架空の世界で創作活動及びロールプレイを楽しむ場所です。

ここはイオニア州の島国、マウサネシア連邦共和国だ。

この熱帯の国……3億人近い人口を抱える新興国は、グリヤ海・焼海における地域大国であり、先進国ではないものの一定の技術力を有している。
国名はマウサネシアなのだが、国民は自分の国のことをマウサナと呼ぶ。

しかしこの国の最も特徴的なところは、その国民にある。(マウサネシア人(マウサナ人))
まず、国民のほぼ全員が両性具有の美少女であること。(つまり、両方ついているので男でもあるし女でもある)
そして、国民のほぼ全員に猫耳と尻尾が生えていることである。



私はヤシの木の下で涼んでいた。目線の先にはラテライト(日干しレンガのことで、塀や土壁に多用される。熱帯性の土から作っているので赤っぽい。)の塀に囲まれた広い敷地と、複数の茅葺き屋根の高床式住居(大きい建物というのは少なく、基本的に複数の建物を組み合わせてひとつの家とする)。私の生まれ育った家だ。


▲田舎の伝統家屋のイメージ

家の中では、私と大勢の家族が昼食を取っていた。畳敷きの上に低い長机を出し、座布団を並べて芋雑炊(伝統料理の一つで、米と一緒に芋を煮込む。家庭料理の代表格)と芋餅(フフ。タロイモ等から作るもので、ポリネシア文化圏とも共通する。)を食べるのだ。

そういえば、最後に里帰りしたのは何か月前だっけ……



「夢か。私も軽いホームシックかなぁ」

丸くなって寝ていた(マウサネシア人は猫のように丸くなって寝る)1人のマウサネシア人は、6時に設定した目覚まし時計の音で叩き起された。
眠い目で1DK単身住棟4階の、1人にしては広い寝室を見回し、布団(柔らかいマットを床に敷いて、その上でそのまま寝ているようである)の上で伸び(これも一般的な背伸びではなく、猫のそれに近い)をすると、立ち上がってカーテンを開く。今日も晴れだ。

畳敷き(マウサナの畳なので日本の畳とは少し異なる)の寝室には布団と机と座布団と生活雑貨(木製が多いが、プラスチック製もある)の他には、荷物が置かれている程度である。
単身住棟とは言っても、子供を作る前の夫婦も想定しているため無駄に広い。1人目を妊娠すれば2DK小世帯住棟、3人目を妊娠すれば3DK中世帯住棟……というふうにランクアップしていくのだ。

そして身支度を始める。台所に向かうと、棚からマウサネシア語で『フォー(鰹)』と書かれた袋を取り出した。袋の中身は乾燥した麺が入っている。

『マウサナ人民の一日は一杯のフォーから始まる』とよく言われるが、一人暮らしの都会民にとってはインスタントのフォー(米から作る麺類)は便利なもので、忙しい朝にはちょうどいい。
板間のDKで座布団の上にぺたんと座り(両足を曲げ、その間に尻を落として座る、正座を崩したような座り方。外国では『マウサネシア座り』と呼ばれることもあるくらい、マウサネシア人はよくこの座り方をする。)、低い机で黙々と朝食を食べる。

私は建設省の下っ端公務員、ハルネー・レセット。身長163cm、体重58kgの平均的な社会人だ。人間の女性は自分の体重言わないらしいけど、私らはみんな普通に言うから……

私は元々田舎の出身だったが、地元の学校で1番優秀だったので首都圏の大学に進学し、そのまま公務員試験を受けて建設省に就職した。
最後に里帰りしたのは半年ほど前になるので、次の長期休暇が取れた時は里帰りしようと思う。

食べ終わると、会社の制服に着替える。マウサナでは会社にも制服が存在するがそれは特殊で、短いプリーツスカート(いわゆる絶対領域が出来るくらい短い。)と半袖ワイシャツとネクタイである。
マウサナ国内の仕事の時は、やはり可愛さを優先すべきなので特に下半身(マウサネシア人は短いスカートを好むので、マウサネシアのスカートは皆短い)はそんな格好なのだ。
あとは櫛で髪を整えるだけ。化粧?必要なし、そもそもマウサナにそんな文化はないのだ。(美少女だから、化粧は文化とならなかったようだ。)


▲主人公が住んでいる1DKの部屋のイメージ

玄関を出て、自室のある4階から階段を降りる。5階建ての階段室型住棟(最も一般的なタイプである。中層フラットとも呼ばれる)にエレベーターのような贅沢なものなど付いてないのだ。
団地(マウサナは社会主義国家であるため、都市部ではほぼ全員が団地に住む。家の広さは家族の数で決定される。)を出ると駅に向かう。
駅は急行停車駅で、ホームには大勢が次の電車を待っていた。
自販機で微糖の緑茶(マウサネシア人は苦いものが苦手な傾向にあるため、微糖の緑茶が存在している)を買い、列に並ぶ。

