最終更新:ID:WPVyUA8VHA 2012年10月19日(金) 00:40:48履歴
猿は人間ではない。
人に近づいた猿も人間ではない。
新人に淘汰された旧人もまた、人間と呼べるか微妙なところだ。
ならば俺達は、今まさに淘汰されようとする俺達は人間なのだろうか。
◇
排気ガスの混ざらない新鮮な空気を肺いっぱいに満たし、体内で若干二酸化炭素濃度が増した空気を再び自然の中へと返す。
それを3度繰り返した後、腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動。
特別、体に不調が無いことを確認すると、バーナード・ホワイトはデイパックを開き、
勢い良く飛び出してきた蝿二匹に、主催の正気を疑った。
「頭おかしい……のは、言うまでもないな」
ぶうんぶうんと頭の周りを飛び回る、人懐っこいのかあるいはバーナードを動く死体と勘違いしている蝿達を遊ばせておきながら、
殺し合いという行為、あるいは武器として蝿2匹を支給した主催への感情を素直に呟く。
次いで、先住民である蝿二匹が解放された後のデイパックの中からタブレットを取り出し、
収録された動画を見ながら、己の命を握る首輪の円周を指でなぞっていた。
嗚呼、なんと素晴らしい日でしょう、私が殺し殺されの人生の中で磨いてきた技術は、
今やたった一人の完全なる御方を楽しませるための道化のパフォーマンスとなったのでございます。
ならば、姫君よ照覧あれ。全ての人間を殺した後、私の顔面で花火を打ち上げましょう。
そんなくだらない道化の前口上が彼の頭を微かに過ぎる。
道化だ、道化なのだ。今の俺はまさしく道化なのだ。
そう思うと、くつくつと腹の底から笑いがこみ上げてくる。
嗚呼、何というショウだろうか。
大量殺人の世界記録を更新中のバーナード・ホワイト、犬の首輪と蝿2匹で殺し合いに挑む。
もちろんボランティアなので、報酬を一ドルだって受け取りはしません。
そして、この殺し合いによって上がった収益は世界中の恵まれない子どもたちの為に使われます。
そして、今日のバーナード・ホワイトさんは、なんと……なんとっ!
お笑い種だ、声を上げて笑ってやれ。
今の今まで人間と呼ばれてきた万物の霊長気取りの猿共を殺すのが何とも嫌になっているのです。
「HA HA HA HA HA 」
◆
バーナード・ホワイトにとって殺人なぞ、食器洗い程度のくだらない日常生活の些事に過ぎないが、
テレビジョンに映し出された旧人狩りと称した大殺戮、その衝撃的な思想はバーナードを強く揺さぶった。
かつて、猿人が淘汰されたように、原人が淘汰されたように、旧人が淘汰されたように、また俺達も淘汰されようとしている。
今までの歴史に習うのらば、あの虐殺者が新たなる人間ということになる。
ならば俺達は何なのだ、生態系の頂点から引きずり降ろされた者はなんと呼べばいい?
……俺は、俺を含めて人間が然程好きではない。
天敵と呼べる生物が失われたことによって、生態系の頂点に立ち続けることによって、言葉に出来ない何かが崩れているような気がしてならないからだ。
故に、俺は殺し殺される人生を選んだ。死線に立ち続けることでその失われた何かを再び取り戻そうと、そうしていた。
そして今、旧人狩りによって俺達にとっての天敵が出来た、生態系のバランスは崩れた。
何かが……崩れ去った何かが再び形作られようとしている。
俺は……俺達は、自然界に存在する一生物へと回帰した。
ならば……ならば…………
旧人狩りがいつの間にか消え、一見には平和を取り戻したある日。
バーナードは一件の依頼を受け、一人の男を殺しに向かった。
銃口を向けてやれば、何時だって変わらない反応が返ってくる。
悔み、怒り、泣き、そして全身から体液を流して命を乞う。
見飽きた光景だ、何時も通りに引き金を引いてやればいい。
不意に旧人狩りの光景がフラッシュバックした。
哀れな猿。
その日、バーナード・ホワイトは人生で初めて殺人の後に嘔吐した。
──バーナード・ホワイトはナチュラリストで人間以外の動物はゴキブリすらも殺すのを嫌がる。
◇
やる気など欠片も湧きはしない
殺し屋でありながら人を殺すのにも気乗りしなくなっている
ぶうんぶうんと蝿が舞う
蝿よ 蝿達よ 俺もお前らと同じなのだ
だから せめて この身に刻んだ技術に誓いを
殺し屋として この世界唯一の人間を
完全者ミュカレ 貴様を 殺す
【F-7/平原/1日目・朝】
【バーナード・ホワイト@アウトフォクシーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、「ヨシダくん」、「サトウくん」
[思考・状況]
基本:ミュカレを殺す
