エザリアンの孤児院で育ち、
メファイザスと共に悪ガキコンビを組んでいた。同僚の評判は悪かったが、妹弟子
アレス、そして師である
エザリアンは、この二人の才能を見抜き、二人を理解していた。
独り立ちする年齢になると、まずは放浪の旅を始め、諸国を回った結果、自らの手で天下の兵馬を動かすことこそが自分の居場所だと思い始め、
アレスの招きに応じて
レイディックが治める
ロードレア国へ仕官する。
初陣にあたる
レザベリアスの戦い(692)では、自分が無名なことを逆手に取った策で
カルディスを討ち取るという鮮烈のデビューを飾る。
その後も
レイディックの東征(692)で政策、軍事ともに卓越した才能を見せ、
フィードの戦い(693)の頃から、
ロードレア四天王の筆頭として、国内外にその名を馳せる。
しかし、
ラディアの死(
舞姫散華)によって、取れたはずの天下を
レイディックが捨てたと、かねてから立案していた「5年天下取りの策」を自ら焼き捨てた。(この策の存在に関しては、後世の創作と言う説もある)
それでも彼の采配は健在で、
エスデリアの戦い(696)では、
ロッド国の謀将
ギザイアを難なく破っている。
698年、
レイディックが突然の死を迎えると、
ロードレアの内乱(698)が勃発。
ヴェリアは
アレス、
バイアラス、
リディと言った知勇兼備の将軍を従えて、謀反人
アルヴァドスを打ち破り、
ロードレア国主となる。
ベルザフィリス国と本格的な対決となった
ディースの戦い(701)では、陣営の差から戦場での勝利は譲る者の、勝者であった筈の
ディルセアを怯えさせ、702年の
第2次ディースの戦いで
ディルセアを破る。
こうして
ベルザフィリス国を抑えると、かねてよりの計画であった、歴史上かつて無い大遠征(
ヴェリアの大遠征)を計画。
1年の準備を要して実行され、
ロー・レアルス国に侵攻、序盤は計画通りにことが進むが、やがて彼の前に思わぬ壁が立ちはだかる。
兵士を「駒」としてすべて計算通りに自由自在に操る天才であった彼だが、その駒も人間であるという根本的なことを忘れていたのか、長期戦による兵士たちの心理的な不安にまでは考えが及ばず、追い詰められた兵士達は略奪と謀略に走り始める。
更に、彼の前にはもう一人の天才
メファイザスが立ちはだかり、
リアーズ冬の陣(704)で戦局は逆転、撤退を余儀なくされる。
アレスを失ったヴェリアは、歴史的悪女の
ルフィに惑わされ衰退の一途をたどったと伝えられ、人格が崩壊したかの様に描かれいるが、近年の研究においてそのエピソードのほとんどが後世の創作であったことが判明し、史実においては
フェルス城の戦い(706)で
ディルセアを相手に完勝するなど、その慧眼がいまだ衰えていないことを見せ、現在では再び
ヴェリア像の見直しがされている。
しかし、
ロー・レアルス、
ベルザフィリス、
フェルスデッドといった強国を同時に相手にするという心理的重圧、そして西の果てから東の果てに移動して連戦しなければならない肉体的疲労、更に、信頼していた将の
一月の別離酒による裏切り(現在では、この原因を作ったのは
ヴェリアではなく
ルフィと言われている)、これらの事が重なり、彼の体を蝕んでいた。
ロー・レアルス国の
ルーを相手に
ネルヴァの戦い(707)で互角に戦うが、突如陣中で吐血して、そのまま没した。
彼は、出陣前に自分に何かあれば
ミリフォンを新たな国主にする等、後継におけるあらゆる手をうっていたが、それでも彼の死は、
ロードレア国滅亡のはじまりであった。