『急行オケオ東行きが10両編成でまいります』

そのような放送があった後少し経つと、ステンレス製の銀色に輝く、やや古い6ドア車両(混みやすい先頭の数両のみで、他は4ドア)がホームに入線して来る。数年前までは冷房のない『はずれ』の車両だったが、改修の時に設置されたため今は全車冷房付きだ。

この駅で10両編成は満員のすしずめ状態となった。これが過密した首都圏の通勤ラッシュの恐ろしさである。
3000万人の人口を抱えるジャヤカラタ首都圏にはこうした路線は珍しくない。首都への一極集中は社会問題となっている。第二の都市は650万人であり、5分の1しかないのだ。
過密なのは鉄道だけではなく、道路もだ。都会民は車を持たない(そもそも団地の駐車場が少ないので物理的に持てない)とはいえ、トラックや社用車等でも渋滞が発生してしまっている。

ジー…フィィィイイイイン…
国産のVVVFが特殊な音を発生させると、電車は動き出した。さすがは毎日大勢の乗客を20年以上運んだとあって軽快に走るが、あと数年で引退して田舎路線に回されるらしい。

他にすることもないので、胸ポケットから携帯電話を取り出し、サイドボタンを押して画面を物理的に開く(つまりガラケー)と今日のニュースを確認することとした。

この携帯電話は国民に無料配布される。電話とメールはもちろん、インターネットやカメラそして便利なアプリもあり、ちょっとしたゲームも楽しめる。
スマートフォンは必要性を感じないし、何より高すぎる。月収と同じかそれの数倍は高い。(物価が安いとこうゆう部分で弊害が来る。)
だからこそ、マウサネシア人の多くは外国とは異なり、未だにガラケーを使っている。携帯電話に限らず、マウサネシアの電化製品はガラパゴス化している。


・南西部サチェリース州で土砂災害発生、国鉄路線に複数の運休[詳細を見る]
・台風17号、南西部サチェリース州に上陸[詳細を見る]
・環境省高官が汚職の疑いで逮捕[詳細を見る]



車窓には団地と公園が延々と続いている。この国の都市部では何処へ行っても同じような風景が広がっているが、不満はない。
狭い部屋でやりくりするのがマウサネシア人というものだし、田舎にある高床式の実家より遥かに住みやすい。重要なのは『どんな家に住むか』ではなく、『与えれた家をどう使うか』だ。
都会の規格化された生活も悪くない。国の命令通りに動き、国に与えられた物で生活する。全てを国が決めるが、その範囲内で好きなように生きればいい。それが楽なのだ。
国が我々の生活を幸せだと言えば我々は幸せだし、不幸だと言えば不幸なのだ。それが幼い頃から教わるこの国の常識。私は幸せだ。

特に面白いニュースも無いのでSNS(マウサネシア国内でしか使えないもの。政府が目を光らせてくれているので平和だ。)をやって数駅分潰すと、職場の最寄り駅に到着した。



職場の部屋は畳敷きだ。長い机 と座布団が置かれていて、部屋の入口で靴を脱いで中に入る。

「やあレセット」

「あ、セアノじゃん。今日は先に来てたんだね」

セアノは同期で、私の恋人でもあるマウサネシア人だ。恋人とは言っても、我々の価値観では親友の延長線にあるのだが。

「まあ、なんか1本早い電車に乗れたからね」

「知ってる?環境省の高官が……」

「あの汚職でしょ?困るよねえ、滅多にないこととはいえ、我々まで評判が悪くなるよ」

「あいつ実は一度会ったことあるんだけど、なんか企んでそうな奴だったよ」

「流石に建設省では汚職とか無いといいねぇ」

「よし、じゃあ仕事を始めるかぁ」

座布団にぺたん座りをして、パソコンを立ち上げてデスクワークを始める。そうして午前中の仕事は11時に終わった。

「じゃあ食堂行こっか。今日は何食べようかなぁ」

「フォーは朝食べたんだよねぇ、だからカレーにしようかなぁ」

社員食堂ですら座布団に座る形式になっており、この職場に限らずマウサネシアには椅子というものが全く浸透していない。椅子に座るのは交通機関くらいだ。

マウサネシアが床に座る文化となったのは『温暖湿潤な気候』がその最大の原因だ。
『地面=床』では湿度が高くなってしまい過ごしにくい上に、雨季の増水では命に関わる。
そこで、床を地面から持ち上げる『高床式建築』が考案され、履き物を脱いで床に座ったり、床で寝るようになったのだ。