人に近づいた猿も人間ではない。
新人に淘汰された旧人もまた、人間と呼べるか微妙なところだ。
ならば俺達は、今まさに淘汰されようとする俺達は人間なのだろうか。
◇
排気ガスの混ざらない新鮮な空気を肺いっぱいに満たし、体内で若干二酸化炭素濃度が増した空気を再び自然の中へと返す。
それを3度繰り返した後、腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動。
特別、体に不調が無いことを確認すると、バーナード・ホワイトはデイパックを開き、
勢い良く飛び出してきた蝿二匹に、主催の正気を疑った。
「頭おかしい……のは、言うまでもないな」
ぶうんぶうんと頭の周りを飛び回る、人懐っこいのかあるいはバーナードを動く死体と勘違いしている蝿達を遊ばせておきながら、
殺し合いという行為、あるいは武器として蝿2匹を支給した主催への感情を素直に呟く。
次いで、先住民である蝿二匹が解放された後のデイパックの中からタブレットを取り出し、
収録された動画を見ながら、己の命を握る首輪の円周を指でなぞっていた。
嗚呼、なんと素晴らしい日でしょう、私が殺し殺されの人生の中で磨いてきた技術は、
今やたった一人の完全なる御方を楽しませるための道化のパフォーマンスとなったのでございます。
ならば、姫君よ照覧あれ。全ての人間を殺した後、私の顔面で花火を打ち上げましょう。
そんなくだらない道化の前口上が彼の頭を微かに過ぎる。
道化だ、道化なのだ。今の俺はまさしく道化なのだ。
そう思うと、くつくつと腹の底から笑いがこみ上げてくる。
嗚呼、何というショウだろうか。
大量殺人の世界記録を更新中のバーナード・ホワイト、犬の首輪と蝿2匹で殺し合いに挑む。
もちろんボランティアなので、報酬を一ドルだって受け取りはしません。
そして、この殺し合いによって上がった収益は世界中の恵まれない子どもたちの為に使われます。
そして、今日のバーナード・ホワイトさんは、なんと……なんとっ!
お笑い種だ、声を上げて笑ってやれ。
今の今まで人間と呼ばれてきた万物の霊長気取りの猿共を殺すのが何とも嫌になっているのです。
「HA HA HA HA HA 」
◆
バーナード・ホワイトにとって殺人なぞ、食器洗い程度のくだらない日常生活の些事に過ぎないが、
テレビジョンに映し出された旧人狩りと称した大殺戮、その衝撃的な思想はバーナードを強く揺さぶった。
かつて、猿人が淘汰されたように、原人が淘汰されたように、旧人が淘汰されたように、また俺達も淘汰されようとしている。
今までの歴史に習うのらば、あの虐殺者が新たなる人間ということになる。
ならば俺達は何なのだ、生態系の頂点から引きずり降ろされた者はなんと呼べばいい?
……俺は、俺を含めて人間が然程好きではない。
天敵と呼べる生物が失われたことによって、生態系の頂点に立ち続けることによって、言葉に出来ない何かが崩れているような気がしてならないからだ。
故に、俺は殺し殺される人生を選んだ。死線に立ち続けることでその失われた何かを再び取り戻そうと、そうしていた。
そして今、旧人狩りによって俺達にとっての天敵が出来た、生態系のバランスは崩れた。
何かが……崩れ去った何かが再び形作られようとしている。
俺は……俺達は、自然界に存在する一生物へと回帰した。
ならば……ならば…………
旧人狩りがいつの間にか消え、一見には平和を取り戻したある日。
バーナードは一件の依頼を受け、一人の男を殺しに向かった。
銃口を向けてやれば、何時だって変わらない反応が返ってくる。
悔み、怒り、泣き、そして全身から体液を流して命を乞う。
見飽きた光景だ、何時も通りに引き金を引いてやればいい。
不意に旧人狩りの光景がフラッシュバックした。
哀れな猿。
その日、バーナード・ホワイトは人生で初めて殺人の後に嘔吐した。
──バーナード・ホワイトはナチュラリストで人間以外の動物はゴキブリすらも殺すのを嫌がる。
◇
やる気など欠片も湧きはしない
殺し屋でありながら人を殺すのにも気乗りしなくなっている
ぶうんぶうんと蝿が舞う
蝿よ 蝿達よ 俺もお前らと同じなのだ
だから せめて この身に刻んだ技術に誓いを
殺し屋として この世界唯一の人間を
完全者ミュカレ 貴様を 殺す
【F-7/平原/1日目・朝】
【バーナード・ホワイト@アウトフォクシーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、「ヨシダくん」、「サトウくん」
[思考・状況]
基本:ミュカレを殺す
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