「タスク、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
出撃から帰ってくるなり呼び止められてしまった。
「な、なんでしょうレオナ様」
言葉の中に微かな怒りが含まれていることにはすぐ気づいた。
すぐに卑屈な態度をとってしまう自分が情けないが、これも惚れた弱みでしょうがない。
それにレオナは怒った時がより綺麗だと思っているから、つい余計なことを言ってしまう。
でも今度は何に怒っているんだ?
「戦闘のときに『いくぞレオナ、今が駆け抜ける時!』って言ってたでしょ。エルザ…レーツェルの真似なんかしてどういうつもり?だいたいいつ私があなたのトロンベになったのかしら?」
「そ、それには訳があるんですよ、レオナ様。」
「答えによっては容赦しないわよ?」
うぅ、恐い、だけど綺麗だよレオナ。
「その、レーツェルさんやライさんってレオナの従兄弟だろ?」
「だから何だっていうの?」
「将来俺達が結婚したら俺にとっても従兄弟って訳で、でも俺はあの人たちと比べるとかっこよくないだろ?格好よさを真似したいんだよ。」
「結婚!?な、何言ってるのよ。私達そんな関係じゃないわよ!」
真っ赤になってうろたえるレオナも可愛いなぁ。
「だいたいレーツェルが格好いいって本気で言ってるの?あなたの趣味を疑うわよ。目指すならライディースにしてちょうだい。」
「今の言葉、聞き捨てならんぞ。」
「兄さんの素晴らしさが解らないとは情けないな、レオナ。」
「ライディース、あ、あなたまでそんな格好を」
レオナの鬱な声に振り返るといつの間に来たのか、変装したブランシュタイン兄弟がいた。
変装した、と言うのはライさんまであのゴーグルをつけているからだ。バレバレだけどね。
レーツェルさんまだ予備のゴーグル持ってたらくれるかな、俺もゴーグル戦隊に入りたいっす!
「私の趣味がどうかと言う話は改めてするとして、私達はタスク君はレオナに似合いだと思うぞ。」
「ホ、ホントっすか!?レーツェルさんに認めてもらえて嬉しいです!」
「一体どこが似合いだっていうの?いい加減なことは言わないで!」
「それはな、レオナ。彼が持っている『加速』だよ。わが一族に絶対必要な要素だ。」
「ライ、そんなことで。加速を持っている人は他にもいるわ。キョウスケ隊長やユウキ少尉だって…」
「だが彼らには恋人がいるだろう?」
「それに彼は『愛』や『幸運』を持つ『ラッキー』な男だ。きっとお前を幸せにしてくれるぞ。」
「はい、俺絶対レオナを幸せにします!」
「我々は君達を応援するからな。頑張れよ。」
「兄さん、そろそろ夕食の準備に取り掛かろう。」
「そうだな。ではさらばだ。」
「ちょっと、勝手にそんなこと決めないで!」
言いたい放題しゃべった従兄弟達は
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 ♪ゴーグルゴーグルゴー!
 ⊂彡
と大声で謳いながら去っていった。やっぱりカッコいいぜトロンベ兄弟!
レオナは怒りの向け場を失って、冷たい目で俺を見ている。
目の前の現実から逃げるようにレーツェルさん手作りの夕飯が楽しみだなぁと思っていると、振り返ったレーツェルさんが格納庫中に響く大声で話し始めた。
「そうそう、タスク君。」
「なんですか?」
「トロンベはレオナではなく君のほうだぞ。」
「へ?」
「ベッドの中ではいつもレオナが君をのりこなしてるだろう?」
「な、なんでそんなこと知ってるんですか!」
バチーン!
レオナの平手打ちがヒットして薄れゆく意識の中、整備班の大笑いする姿が見えた…

それから暫くの間レオナには無視され、俺の愛機は『ジガンスクード・ドゥロンベ』、俺は『ドゥロンベさん』と呼ばれるようになった。く〜、カッコ悪いぜ!


