同盟市戦役を東方の梟雄はローマ打倒の好機とみて動きはじめる。
執政官となったスッラと
ポントス王ミトリダテス6世エウパトールとの第一次ミトリダテス戦争の始まりだ。
だが、敵はエウパトールだけではなかった。
スッラを敵視するマリウスは護民官であったプブリウス・スルピチウス・ルフスと共謀し
元老院へ働きかけオリエント遠征の総司令官をマリウスとする決議を通したのである。
もっともすんなりと可決されたわけではなく、旧市民派と反対派による流血騒ぎに発展。
スッラにいたってはマリウスの家に隠れることで難を逃れるほどであった。
ローマから脱出しノーラにて編成中であった軍団へ帰り着いたスッラは
「実力を持って汚された名誉を挽回する」と告げた。
兵士たちはスッラへ従った。
この時、軍を離れたのはたった一人であったという…。
3万5千の兵を率いたこのローマ史上初の軍事クーデターだ。
結果から言えば、当時、誰もが思いつきもしなかったこの行動はあっさりと成功する。
慌てふためいたマリウスとスルピチウスは使者を送りローマの手前で軍を止め交渉しようと提案し、スッラは承諾する。
が……使者が帰った途端再び進軍開始。ローマへ侵攻する。
マリウスは逃亡し、スルピチウスは奴隷に殺され、首は晒し者とされる。
スッラは元老院の許可なく法律を通すことを禁じ、民衆派指導者を国賊とする法律を定めマリウス派を追い詰めた。
そして出征するも後を任せたキンナが早速裏切ったり、帰ってきたマリウスがローマを武力制圧したりする。
マリウスは閥族派を粛清しまくった後7度目の執政官就任後14日であっさりと死んでしまうのだが……。
これに対してスッラはローマへ引き返すことはせず、エウパトールとの対決を優先する。
しかし、援軍や補給に関しては望めない厳しい状況に立たされたのは事実である。
資金源としてギリシャ各地における神殿に存在する奉納品に目をつけ没収することにする。
この時、ギリシア人の部下が神殿に赴いたが、
神殿の奥からアポロン神のリュートの音が聞こえたため、恐ろしくなり手ぶらで帰ってきた。
それに対してスッラは「キミは神の意志を間違えて捉えている。それは賛成だというご意思だ。
神が私に喜んで与えるといっているのだから安心して取りに行きなさい」と説き伏せたという。
援軍としては腹心であるルクルスに命じ、同盟国を周り海軍派遣を要請していた。