下中座の全てが分かる”下中座百科事典”です。

所在地・活動拠点

現在、下中座が公式に所在地としている場所は、座長宅のある小田原市酒匂です*1

現在、下中座が公式に稽古場としている場所は、秋季〜春季(11月〜翌年6月)が小竹公民館、夏季(7月〜10月)が橘タウンセンターこゆるぎです。

江戸〜昭和前期頃までは、小竹地区にある小竹山東際寺内の華衣観音堂や座員宅等を活動の拠点としていました。『天保の改革』に伴い芸能等が禁止された際にも、村人は土蔵や村内各所にある横穴墓に人形を隠し、『虫干し』と称して隠れて人形を遣っていたという伝承があります*2

戦後は小竹青年会場を活動の拠点としていましたが、建物の老朽化により雨漏りが発生し、これを修繕できなかったことから、人形の屋台等に甚大な損害が発生してしまいました。小竹青年会場は解体されることになったことから、下中座は、平成5年(1993年)に道具等を小竹地区約3km南方の前川地区にあった橘支所*3に移し、新しい拠点としました。

しかし、この橘支所も県道整備による立ち退きの対象になると、備品の収蔵施設と稽古等の活動拠点の確保が必要になりました。平成23年(2011年)に羽根尾工業団地内に建設された橘タウンセンターこゆるぎ内に活動拠点を移動し、さらに平成25年(2013年)3月2日に小竹青年会場跡地に建てられた小竹公民館へと移動しました。

現在、座の備品の大半は小竹公民館に設けられた下中座の収蔵施設内に収められ、大道具は小田原市立下中小学校そばにある収蔵施設へ収蔵しています。

組織

下中座の役職は以下のとおりです。
  • 座長  1名*4
  • 副座長 3名以内*5
  • 会計  1名*6
  • 幹事 若干名*7
  • 監査  1名*8
  • 顧問*9
役職のうち座長、副座長、会計の三役で「三役会」を設け*10、座の運営は三役会を軸に行われています。

座長は座の総会において座員の互選で決定されています*11。ただし岸忠義前座長、林美禰子座長の二代の座長の選出については、前座長(それぞれ小澤孝蔵元座長、岸前座長)の後継指名がありました。

歴史的には座長あるいは座長格の人たちには、小澤八郎左衛門のような名主や、岸林蔵や小澤弥太郎のような村議を務めるような名士が就任していました。また、人形を遣いながらその職を務める人が多く、林座長も人形を遣うことがあります。
ただし、岸前座長は専らマネジメントのみを行い人形を遣うことはありませんでした。これは岸前座長が、座長就任の際の約束として「(自身は)人形を遣わない」としたことによります*12

座長は、座の公演のセッティングや出演依頼交渉、行政や他団体との折衝から座の会務に至るまでを総括しています*13

副座長は、座長の補佐をします*14が、座長から委任を受けて、座の会務の一部を執行することがあります。

会計は、下中座の会計を掌理しています*15

幹事は、座の業務に応じて臨時的に座長が任命します*16。広報・ホームページを担当する幹事や首等備品管理を担当する幹事などがあります。

顧問は、座長が総会の合意を得て委嘱します*17。設置は任意のため常設の役職ではありませんが、三役会への出席や意見陳述が出来ます。


相模人形芝居の指導は、平成30年(2018年)現在、長年にわたり相模人形芝居を研究してきた林座長を筆頭に、ベテランの人形遣いが若手や新加入の座員に対して指導する形になっています。

昭和中期までの座員は、小竹地区や近郷在住の農民を中心に構成されていました。
しかし、下中座は昭和末年頃に極端な座員の減少を経験し、存続の危機を迎えてしまいました。
その反省から座員になる要件を大幅に緩和した結果、現在では農業従事者以外にも、会社員、公務員、主婦、学生など座員の職業階層は多様化し、年齢層も80代から10代までと幅広くなり、座員の出身地・在住地も小竹地区近郊を中心に広域化しています。

下中座には、写真記録等にのみ従事する座員など、人形を遣わない座員も存在します。活動記録の保存や備品の整備など人形を遣うこと以外にも、座の運営においては大切な業務が数多くあり、サブスタッフの充実は座の活動にとってとても大切であるとしています。
また座員以外の協力者も相当数存在しています。下中座の活動に理解と協力を依頼し、首、衣裳などの備品の整備等、活動環境の充実に努めているとしています。
このため現在存在する相模人形芝居を伝承する5つの座の中でも備品及び周辺環境等の整備が進んでいるとされています。

備品

  • 所有する首(かしら)の数……92個*18

平成9年(1997年)時点で所有する首の数は55個ありましたが、その後の整備等によって、所有数は大幅に増え、相模人形芝居を伝承する5座の中で最も多い首の所有数を誇っています。
これにあわせて手足・衣装・大道具・小道具等も整備されています。

整備資金には、座の自己負担のほか、国・県・市の補助金や民間財団の助成金が充てられています。
主な助成団体には、 芸術文化振興基金、さがみ信用金庫地域文化芸術振興基金、公益財団法人東日本鉄道文化財団があります。

大規模な整備による芸態の変容の恐れに対し、学識経験者で構成される首等整備検討委員会を設置して整備内容について審議し、変容防止に努めています。
また、整備を行う際には事前に資料調査等を欠かさず行うことで、写真撮影や実測などの記録保存を行いながら整備を行っており、これらは『台帳』として整備・管理されています。整備・更新により使用されなくなった備品類は、永年保存されています。

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