格納庫での一件からもう一週間が経った。
「本当に、なんとかしてくださいよ〜」
ドゥロンベこと俺、タスク・シングウジはヒリュウ改の調理場で本物のトロンベさんに愚痴っていた。
「夫婦喧嘩は犬も喰わないと言うからな、自分で何とかしたまえ。」
「そんなぁ。一週間も経つのにレオナは口もきいてくれないんですよ?どうしたらいいのかわかんないですよ。」
「フッ、今作っているケーキを持っていくがいい。レオナも女の子だ、甘いお菓子は嫌いではないだろう?」
最初はなんで俺を誘ったのか解らなかったけど、仲直りのきっかけを作ろうとしてくれたのか。
「レーツェルさん、ありがとうございます!」
やっぱりカッコいいぜ!なんでレオナにはこのカッコよさが解んないかなぁ?
男なら目指すはレーツェルさんだよ。
「兄さん、やっぱりここにいたのか。ん?タスクも一緒か。」
「ライさん、邪魔だったら俺、席はずしますよ。」
「ん、あぁ…、兄さん、タスクにゴーグルをあげたということは?」
「そうだ、わが一族として認めたということだ。正式に一員になるのはレオナと結婚してからだがな。」
さっき、料理に誘われたときに俺はゴーグルを貰っていた。
今調理室にはお揃いのゴーグルをつけた三人の男がいる。うち二人はひらひらのエプロンつきだ。
「なら遠慮することはないな、一緒に聞いてくれ。兄さん、そろそろ例の事を本気で考えるべきだと思うんだが。」
「例の事ってなんですか?」
「それはな、タスク君。旧西暦から代々我が家に伝わる言い伝えだ。」
「地球に危機が訪れたとき、スーパー戦隊を結成して世界を救うのがブランシュタイン家の隠された使命なのだ!」
「ス、スーパー戦隊!?」
「言い伝えでは五人必要なのだが、兄さん、私にレオナとタスク。後一人まで来たのでそろそろ名前を相談しに来たんだ。」
「名前っすか?」
「『竜巻戦隊トロンベマン』とか、『バトルトロンベJ』とかな。」
「ちょっと待ってください、スーパー戦隊って事は皆色が付くんですよね?俺は何色?」
「お前は、…黄色かな、兄さん?」
「そうだな、私が黒でお前は青だ。」
「おれ、カレーは苦手なんすけど…。」
やっぱり俺はそういうポジションか、としょんぼりしていると廊下から声がした。
「私は何色かしら?」
「赤」
「赤だな。」
「レオナはピンク!」
「ほう、レオナはピンクか、女の子らしい下着だな。」
「いや、下着は黒で大人っぽいですよ。」
ん?レオナ?恐る恐る振り返ると目を吊り上げたレオナ様がいる。
「マイヤー叔父様もあなた達も、言い伝えを信じて真面目に相談なんかして。
どうしてうちの男達はこうも馬鹿なのかしら。情けないわね。」
「『うちの男達』にはタスク君も入っているのかな?」
「あらっ、タスクってどなたかしら?」
ひ〜、また怒らせちゃったよ〜。
「レオナはどんな名前がいいと思うんだ?」
「そうね、私は『トロンベ電撃隊』がって、変なこと言わせないでよ!」
「そうか、その手があったか!さすがレオナだな。」
「どういう意味だ、兄さん?」
「最初は『核に電気、重力磁力』の四つの力で、中盤新メンバー『ビッグワン』が加わるのだ。今の我々の状況にぴったりではないか!」
「なるほど。だが『ビッグワン』は目立つし仲間になるのが遅いしで兄さんがピッタリだぞ。やっぱり俺は『バトルトロンベJ』を推すな。」
「それではバトルフランスを誰がする?我々がドイツ系であることを忘れてはいかんぞ、ライ。」
「確かに、タスクはバトルジャパンだし無理があるか。」
「もぅ、ついていけないわね。失礼するわ。」
あ〜待ってくださいよレオナ様、とりあえずこの話早いとこ終わらせないと!
「あ、あの〜」
「なんだね、タスク君。いいアイデアがあるのか?」
「はぁ、『大戦隊トロンベV(ファイブ)』ってのはどうでしょう?皆お揃いのゴーグルつけて、♪ゴーグルレッとまずいまずい、『(トロンベゴー!)トロンベレッド♪トロンベブラック♪ブルーイエローピンク♪振りかざせ念動剣♪スクラム組んで〜♪』って感じで。」
「ほう、いいな。タスク君に歌の才能があるとは知らなかったぞ。」
「歌の才能っていっても、この間お二人が格納庫で歌ってたのに歌詞付けただけっすから。」
「歌がつくと念動爆砕剣と言うネーミングが格好よく聞こえるな。よし、リュウセイとアヤ大尉にはレオナ達と替わってもらおう。」
「じゃあ決まりって事で。お先に失礼しまっす!」
「待て!」
「はい?」
「ケーキを忘れずにな。さっき来たのも甘い匂いに誘われたんだろう。」
「うまくやれよ、タスク。」
「あ、ありがとうございます!」
俺は急いでレオナを追いかけた。早く仲直りしないと!

