学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

昭和十二年五月十日 外務大臣 佐藤 尚武

冀東特殊貿易及び北支自由飛行問題の解決に関しては五月六日付亞一機密合第六五五号の次第ある処今般左記の如き経緯を経たる後別紙甲号及びC号の通り夫々方針の決定を見たるに就きては委細右に依り御承知相成度此段申進す



一、冀東特殊貿易問題に就いて
四月十六日決定の対支実行策及び北支指導方策に関する話合と併行し当方より別紙甲号の如き具体案竝に説明を軍側に送付し右を基礎とし話を進めたる処陸軍側(海軍側は当初より本案に同意)より三月十九日付を以て別紙乙号の如き意見の回示あり、仍って陸軍側に対し右軍側希望は諒とする所なるも交渉の詳細は外務側に一任あり度旨説示せる結果、柴山軍務課長より五月八日付を以て別紙丙号の通り外務案に異存なき旨回答越せり(尚本件に関し最も問題となるは支那側監視船の問題なるが右に関しては先ず本案に依り交渉を進め、我方大宗品に対する関税引き下げ方に関する支那側の出方を見たる上第二段の措置として更めて好意的考慮を加えることに陸軍側事務当局と話合済みなり)

二、航空問題に就いて
本件に関しては当方に於いて当初別紙A号対支航空問題に関する方針案竝に説明を作成し右を基礎として話を進めたる次第なるが陸軍側(海軍側は右案に全然同意)より陸軍省事務当局としては本件交渉の方法、順序等は固より外交上の技術に関するものにして軍として意見を述ぶべき筋合いに非ずと思考するも上海福岡間の交渉に執着するの余り日満獨間航空連絡の実現に支障を来すが如きことなき様注意ありたき旨申し越すと共に当方参考として別紙B号「陸軍側意見」を回示越せるを以て当方より外務省としては右陸軍側希望をも考慮に容れたる上外務案に依り交渉を進むることとすべきに付右に諒承あり度旨説明し、一応妥結を見居たる処其の後主として参謀本部側より右外務側作成の方針案は事実上日満獨航空連絡の実現を遷延乃至阻止するものなりとて反対の意向を表明し来れり。仍って更に折衝を続けたる結果更めて別紙C号「対支航空問題の解決促進に関する方針」を作成し右を陸軍側に送付し置きたる処柴山軍務課長より前記別紙丙号の通り回答あり、右C号方針に依り支那側との間に本件交渉を進むることに決定を見たる次第なり(参謀本部に於いては獨逸側との約束もあり支宛亞一機密第二五号を以て申進たる日満獨航空連絡の急速実現方切望し居り従って安西飛行場の開設を見ざる限り尠くも額濟納への軍事飛行は支那側に対し之が中止方約束出来ずとの強硬なる態度を持し来り又別紙C号方針中の要綱(2)に関しても「・・・・前記我方要望を受諾するか或は(ロ)・・・」とあるを「・・・受諾し且事実上・・・」とせんことを主張したるも当方より陸軍省軍務局側を説得の結果且を或はとし(イ)と(ロ)の両問題を分離せしめ結局C号の通り妥結、右に依り速やかに支那側との交渉を進むることに決定せる次第なり)

本信宛先 在支大使、北平、上海、天津、青島、済南、張家口、在満大使
本信竝に附属物写送付先 英、佛、獨、伊、白、露、米、伯、土、寿府

甲号
特殊貿易廃止に関する方針案(東亜局第一課、十二、三、四)
(一)南京政府の冀察政権に対し約束せる月額百万元の補助を実行せしむ。
  (1)支出すべき費目及び支出の方法は南京側に一任す
  (2)百万元冀察に送付後の冀察冀東間の分前に関しては両政権間に別途考究せしむ
  (3)右金額は北支に於ける経済開発及び日支間の文化的経済的提携の為にのみ使用するものとす。依って之を冀察政権の一般会計と分離せる特別会計とし其の管理及び使途は日支共同委員会を組織して管掌せしむ。
    (本委員会には日本側及び冀察側の外、必要あらば南京側委員をも加え、依って支那財閥に対し北支経済開発に対する興味と安心とを与え以て其の投資を促進することを考慮する必要ありと認めらる)
(二)南京側より現実に月額百万元送付ありたる上は冀東特殊貿易は之を廃止す。
   (但し貿易業者に不測の損害を与えざる為適当の予告期間を存する必要あるべし)

