に又日本国にとりても不利の結果となるべく候右に関しては均衡政策を遂行せらるるものと存じ候日本向け輸出の増進及び特に土人の購買力を増加する産品(砂糖。「コペラ」、「カボック」、珈琲、「パーム」油、煙草、玉蜀黍、「ダマル」、「コパル」及び其の他の樹脂及び藤)の輸出の恢復は輸入可能性の維持及び増大に特に寄与し得べしと信じ候和蘭政府は蘭領印度の必要とする物品に関し禁止的又は制限的措置を執ることを能う限り差控えるべしとの日本国政府の意向を満足を以て諒承仕り候又和蘭国政府は原料或は燃料の缼乏する場合に付て表明せられたる留保をも諒承致候日本国政府は土人産品の輸入を増加する為の実質的措置を示唆せられ候処右示唆は其の正当なる価値に従い「アプレシエート」せらるべく和蘭国政府は右措置が「ハルト」石澤協定に特記せられたる産品の輸入の恢復又は改善に寄与せんことを敢て希望する次第に有之候

・入国問題
和蘭国政府は遺憾乍ら外国人の労働許可を規定する規則を撤廃することを得ざる次第に有之候元来右規則は蘭領印度に於いて労働力の保護特に相当進歩せる文化の程度に達せる土人。欧羅巴人及び(蘭領)印度に於いて生れたる非土人たる東洋人に関する労働力の保護に必要なる措置を構成するものに有之右規則を撤廃する時は凡ゆる種類の外国人の殺到を招き以て前掲諸人種が就職する可能性に重大なる支障を与える結果を来すに至るべく候他方一国のみに適用せらるる部分的撤廃の如きは凡ゆる国民に対し同一待遇を与える和蘭国政府の伝統的政策と背馳するを以て之を為すこと不可能なること勿論に有之候又斯かる措置は希望せられたる現状の侵犯と相成るべく候
和蘭国政府は日本人の要求は深甚の考慮を以て取扱われ且事業主が許可取得の必要を証明したる場合右許可が賦与せられざりし如き場合は一つも発生したることなしとの意見に有之候又和蘭国政府は右政策を継続して実行致すべく依って日本政府に於いても右措置の必要性を充分了解せられ将来其の臣民の為何等重大なる困難を危惧せらるる如きことなかるべしと確信仕候
我政府は日本国に於いては和蘭国商人及び其の商業使用人の入国に付何等の制限存在し居らざることを多とし居るものに有之候へ共日本国に於ける和蘭国臣民は極めて少数なること及び当該商人は大部分日本人労働力を使用し居る事実は之を考慮することを要すべしと存候

・商社及び投資
和蘭国政府は蘭領印度に於いては外国人による企業開始及び投資に関して自由政策を採り居る事実に関し注意を喚起するものに有之候右政策は一九一二年の日蘭通商条約中に表示せられ居る処にして和蘭国政府は蘭領印度居住者の利益又は和蘭王国の死活的利益を害する場合の外何等条件乃至制限措置を設けたること無之又斯かる場合も第三国に関し一律に適用し来れるものに有之候和蘭国政府の意見に依れば右政策は極めて公平且公正にて将来に於いても維持せらるべきものに有之候前述の如き理由よりして特定国に対し除外例を設くることは不可能に有之候又各個の場合に関し即ち和蘭国政府は日蘭合同企業に付ても亦各個人商人の発意に委ぜられ居る事実に付日本政府の注意を喚起するものに候又政府は或企業に対しては公共上の理由により開発の権利を留保するものに有之候
尚和蘭国政府は蘭領印度に於いて日本国の利益が和蘭国政府の完全なる保護を享有し居ると同様日本国政府に関する限り日本、支那満洲に於いて和蘭国の利益が保護せらるるものなりと推測致候
然日本政府に於いて予定せらるる是等の地域に於ける投資の便宜は和蘭国政府の多とするところなる処和蘭国政府は差当り右の如き投資に付き和蘭国臣民が有することあるべき興味は比較的僅少なりと思考致候