「戦隊の名前やロボに目処がついたとなると、残る問題は五人目だな。」
「兄さんには心当たりが?」
「ある。だがその鍵を握るのはライディース、お前だ。」
「どういう意味です?」
「シャイン王女、と言えば解るだろう?」
「で、でも彼女はまだ12歳ですよ!?」
「ライ、わが一族の悲願のためだ。それに彼女の思いにお前も気づいているのだろう?」
「!それは…。」
「五人揃えばスーパー戦隊は無敵だ。たとえイングラムやギリアムが真の力を取り戻しても、再びカイが無限増殖の秘術を使ったとしても、我々を倒すことは出来ん。」
「そのために利用しろ、と?」
「どう考えるかはお前次第だ。気が進まなければ無理にとは言わん。」
「私は…。」

コンコン。
「どなた?」
「俺です、タスクです。」
「何の御用かしら?」
名乗ったとたんに、レオナの声は冷たく他人行儀になった。
「その、話がしたいんだ。開けてくれよ。」
「…。分かったわ、今着替えてるから待ってて。」
ニ、三分して、ドアが開いた。
レオナは無言のままだ、うぅ、やっぱり怒ってるなぁ。
「そんなところにいられたら迷惑だわ。早く入って。」
「はい、失礼します。」
「話ってなにかしら?」
完全にレオナ『様』モードだ。とりあえず和ませないと話を聞いてももらえない。
悲しいかな今までの下僕体験で学習した対処法だ。あ、そういえば。
「さっき、ケーキ焼いたんでお召し上がりください。」
「調理場で作ってたのはそれね。レーツェルが作ったの?」
「俺も一緒に作りました。」
「あなたも?」
「レオナ様に食べてほしくて。」
本当はレーツェルさんに言われて訳もわからず作ってたけど、嘘も方便だ。それに、
「ふ、ふ〜ん。どんなケーキかしら?」
やっぱり成功だ、ちょっと表情が和らいでる!後はケーキ次第だ。
「あら、これって…」
俺とケーキを見比べてる。失敗か!?
「本当にあなた作ったの?」
「え〜と、ほとんどはレーツェルさんが…。」
「ふふ、でしょうね。フロッケンザーネ トルテなんてあなた知ってるわけないものね。」
「ふろっけん?そんな名前なんだ、これ。」
「そうよ、雪が積もったみたいに白くて綺麗でしょう?私の大好きなケーキよ。」
レーツェルさんの言ったとおり、大好きなケーキとわかった途端にニコニコしてる。
怒った時の凛とした顔も好きだけど、やっぱり好きな子が楽しそうにしてる顔が一番だ。
甘いお菓子の威力は絶大、よく覚えとこう。
「タスク、お茶を淹れてくれる?一緒に食べましょ。」
「はい、喜んで!」
一週間ぶりに名前で呼ばれた嬉しさのあまり、居酒屋の店員のような返事をしてしまった。
その後、ケーキを食べながらこの一週間のことをあれやこれやと話した。
楽しいひと時はあっという間に過ぎる、と言うのは本当で、気づけば消灯時間はとっくに過ぎていた。
「じゃあ、そろそろ帰るよ。」
「あ、ちょっと…。」
「どうしたの?」
立ち上がりかけてレオナの顔をみると、彼女は思いがけないことを言った。
「一緒にいたいの。…朝までそばにいて。」
俺のズボンの裾をっギュッと握り、上目使いに潤んだ瞳で見つめている。
「レオナ、いいのか?」
「意地悪な事言わないで。」
「いや、ストッキングしてるから今日は拙いかなって。」
「コレ?生理じゃないわ。実はね、ガーター着けてるの。」
耳元で囁かれ、興奮して聞き返した。
「マ、マジで!?」
「あなた大人っぽいのスキでしょ。
リン社長におねだりして貰ったのにさっき着替えたんだけど、嫌い?」
人指し指をくわえて上目遣いに聞いてくる。俺だけが知ってるレオナタンですよ。
こんな可愛いレオナタンを前にして我慢できないっす!
「見たい見たい、見せてください。むしろ脱ぐのお手伝いしまーす!」
「え?ちょ、ちょっと待って!」
レオナは慌ててジタバタもがいたけど脱がせ慣れてる俺に敵うはずもない。
あっという間に下着だけの姿にされて、真っ赤になっている。
「もう、少しは順番考えて!」
「順番?」
「恋人同士ならキスをしたり、『レオナ、好きだよ』とかあって、脱がせるのはそれからでしょ!」
「うぅ、ゴメン。でもさ、想像しただけで我慢できなくって。俺、レオナが欲しいんだ。」
「もう、馬鹿な事言わないで。」
「ホントホント!本気ですよ。」
