はてさて、コレは一体どういう事だろうか?
 たしかに、ラトが帰ってきたのは嬉しかった。
 笑顔で迎えてやろうと思った。
 俺は……確かに生まれて初めて人間を好きになった。
 しかし、その少女の名は、マイ・コバヤシ。アンジュルグでもラトでもない。
 無論、ラトはその事実を知っている。 いや、知っているからこそ艦出をした。
 しかし、その本人が戻ってきて……あろう事か俺を引っ張って自室に引き込んだ
 そして、目の前で服を脱いでるのは……ホンのご愛敬と言うことだろうか。
「……さて、俺はどうすればいいのだろう」
 ホケーっとしつつも、ついラトの脱衣シーンは見逃したくない。
 悲しい男のサガ、と言うことだろうか?
 言ってみれば、スーパーリアル麻雀?
「あのー、ラトゥーニさん?」
 思わず恐れ恐れながらも、声をかけるリュウセイ。
「なに?」
 その時の姿は、丁度上半身の服を脱ぎつつ、振り向いた感じ。
 ちなみに、ラト属性がある俺はそれだけで萌え狂いそうだ。
「なんで、こんな事になっているのでしょうか?」
 そして聞くリュウセイ。
「決まってるじゃない、リュウセイとしたいから」
 笑顔をむき出しにし、答えるラト。
 間もなく脱ぎ終わると、そのままリュウセイに体当たり断行。
 もちろん、体勢が崩れてなかったリュウセイは倒れる。
「……ふぇぶ!」
 押し倒され、決して豊満とは言えないラトゥーニの胸の中で圧迫のダメージを受けるリュウセイ。
 クリティカルは出てないが、ちょっと苦しいらしい。
「ラトゥーニ、変わった! 絶対何か変だ!」
 ちょっくら股間を大きくさせながらも、ついぞ疑問を口にするが。
「ちょっと変わったくらいいいじゃない?リュウセイは嫌いなの? こういう事」
 口から中途半端に舌を出し、舌なめずりをする。
 ついでに、色目使いするのも忘れない。
「それに、ここもおっきくなってみるたいだし」
 そのまま、リュウセイの股間に手を忍び込ませる。
 冷たい――
 冷たい手が心地いい?!