・新聞取締
蘭領印度官憲が第三国に対し好ましからざる性質を有する新聞記事の掲載を抑制する様新聞に対し深甚なる注意を払い居ることは日本政府の御承知の通り有之右注意に依り蘭領印度に於ける支那事変の反響が抑制せられ且つ一時なりとも重大なる性質を帯びたることなきことを陳述することは有益と存候尚現在に於いては右取締は更に強化せられ居り候
和蘭国政府は右の如き措置により新聞の活動の為に友好関係が危険に陥るが如き憂いは毫もなきものと思考致候
前記の如き論拠に鑑み和蘭国政府は現在実際上の関係により補足せられたる現行諸条約は和蘭国及び日本国間の良好関係特に蘭領印度及び日本国間の経済関係に付ても右良好関係が維持せらるべき原則及び基礎を満足に表現し居るものと思考致候
和蘭国政府は日本国政府に於いて疑念を抱かるべき諸問題に関し前記記述中に満足なる説明を与えたるものと信じ度候尤も今後蘭領印度及び日本国間の経済関係に関する具体的問題に付双方より個々の問題提起せらるることはあり得べき処如斯場合は右問題は在「バタビア」日本国総領事及び蘭領印度政府の指示すべき機関により討議せられ且つ処理せらるべく候
和蘭国政府は多くの場合如斯して此等の問題は解決を見出し得るものと信じ候、本使は茲に閣下に向かって敬意を表し候 敬具

一九四〇年六月六日
和蘭国特命全権公使   イユー・セー・バブスト
外務大臣        有田 八郎閣下

・付属書
一九四〇年五月十八日付を以て在「バタビア」日本国総領事に依り蘭領印度総督に提出せられたる書翰及び一九四〇年五月二十日有田八郎閣下に依り在東京和蘭国公使に提出せられたる書翰中に掲記せられたる十三の輸出品に関する若干の備考
「ボーキサイド」  (二〇〇、〇〇〇キロトン)
「クローム」鉄鉱  (  五、〇〇〇キロトン)
「ニッケル」鉱   (一五〇、〇〇〇キロトン)
錫及び錫鉱     (  三、〇〇〇キロトン)
護謨        ( 二〇、〇〇〇キロトン)
規那皮       (    六〇〇キロトン)
蓖麻子       (  四、〇〇〇キロトン)
以上の諸品に対する数字は何等の備考を必要とせず
石油産品(一、〇〇〇、〇〇〇キロトン)に対する数字は過去三か年間に於ける蘭領印度の日本向け平均輸出量に超過するものにして右輸出は左の通りなりき
一九三七年   八六九、〇〇〇キロトン
一九三八年   六六八、〇〇〇キロトン
一九三九年   五七三、〇〇〇キロトン
蘭領印度の石油会社は日本側に於いて適時に契約が締結せらるることを条件とし右要求量を供給すること可能なりと思考せらる塩一〇〇〇、〇〇〇キロトンは蘭領印度に於いて生産せらるること可能なり但し新塩田を開発すること必要なるにつき数年間の契約を締結せらるることを条件とす元来蘭領印度に於ける塩の生産は専ら国内市場に向けられ居る処準備量は悪天候の結果殆ど枯涸し居り従って一九四〇年九月以前に供給を開始することは普通にては不可能なるべし尤も数年間に付契約を締結せらるるに於いては右期間は繰上げらるべし蓋し右の場合は必要なる準備量が補充せらるること確実なるを以てなり
屑鉄(一〇〇、〇〇〇キロトン)に対する数字は毎年輸出に供し得る数量を超過す一九三七年には一〇三、七〇〇キロトン一九三八年には六〇、六〇〇キロトン及び一九三九年には四七、二〇〇キロトンを輸出したる処右輸出数量は殆ど専ら日本に向けられたり輸出に向け得る数量の屑鉄を日本向け輸出にすることは如何なる制限にも服せしめられざるべきことを保障する用意ありマンガン鉱(五〇、〇〇〇キロトン)に付ての数字は正確に非ざるやに思考せらる即ち蘭印の全輸出数量は殆ど全生産量に相当し一九三七年には一五、七〇〇キロトン、一九三八年には一一、二〇〇キロトンにして一九三九年には七、三〇〇キロトンなりし処日本は右数量の内全然買付を為し居らず而して現に稼行中の鉱山以外には重要なる鉱区の存在知られ居らざる次第なり日本は現に実行中の契約の許す限りは自由に本産品を買付得べし
ウォルフラム及びモリブデン(一、〇〇〇キロトン)は現実生産の数字と符合せず尤もウォルフラムは錫採掘中極めて少量取得せらるるに過ぎず右数字は最高年数「トン」なる処常に日本に輸出せられ居たり又モリブデンの輸出は嘗て行われたことなし右は蘭領印度に於いては極めて稀に発見せらるるに過ぎず


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