昼にはマウサネシア式のカレー(タイカレーみたいなもの)を食べることにした。

「そういやラピタ王国での空港建設の話は知ってる?」

「あれって国内のゼネコンが揉めてたみたいだけど決着したのかな」

「なんかお互いに我田引水しようとして揉めたみたいだけど、そろそろ決着したんじゃないかね」

「同時に参画するスカセバリアルやベルカ、ソビエトのこともあるんだから、国内で揉めるのは賢明じゃないよ。この国の悪い癖さ。」

「まあ多分各社が少しづつ出し合う形になるんだと思うけど、効率悪いよねぇ」

「合理よりも感情と信仰の国、か……」

「お、そろそろ屋上向かうか」

2時前には屋上の社員寺院で簡素な数分間の礼拝を済ませ、1時までは昼寝の時間(マウサネシアには昼寝の風習が存在する)だ。私は自分の席の後ろでマットを敷いて寝ることにした。



午後の仕事の時間になると、私は新しい任務とかで上司に呼び出された。

「突然だが、君にはこのプロジェクトの代表として……ラピタ王国に赴いてもらいたい」

「え?」

「君も下積みの期間は十分やっただろう。君は有能だからこそ、任された。」

プロジェクトの概要について書かれた書類を見る限り、新しい空港を作るのにマウサネシアのゼネコンチームを派遣するらしく、そこのリーダーが私のようだ。
恐らく公平性の観点から役人をリーダーにしたのだろうが……なんか大変そうな仕事だ。

「まあ4ヶ月後だ、できるだけやってみたまえ。」

「分かった。努力するよ。」

「うむ。向こうは王国で、生まれつき偉い人間が居る。くれぐれも失礼が無いように。」

私は自分の席に戻りもう一度プロジェクトの概要を見返すと、再び仕事に戻った。
思えばこれまでは小案件だけだったが、ようやく自分も大きい案件を任されるようになったと考えると、より気を引き締めなければ。

「やっぱりお前に回ってくるんだなぁ、まあ優秀だしな」

「優秀だなんて。田舎ではそうだったけど都会にはもっと優秀なのは沢山いるよ。君もそう。」

「そうかなぁ。まあくれぐれも気を付けてくれよ。各社の代表もピリピリしてるかもしれないし」

「マウサネシア人だから大丈夫だよ、すぐ打ち解けると思う。お偉いさんが対立してても下の人達は絶対仲良くなれる。」

「まあそんなもんか。ところで明日の仕事終わりにディナーでも行かない?」

「いいね。そうしよう。」

そうして5時になり、皆ぞろぞ ろと帰り始めたので私も帰ることにして、5時半までには退社した。

マウサネシア人は残業をしないし、持ち帰り仕事もしないので、役所だろうと民間だろうと定時で帰って、家では遊ぶのだ。

そして、途中までは一緒に帰りつつ(恋人とは言っても、まだ同棲の段階には達してないようだ)行きと同じように帰宅し、階段を登って自宅に入り、玄関で靴を脱ぐ。

スーツのままでは、堅苦しい気がしてくつろげないので、部屋着に着替える。

この後は自分のやりたいことをする時間だ。私は寝室の充電台にパソコンを置いて、パソコンを起動する。


▲パソコンはこうゆうやつ。マウサネシア人は皆これを使っている。

このパソコンは充電台に置くとCPUとiGPUが本来の性能を発揮するようになる。家ではキーボードとマウスを接続するのだ。

この時間は毎日、オンラインゲーム(国内向け)をしたり、ネットサーフィンをしたりする。

今日は中世のマウサネシアを舞台にしたアクションゲームでセアノとマルチプレイを楽しみ、クリアにまた1歩近付いた。

夕飯には帰り際に買った弁当を食べる。弁当屋の野菜炒め弁当は美味で、たちまち食べてしまった。

夕飯の後はネットサーフィンやSNS、軽いゲームをして、そのうちに10時になったので入浴することとした。

マウサネシア人は毎日風呂に入る。シャワー浴びて髪の毛を入念に洗い、続いて身体も洗う。明日はセアノとのディナーがあるので徹底する。

風呂は真四角なので膝を抱えて入らなくてはならない。田舎の実家の風呂はもっと広かった。

「あと4ヶ月……か。」

あと4ヶ月すればラピタ王国への赴任だ。セアノは赴任中私のことを待ってくれないかもしれないけど、それはどうしても避けたいのだ。
それに、その間に里帰りも1度はしておきたい。どうしたものか……

風呂から上がるともう寝る準備だ。明日も6時起きだからそろそろ寝なくてはいけない。

こうして、1人のマウサネシア人は希望と不安を抱きながら布団に入り、眠りについた。

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