「まあいいわ、許してあげる。私もタスクと同じ気持ちだし…。」
「え?俺がどうしたの?」
「な、なんでもないわ!」
聞かなくてもだいたい解るけど意地悪してみた。あーもう、照れちゃって可愛いよレオナ。
「そ、それでご覧になった感想はどうなの?」
態勢を立て直そうと話をそらしてきた。この返答次第では部屋から叩き出される危険がある。
ベッドに腰掛けて、考え込んだ。
「うーん、いい感じっぽいけど全体が見えないなぁ。ちょっとポーズとって見てよ。」
「ポーズ?」
「そ、女豹のポーズとかさ、雑誌のグラビアみたいなの。」
「そんなの無理よ。できないわ。」
「いやいや、俺だけのためのファッションショーだと思って。」
「そう言われても…。んー、こ、こういう感じかしら?」
口では嫌がっていてもやりだすとノリノリだ。ぎこちない感じが堪りませんよレオナ様。
白くしなやかな肢体に黒い下着がアクセントになり、リン社長に貰ったガーターベルトとストッキングがよりいっそうセクシーさを強調している。
ぼぅっと、レオナの様々なポーズを前のめりになって見ていると、
「ちょっと、聞いてるの!?」
「へ?な、なに?」
「感想はって聞いたのよ。でも聞く必要なかったわね。
私にうっとり見とれて、こっちも元気になって…。」
レオナの手がズボンの上から俺自身を撫で回している。
「あ、あの、レオナ。」
「なあに?」
「シャワー浴びたいんだけど。」
「ダ・メ・よ!私もう我慢できないわ。」
そう言いつつ俺の下半身を脱がしていく。
「さっきのお返しよ。容赦しないんだから、覚悟なさい!」
チュッと先端にキスをして、慣れた手つきでゆっくりとしごき始める。
「一週間ぶりなんだから、七回は頑張ってね!」
「そんなに!?あのー、二三回で勘弁して?」
「ダメよ。言ったでしょ、これはお仕置きだって。」
そう言うと、亀頭をチロチロと舌で舐め始めた。
「ねぇ、頑張ってくれる?できるわよね?」
少しずつ、動きが激しくなっていく。と、急に手や舌が止まる。
「出来ないならいいわ、役ただずに用は無いの。」
今更それは無いよ、レオナ様。
「レオナ様が満足するまでお付き合いします。」
「うふ、大好きよタスク。頑張って!」
あひゃ。小悪魔ってレオナのことなんだろうか。
「そうだ、ちょっと立ってみて。いつもと違うことしてア・ゲ・ル!」
「へ?こ、こう?」
言われるままに立ち上がるとレオナがパクッと咥えこんだ。
根元まで咥えこむと頭を激しく前後に動かし、喉の奥まで肉棒が突き刺さる。
グポッグポッと卑猥な音が室内に響き、唾とは違う粘り気のある体液が絡みつく。
「んん、ほう?ひほひいい?」
苦しいんだろうか、レオナの瞳は赤く潤んでいる。
「気持ちいいよ!いつもとはぜんぜん違う感じ。でも苦しいんなら無理しなくても…」
「ん、ぷはぁ、気にしないで。タスクが喜んでくれるなら…気にならないわ。」
嬉しいことを言ってくれつつも、手は『お仕置き』を休めない。
「あのさぁ、こんな事どこで覚えたの?」
俺の知識の中にはこんなテクは無い。微かな不安が芽生える。
「リン社長にタスクのこと相談に行ったら、ガーターとコレの仕方教えてくれたのよ。…もしかして浮気の心配してるの?」
「いや、そういうわけじゃ…。」
「そう?で、どうする?もっとしてほしい?」
「レオナの可愛い口をもっと犯したい!」
「貴方って本当にエッチね。私が興奮することわかっててそんな事言うんだから。」
そう言うとレオナは再び口を使い始める。
あまりの気持ちよさに、レオナの頭を掴んだ。手にサラサラの金髪が絡む。
そして、より強い快楽を得ようと自然に腰が動く。
レオナは一瞬驚いた目をしていたが動くのを止め、そっと手を俺の腰に回し、思うがままにさせてくれた。
「レオナ、俺もう…限界…!いつもみたいに中に出していいか?」
レオナはコクン、とうなずいた。
その仕草に、俺は阻止限界点を突破して熱い想いを噴き出してしまった。
一週間ぶりの射精の後、レオナはガハッ、ゲホッとむせている。
「大丈夫か?」
「こんないっぱい出しちゃって!タスクのが濃くって喉に絡んじゃったわ。」
「レオナ、そのー、ありがと。気持ちよかったぜ。」
「そう?よかった。でもまだ一回よ。」
ニヤリ、とレオナは笑った。後六回、本気なんですねレオナ様。