「うん、ちょっと違うかも知れないね。お母様に色々相談に乗ってもらって、自分が変わってみようと思っただけだから」
「お母様…」
 ラトゥーニが耳慣れない言葉を言った。
 お母様。
 言葉的にはよく聞いたことがある。
 たしか、オウカという女性がアギラをさしてお母様と言っていた。
 ……即ち、それは。
「お母様……って、お前、まさかアギラの婆さんに何かされたんじゃ!?」
「んなこたーない」
 なんて言いつつ、ラトはさらにリュウセイに対し言葉を続けた。
「あんまり動かないでね。ラトのテクも見せたいから☆」
 そんな……一人称まで変わって……。
 そのまま、リュウセイを寝かせ、ラトはその隣に座り、その足をリュウセイのむき出しにした股間に近づけた。
 所謂、あしこき。
「ラト、止めろ、こんなのお前じゃない」
 とか言いつつも、快感は止められない。
「とか言っても、嬉しいんでしょう?
 そんなに気持ちいい顔してるし」
 ちょっと小悪魔なラトが言葉を続ける。
 こう……リュウセイにとって『あしこき』は初めての経験だし、受け取る快感だって違う。
 そういえば、最初にエチィことしたのもラトだったっけ…
 なんて、走馬燈のようにキオクも鮮明によみがえった。
「気持ちいいんでしょ? 止めて欲しくないでしょ?」
 あのかわいらしいラトはどこへ行ったのだろうか?
 今、目の前にいるのは……ラトには違いないのだが。
「出してもいいんだよ、気持ちよかったら…別に、それが恥ずかしいことでもないし…」
 足の動きを止めず、ラトは、その唇から言葉を紡ぐ。
 なぜ、こんな事になっているのだろう…?
 リュウセイは思った。
 ラトが戻ってきて、アラドがつれてきて……でも、そのラトはアギラをお母様とよんで…
 頭が痛くなってきた。
 元来、深く考える性格のリュウセイではない。
 ……ついでに、気持ちいい。
「くお、ラト…!」
 思わず上半身をあげようとするリュウセイ。
 しかし、
「動いちゃ駄目って言った…」
 瞬間、ラトの足の動きが止まり、リュウセイに警告を出す。
 即ち、少しでも動けば、ここまでだと。
 正直、ラトの足のテクはうまいと言えるかも知れない。
 リュウセイのそのちょっと皮に隠れている部分を、器用に足を使い
 皮と本体の間に小指をするりと入れたり、空いた反対の足ではさすっている。
 これで、靴下を付けていれば、完璧なのだが。
 なんて独り言はよしておいて、このラトの攻めによって
 今までまったく女っ気の少なかったリュウセイは、早くも第一陣の射精感に包まれた。
「じゅ、十年早かったかッ!」
 叫び、そしてラトの足によって果てるリュウセイ。
 その射精はラトの足を須く汚した。
「ふう、ようやく出してくれたんだね。じゃあ、次は……ここだね」
 なんて言いながら、ラトは自分のその秘所に指を指しリュウセイを挑発する。
 しかし、それに対してリュウセイのセリフは。
「いや、もういい。 俺の知ってるラトはお前じゃない」
 そそくさと服を着た。
「リュウセイ……!?」
 勿論、その言葉に一番驚いたのはラトだ。
 ここまで挑発して、なお、乗ってこない男性が居るなんて。
 アギラのお母様もクエルボも言った。
 リュウセイを落とせば、ハガネは全て終わったも同然だ。
 その間にアラドはヒリュウを、オウカはキャプテンを落とせ…と。
 だから、思いつく限りの方法でラトはリュウセイを挑発した。
 けど、リュウセイは乗ってこなかった。
「俺の知ってる『ラトゥーニ』は、そんな少女じゃねぇよ。少なくとも、お前は姿はそうだけど、中身が違う」
 リュウセイは部屋から出ようとした。
「そんな……リュウセイ……」
 そんなリュウセイの背なを見ながら、ラトは呟いた。
 その内心は二つ。
 一つは、アギラの為にうまく動けなかったこと。
 一つは、リュウセイに嫌われたこと。

 さて、話はちょっと前に戻る。
 賢明なる住人は既に察していると思うが、ラト、アラドはアギラに『調整』を受けていた。
 ラトとアラドが共に果て、オウカがその姿を見つけた後の出来事だ。
 機会があれば、それも語ることにしよう。
 だが、今は別の話だ。
 そして、ラトはアギラよりの生徒となっていた。
 下された命は一つ、リュウセイを落とせ。
 しかし、先程のリュウセイの言葉は、内心に眠らされていたラトの本心を呼び起こす結果ともなった。
「違う……リュウセイ!」
 ラトの口より叫ばれた。
 果たして、その『違う』は、どちらのラトとしてのセリフなのだろうか…
 そんな作者の疑問をさておき、リュウセイはそのラトのセリフに振り返った。
 そこには、控えめな胸を両腕で隠すラトが居た。

「ラト……?」
 先程とはうって違ったらとの態度に、今度はリュウセイの頭に「?」マークだ。 
 何か、弾けたような感じがするのだが…。
「違うの、リュウセイ!」
 相も変わらず素肌だが、先程のラトとは違う印象を受ける。
 そして、ラトは自分の覚えてる限りの事をリュウセイに話した。
 即ち、艦出をした際、オウカに捕まり、アギラに調整を受けてしまったこと。
 気づいたら、先程の状態だったと。
 ちなみに、単純一直線のリュウセイがこの言葉を信じまくるのは、まぁ、ご愛敬と言うところか?
「アギラの婆……なんて事をしやがる、ラトだぞ…ラト!」
 その表情には、明らかな怒りの表情が生まれていた。
「ゴメン、リュウセイ。 望みもしないことをして」
 服を着るラト。
 急いで、目の前から、リュウセイの目の前から消えたいと思った。
 けど、その前にリュウセイに言っておかなくちゃいけないことがある。
 服をそそくさと着て、怒るリュウセイを後目に部屋を出ようとする瞬間、ラトは言った。
「でも、リュウセイを諦めたくないのは、本心だから」

 余談ではあるが、部屋を出た直後にマイと鉢合わせになったのは、言うまでもなきにしもあらず。
 この三角関係は、永遠に―――終わらない!

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