冀東特殊貿易廃止に関する説明
一、冀東特殊関税制度廃止に関する帝国政府の方針
冀東の特貿廃止に関する帝国政府の方針に関しては客年六月下旬天津軍池田参謀及び毛里嘱託来京の際、時局委員会に於いて
(1)冀察政権に対する河北省関税剰余(関税収入より外債負担部分及び海関維持費を控除せるもの)の委譲と共に冀東特貿は兎も角も廃止す
(2)冀察政権の南京に対する建議と南京に於ける外交交渉とに依り国民政府をして関税の妥当なる引き下げを実行せしむ(関税引き下げの実現は特貿廃止の条件となり居らず)
   の方針を決定し陸軍省に於いては七月上旬関係出先に対し左記趣旨を訓電せる経緯あり。
(一)冀東政府の特殊関税制度(支那側に於いて取締の責任ある密輸とは其の性質を異にす)の日支貿易、日本と列国との関係及び支那政治経済に及ぼす影響に関しては複雑多岐にして俄かに論断を下し難きも支那関税均一の原則は
   帝国の承認せる所なるを以て帝国は条約違反の行為たる本件を支持するを得ず然れ共本件は南京政権が冀察政権に対する約定を蹂躙して関余月額百万元の送付を実行せず関税収入は之を独占して北支経済の開発に貢献せざること
   及び民衆の要求を無視して排日的高率関税を採用せること等の必然的結果なり
(二)以上の理由に依り南京政権に対して極力関税引き下げを要求することは勿論なるも先ず南京政権をして河北省関税収入より外債負担部分及び海関維持費を除きたる剰余を冀察政権に確実に委譲せしめたる上は特殊関税は之を
   撤廃せしむ(冀察政権の収得分に対する冀察冀東両政権間の分前は別途研究す)
(三)右関余の委譲に関しては支那駐屯軍の宋哲元に対する内面指導に依り該政権をして南京政権に要求せしむると共に之と竝行し駐支大使をして直接南京政権に要求せしむ
(四)冀察政権が関余の委譲を受けたる上は我方は監督を厳にして是が濫費を阻止し其の相当部分は諸般の経済開発に充当せしむ
(五)支那一般関税引き下げ方に付ては南京政権に対する正式外交交渉に依るの外冀察側をして南京側に対し密輸取締の見地より主として典型的密輸品に対する関税引き下げ方を要求せしめ以て南京に於ける外交交渉を援助せしむるものとす
   (最も冀察側としては関税剰余委譲の方に主力を置くの建前とするを要す)

二、関余委譲問題の現状
特貿廃止に関する前記方針に関しては当時川越大使にも訓電済にて同大使に於いて右方針に基づき南京側と交渉を開始することとなり居たるも成都事件に関する交渉(関税引き下げは別問題なり)の影響を受け遂に開談の機会なく又天津方面に於ける冀察政権の指導も進捗せず結局本件は其の儘となり居る次第なり
然るに関余の委譲は自然、北支関税制度の独立延いて北支の分治等の政治的問題とも関連を有したるを以て我方の意図に付支那側に誤解を与え易く南京側としても実行容易ならざりしものと想像せらるる外、分治等の政治的工作は此の際実現を期し難き現状なるにも鑑み今後の交渉に当たりては南京側より冀察政権に送付すべき金額は必ずしも之を関余と限定せず、寧ろ容易なる形式に依り南京側の支出に便ならしめ以て速やかに本件の解決を計ること現下の情勢に鑑み得策なりと認めらる(支那側の密輸取締に対する協力の問題に関しては別途考究す)

C号
対支航空問題の解決促進に関する方針
昭和十二年五月七日)

一、方針
日満獨航空連絡に関連する日獨両国機の支那領域内離着陸及び安西飛行場設置問題は我方の最も重視する所なるを以て速やかに之が解決を期す

二、要綱
(1)前記方針の急速なる実現を期する為北支自由飛行(恵通公司に依る冀察政権範囲内の航空を除くの外一切の自由飛行を含む)の廃止を条件として福岡上海間航空連絡の実現方
   (昭和十年十月二十二日決定の合約案の実行)開談し之を端緒として日満獨航空連絡に関する交渉を開始す
(2)南京政府にして(イ)日満獨航空連絡に関連する前記我方要望を受諾するか或は(ロ)事実上恵通公司の現航空路を冀察外に拡張することを承認するに於いては恵通公司を南京政府の認めたる日支合弁会社に改編するに異存なし


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