レオナとタスクの長い夜が始まった頃、思い悩む男女がいた。

「本当にうまくいくのか?」
兄さんと綿密な打ち合わせを繰り返したが、いざとなると落ち着かない。
それにラウンジを選んだのは間違いだったかもしれない。
ちらほらだが、人はいるしそのどれもがカップルだ。
シャイン王女に変な誤解を与えてしまわないだろうか。
なによりも、やっぱり恥ずかしいよ、兄さん。
『ライよ、迷うな。今こそ駆け抜ける時!』
別れ際の言葉が蘇る。
そうだ、わが一族の悲願のため、兄さんのため、ここで立ち止まるわけには行かない。
覚悟を決めてラウンジへの一歩を踏み出した。

「ライディース様のお話ってなにかしら?」
ヒリュウ改には、外宇宙探査航行艦時代の名残で展望ラウンジがある。
漆黒の宇宙に瞬く満天の星空がロマンティックで、もう止まらないって感じ。
狭い艦内でのデートスポットとして有名な場所。
二人で話をしたい、とここに誘われたけど、もしかしてプロポーズ!?
そんな、キスだってまだなのに!?急すぎて困っちゃうわ!
ということは、義姉上萌え〜とか、実は男好きって噂は嘘?嘘なのね!?
そうよ、ライディース様はもてるから、きっとカモフラージュなのよ!

「シャイン王女、私と一緒にトロンベ戦隊で地球を救いましょう!」
跪き、一輪のバラの花を差し出した。
「はぁ?わけワカmじゃなかった、えーっと、どういうことですの?」
この反応は失敗かと思いつつ、かくかくしかじか、説明をすると王女の目が輝きだした。
「それじゃあ、ライディース様ともっと長い時間一緒にいられるんですね!」
「まぁ、そういうことになると思いますが。」
「なら異存はありませんわ。私も参加させていただきます!」
「ありがとうございます、シャイン王女。」
やったよ、兄さん!スカウト成功だ。
気づくと横に座るシャイン王女が腕を絡め、静かに口を開いた。
「私、本当のことを言うと、プロポーズかと思っていたんですの。」
「プ、プロポーズ!?」
「でもライディース様にとって今の私はパイロット仲間でしかないんですよね。プロポーズはお互いのことをもっと知って、少しずつ仲良くなって、私に愛情を持ってくださる時まで我慢しますわ。」
微笑むシャイン王女に胸が痛む。
私には貴女を愛せない、思わず口にしそうになった言葉を飲み込んだ。
八歳の年の差とか、身分の違いとか、そんなことよりもっと根本的な…。
「理想の女性になれるように努力しますから、
私を優しく導いてくださいね、ライディース様!」
「…努力いたしましょう。」
強張った笑顔でそう言うのがやっとだった。
少女の淡い想いを利用している罪悪感が私に重くのしかかる。

