ヘルフィヨトルは絶望した。
夏くらいは
うるさいひとたちのお守りをしなくて良いと思い、ちょーっと一人旅で羽でも伸ばそうかなどと考えていたヘルフィヨトルは深く絶望した。
それは、
長姉からの海への誘いである。
それを断るわけにもいかず、しかし、たまの休みをまた調停役として潰すのは、もっと嫌である。
そこでヘルフィヨトルは考えた。
二日酔おう、と。
そして、別の行事に参加してしまおう、と。
そこからの行動は早かった。
最早人格の裏も察しているスクルドに計画の全容を話し快く同意を得ると、まずはレースの下準備を整えた。
そして、最後の仕上げに
『たまたま』近くにいたワルキューレから酒を
譲ってもらい、一気飲み。
夏のバーサークレーサーモードへと変化したヘルフィヨトルは、いの一番にレース場へと駆け狂った。
…スクルドは他のワルキューレに対して、ヘルフィヨトルは体調が悪い、としておいてやっているが…果たして、レースの終わりまでに、水着の者達に気付かれずにいられるのだろうか?
それは、
運命の女神にしか分からない。