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ト・ポニ制とは、かつてモトゥタエ国で行われていた行政制度である。封建制の類型で、首長に仕える者をアリイとして各アフプアアに配置し、その土地の人々を治めさせる仕組である。従属アリイたちは平時は首長に貢納、有事に戦士の提供を行うことが義務づけられているが、あとは自治を認められていた。
この制度の下では首長の権力は強くなく、実際に各地で政治を行うのはその土地のアリイたちであったから、彼らの専横を防ぐためにも強力な中央政府が必要であったのだ。
ラ・ナ朝時代に創始されコータラ朝時代にモトゥタエ国全域で広く施行されたが、首長権の弱体化はコータラ朝が1世紀も持たずに滅亡するという結果をもたらした。ユタ朝時代の首長ワンハン・ラポデとテン・ワンハンによってラシャオ制が確立され、ト・ポニ制は終焉を迎えた。

概要

モトゥタエ国の土地制度で、ト・ポニとは「配慮」という意味である。モトゥタエ国の土地行政制度としては、ラ・ナ朝時代にコウパヴ制が完成していたが、ラ・ナ朝末期にはいるとその体制は崩壊し、モトゥタエ国の軍事力と徴税力は低下していった。そのような中でラ・ナ朝の首長は、功績のあった部下に対し軍事奉仕とひきかえに恩恵として一定の土地の管理と監督を任せ徴税権を与えるト・ポニ制を考案。首長の軍事力を強めようとした。
元々は土地の支配は1代限りで、与えられた本人の死と共に首長に返還される仕組みだった。しかしコータラ朝時代には世襲が一般化し、アリイによる土地の私有地化が進むことになった。コータラ朝後期にはモトゥタエ国全体の7割以上が従属アリイの自治支配に服していたと考えられ、首長といえども簡単には直轄地以外の土地の人々の様子を把握できないようになっていった。
コータラ朝時代のト・ポニ制のもう一つの欠陥は、ラ・ナ朝時代のアリイたちを廃して武功を上げた傭兵を新アリイに据えたことである。アリイとしての誇りや首長への忠誠心の薄いアリイの数が増えたため、アリイに自治を許すことはより危険な状態になっていった。
コータラ朝末期には、アリイたちは首長への戦士の提供を拒否して自分の下に独自の戦士団を組織するようになり、モトゥタエ国ではしばしば反乱が起きるようになった。そのためコータラ朝末期のモトゥタエ国は、多くの地方で首長の支配力が著しく弱まった。
このような事態を受けて、コータラ朝の滅亡後に成立したユタ朝ではト・ポニ制に基づく土地の配給は少なくなり、最終的に国の全土が名目上は首長の直轄地化することになる。アリイたちはラシャオ制の下で首長から俸給を受け取る官僚として各アフプアアを統治するようになっていった。
このように問題が多い制度だったト・ポニ制であるが、それでもラ・ナ朝末期、コータラ朝、ユタ朝初期と3王朝を通じて採用されたのにはそれなりの理由がある。まず第一に、統治コストの大幅な削減が挙げられる。ト・ポニ制では首長は多くの官僚や監察官を維持する必要が無く、従属アリイからの貢納を受け取るだけで良い。その結果、行政機構の肥大化を防ぎつつ行政組織の規模を大幅に縮小することができた。
第二に、武力の増強である。従属アリイたちからの戦士の提供によって一定の頭数を安定的に確保できるし、戦士団の編成もそれぞれのアリイが提供した戦士ごとにまとめれば良いので単純だ。軍事力の強化こそが、首長にとって最も重要であったのだ。
第三に、経済の単純化である。ト・ポニ制の下では、各アリイの支配地ごとに独立した経済圏が成立した。そのため支配者が社会の富の流れを簡単に把握できるようになり、的確な経済政策が実行できたラ・ナ朝末期から続く長い戦乱の時代でもモトゥタエ国の経済が破綻することはなかった。
つまり、ト・ポニ制は経済が低調な戦乱の時代でも手っ取り早く首長の支配体制を確立させることができる「安上がり」な手段であり、それゆえに歴代の3王朝で好まれたのである。

アリイ・エカン

ト・ポニ制の下、アリイたちは基本的にアフプアア単位で土地を与えられたが、中には複数のアフプアアの支配権を認められた者もいた。彼らは通称「アリイ・エカン」と呼ばれ、通常のアフプアアに比べて大きな権力を持っていた。
代表的なアリイ・エカンに、コータラ朝後期のアリイであるカシュガイ・アッガがいる。彼は島の東部にある5つのアフプアアのアリイとなり、その全てを支配した。彼の一族が代々アフプアアの支配者となることで、事実上モトゥタエ国東部を支配下に置いたのである。
アリイ・エカンの多くは、傭兵として活躍した者かその子孫であり、強力な軍隊を有していた。またアリイとしての能力が高く、統治能力に長けていた者も数多い。その一方で、他のアリイたちを支配することに快感を覚えるような傲慢な性格の者も多かったという。

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