御許しください、私は兄さんハァハァなんですシャイン王女。


「そ、それじゃあ今度はレオナの番って事で。ちょっとここ立ってくれる?」
備え付けの机の前を指差した。
「こんな所でするつもりなの?」
「いつもベッドの上じゃ飽きるだろ?今日はいつもと違う感じで、ね?」
気乗りしない様子のレオナの後ろに立つと、ばっと胸を鷲掴みにした。
ブラの上からでも柔らかさが伝わってくる。
モミモミしつつ、うなじに下を這わせる。しばらくすると
「はぁ…うんっ…あっ…」
気持ちよさそうなため息が口から漏れる。
ブラを取って乳首をつまんだり引っ張ったり、指先で転がしたり。
「あんっ、気持ちいい…」
じっくりと堪能したところで脇腹、腰と手を滑らせていく。
しゃがみこんでゆっくりとパンティを脱がせる。
ガーターとストッキングはそのままだ。
うっとりとお尻を撫で回していると
「全部脱がなくっていいの?」
不思議そうに聞いてきた。
「いいのいいの!」
これだ、これが見たかったんだぁ!
なんでも脱がせりゃいいってもんじゃないんだよ!
興奮して叫びたい気持ちを懸命に静める。
「ちょいと足開いて。」
「こう?」
肩幅ほどに開くと、濡れた秘所が見えてきた。
涎がフトモモまで流れてる。
それをすくい取るように指を這わせて、レオナの入り口の周りにたどり着いた。
肉芽に触れると離れ、離れると触れ、微かに刺激を与えていく。
「そんな…はっ…早く入れて…」
じらされて我慢できなくなったのか、腰を動かし指に擦り付けてくる。
「はいはい、今入れますよっと」
二本の指が中に入っていく。ゆっくりと、激しく、優しく、乱暴に。
左手でクリを刺激しながら、単調にならないようにいろいろと動かすと、もっと強い快楽を得ようとレオナの腰が上下に動き出す。
「はっ…うぅ…いい…」
「気持ちいい?」
「ひぁ…うん…気持ちいい…あっ、だめぇ…もうわたし…」
レオナはもう立っているのが無理なのか、机に突っ伏している。
指を引き抜くと、腰だけが動き続ける。
「な、なんでやめちゃうの?」
上気した顔で恨めしげに俺を見つめる。いつもの強気な姿はない。
「だめっていうからさ、やめたんだよ。」
「そんなの真に受けないでよ。お願い、はやくぅ。」
お尻を左右にフリフリしておねだりをしている。
きっと他の連中にはこんなレオナは想像つかないだろうなぁ。
腰を掴むと、肉棒を一気に奥まで押し込む!
「ひぁ!?」
そして一気に根元まで引き抜く!何度も激しく繰り返すと、
「あふっ、も、もっとゆっくり…優しくして。」
「これ、いや?」
「いやじゃない…くぅ…けど…そんなにされたら…」
「じゃあ、自分で動いてみなよ。」
「自分で!?」
「思ったとおりに動いていいよ。」
そう言って腰を止めると、おずおずと動き始めた。
「あぁ…こんな、獣みたいな格好で。自分で腰振ってるなんて…
でも…でも、気持ちいいよぅ…とまんない…」
入れる時は速く、抜く時はゆっくりと。一定のリズムで動いている。
レオナは本能のおもむくままに腰を使っているが、俺も制御が効かなくなってしまった。
レオナの腰に手を伸ばすと思いっきり激しく動く。
「うぁ…はぅ…わたし、もう…くる、きちゃう!」
「お、俺も…出る!」
二人とも同時に絶頂に達した。
繋がったまま、余韻に浸っていると
「もう、速く離れて!こんな屈辱的な扱いを受けたの、初めてだわ。」
プンプン怒り出してしまった。
「でも、いつもより気持ちよさそうだったぜ?」
「う、そんなことっ…そうかも知れないけど。」
「じゃ、そういうわけでベッドに行こうぜ。」
よいしょっと、膝の裏に手を回して持ち上げる。
「ひゃぅ!?」
まだおさまらない肉棒に突き上げられて、思わず声が出る。
「だ、だめぇ。イッたばかりなのぉ…すぐそんなのされたら、わたしぃ…ひぅ…」
幼子をおしっこさせるような体勢で、部屋の中をうろうろと歩き回る。
レオナはベッドに運ばれるまでの間にまたイッたようだ。
たどり着くと、そっとレオナを降ろす。まだイッてない俺はバックから責め続けた。
実はバックからした事はほとんど無い。いつもレオナが上だ。
そういう意味で今日は絶好のチャンスでもある。
「ひぃ…だめぇ…わたし、こわれちゃう!…あぁ、許してぇ…」
お構い無しに突き上げる。
そして、レオナがぐったりしてきた頃に、三度目の絶頂に達した。
レオナは肩で息をしてる。
俺は隣に仰向けになると、心地よい疲労感に包まれた…。

あぁ、勃起してるなぁ。温かいのがまとわりついてて…。
はっと目が覚めた。疲れて寝てしまったみたいだ。
何時だろうと思ってふと、股間の感覚が夢のままだということに気づいた。まさか…。
「あら、お目覚め?いいご身分ねタスクくん。」
身を起こして声の方を見ると、レオナが俺のナニを握り締めている。
「あ、あははは。ちょっと疲れて…。怒ってる?」
「いーえ。寝ちゃったのは怒ってないわ。でもその前のことは怒ってるわよ。」
そう言ってギュッと力を入れて握る。おうぅ、それは勘弁っすよ。
この様子、七回じゃ済まないかも。
「でも、まあいいわ。気持ちよかったし…それに、寝てる間にあなた二回出してるし。」
「え!?ぜんぜん気づかなかった…」
「フフ、うそよ。ホントは一回。出して目を覚ましたってわけ。
でも起きてくれてよかったわ。あなたが寝たままじゃお仕置きにならないし…」
「ならないし?」
「わたしだけ今日のこと覚えてても仕方ないじゃない?二人の思い出にしなきゃ…。」
俺の腹の上でのの字を書きながら真っ赤になって答える。
くすぐったいけど笑いたいのを我慢した。
こんなことを言ってくれるレオナがいとおしいと思ったし、笑ったらビンタが飛んでくるのも目に見えている。
愛情と恐怖、二本の糸に絡まって身動きが取れない。
「それじゃあ続きよ。」
俺の上にまたがり、自分で肉棒を秘所にあてがう。
和式で用を足すときの格好で、俺を中に迎え入れるとゆっくりと上下に動き出す。
俺も動こうと思ったけど、腰に力が入らない。
仕方ないので胸を弄っていると、レオナはグルングルンと円運動を加え始めた。
「どう?気持ちいいかしら?」
「ひゃい、きもちいいですっ。」
さっきとは完全に立場が入れ替わってしまった。いつも通りとも言える。
「んんっ…あん。私も…きもちいいい。」
そう言いつつ腰のダイナミックな動きは止まらない。むしろ加速している。
「はぁ…またくるっ…きたぁ…」
イっても腰の動きは止まらない。精を搾り取ろうと肉棒をしごき続ける。
「うぁ…ふぅ…いいよぅ、きもちいぃ…」
「レオナ、出る、出るよっ!」
「出してっ。わたしの中に、いっぱい出して!」

…結局七回、という課題を何とかクリアすることが出来たのは朝になろうかという頃だった。
きっと鏡を見たら昨日までとは別人のような顔になってるだろう。
それぐらい苦しい戦いだった。
「ねぇ、タスク。寝ちゃった?」
腕枕で休んでいたレオナが呼びかける。
「まだ起きてるよ。なに?」
「浮気なんかしたら許さないわよ。覚えておいてね。」
「そんなこと、するわけないじゃん。信用してくれよ。」
「おなた、いろんな子に可愛いとか声かけてるから心配するのよ。あなたは私のよ、可愛いお馬さん。それじゃ、おやすみ。」
チュッと頬にキスをして、布団にくるまった。

翌日。
レーツェルさんに呼ばれて俺達は食堂に集まった。
お昼ということもあって人は多い。秘密の話というわけではなさそうだ。
俺は『お仕置き』のせいで足腰がフラフラ、気を抜いたらへたりそうだ。
「兄さん、急に皆を集めてどうしたんだ?」
「たいした話じゃなきゃ帰るわよ。」
結局朝まで楽しんだレオナは寝不足で機嫌が悪い。
腕組みされたライさんは楽しそうな姫様とは逆にこわばった表情だ。
「今日は私の考えたコスチュームとポーズを見てもらおうと思ってな。」
なるほど、それで今日はマントを着てるのか。
「そんな、ライディ様とペアルックだなんてまだ早すぎますわ。」
「そんなものわざわざ作らなくてもパイロットスーツで十分でしょ?」
「まぁまぁ、レーツェルさんがせっかく作ったんだから見せてもらおうぜ。」
照れる姫様と渋るレオナをなだめつつ、
「どんなのですか?俺はカッコよければいいっすよ。」
そういうと、レーツェルさんはすっくと立ち上がった。
「フッ、テレビを見て研究した自信作だぞ。見て驚くがいい。トリャー!」
そう言うと、勢いよくマントを脱ぎ捨てた。
その中から現れたモノを見て、俺は飲みかけた牛乳を思わず吹き出してしまった。
股間の膨らみを強調した黒いレザーの短パンに黒ブーツ、鍛え上げた上半身には、
革のベストしか身に纏っていないという異様な格好である。
服の概念を超越してしまっている。
さらに、テーブルの上に立つと食堂に居並ぶ仲間達に向かって
「ハーイ!『異世界からの使者』ハード・トロンベでーす!フゥー!!」
一瞬食堂が静まり返る。思わずフォークを落としたブリットを見つけると、
「好き嫌いなく食べなさいブリット君、フゥー!」
奇声を上げつつ、腰をカクカクさせている。
「あーもう、やってらんないわ!」
レオナはドスの効いた声でボソッとつぶやき、そっぽを向いてしまった。
「レーツェルさんって昔からこうなの?」
「カトライア様が亡くなってからね。ショックだったのはわかるけど…。私がエルザムを目指さないでって言った意味、解ったでしょ?」
確かにこれはちょっと…。
が、ある意味ここまで突き抜けてるとカッコいいといえなくもない。
「でも、ライさんも一緒にやってるぜ?」
「兄さんこうかい?フゥー!」
「もっとシャープに動くのだ、弟よ。フゥー!」
「ライディ様がやるなら私も!ふぅー!」
「…。私もう帰るわ。頭が痛くなってきた。」
「俺も。」
こんな人たちの親戚になってやってけるんだろうか、そんなためらいが頭をよぎった。

大爆笑の男連中と違い食堂にいた女性陣はドン引きだ。
リンのように嫌悪感むき出しに睨みつける者、リオのように腰の動きで別のことを想像し赤くなる者、だいたい二通りの反応である。
ただ、エクセレンだけは大爆笑で、周囲の反応を理解できず無表情なラミア、ラトゥーニやヴィレッタと共におひねりを投げている。
「さすが我が友。教導隊の時から腕は落ちてないな。」
「相も変らぬ『魅惑の腰つき』。恐ろしい男!」
「あれだけ激しいとかみさんも喜ぶか?今度帰ったら試してみよう。」
何事にも動じない、それが教導隊クオリティ。
(あ、あんなの見せられたら我慢できないじゃないのよ、もうっ!)
イングラムとの別れ以来、男日照りのアヤは疼いてしまったようだ。
「アヤ、みんな楽しそうだぞ!一緒にどうだ?」
マイは椅子の上に立ち上がり、腰をカクカクさせる真似をしている。
「わ、私はいいわ。興味ないから。ってマイ、そんなことしちゃ駄目!」
マイは『楽しそうだ、私も踊りたい』、そんな気持ちを抑えられずそわそわしている。
アヤと一緒に、と思ったのだが姉のつれない態度に、反対側に座る男に声をかけた。
「リュウ、私と一緒にあれをやろう!」
「!マイ、『アレ』を『ヤろう』だなんて女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

ヒリュウ改の食堂には、いつまでも「フゥー!」という奇声が響いていた…。




トロンベ一家物語予告ver,GR

風雲急を告げる地球圏!
魔星に戻った一人の少女の決意が、止まっていた運命の歯車を動かす!
「見ているか、レビ・トーラー。全てはここから始まり、全てがここで終わるのだ!
そう、この『白い大怪球ホワイト☆スター』で、決着をつけてやる!」
その前に立ち塞がる一機のPT。
「フッ、たった一機で何が出来る?…待て…あれはまさか、『漆黒の堕天使』!?」

トロンベ戦隊と教導戦隊の戦いが白き大地を赤く染める中、ついに姿を現す侵略者たち!
「クッ、謎の敵が一度に二人か。分の悪い賭けになりそうだな。」
「今日は特別でねぇ。もう一人来てるのさ!あれをみな!」
カッカッカッダーン!
「我ら名前をインスペクター!直系のメキボス様、まずは我らにお任せを。」
「そうはさせんぞインスペクター!シャドウミラーのWナンバー二人、
ウォーダンにエキドナここに在り!」

大きく動く情勢の中、混乱する戦場を見てほくそえむ大統領補佐官がいた。
「さぁ、楽しみはこれからですぞぅ。
これこそが破滅への幕開けなのです!グェへへへへへ 。」

「このままだと人類には滅亡しかねぇ。それが解ってて高みの見物か、シュウ!?」
「フッ、私にかかれば(ry」
そして目覚める太古の念動力者。
『…封印…地球を…守らなくては…』
謎が謎呼ぶ超展開!はたして地球と人類の運命やいかに!?

「罪と罰 〜すべてはカトライアのために〜」
「大団円 〜散りゆくは美しき幻のトロンベ〜」

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