体育館倉庫の中、制服を汚さないよう体操服に着替えたテニアが仰向けに寝転んでいる。
「ねぇ、統夜。本当にここでするの」
「仕方ないだろ。他に出来そうな所がないんだから」
 家にはカティアとメルアが居るせいで、二人の時間というのをまともに過ごせない。さんざん探し回った俺達がたどり着いた場所は、非常にありきたりな場所だった。
「でも、この体操服……今日の体育で使ったから汗臭いよ」
 そう言って体操服の胸元を摘み上げ、テニアは顔をしかめる。
「俺は、その、テニアの汗の匂いは嫌いじゃ……ない」
 統夜の呟きに、テニアは目をむく。
「ちょっと統夜、いつ匂いなんて嗅いだのよッ。ああッ! もしかして、アタシの下着を洗濯したとき? 信じられないッ」
「だったら、自分の洗濯物ぐらい自分で洗ってくれッ。それに、そんな真似は断じてしていないッ」
「だったら、どこでそんなヘンタイみたいな真似したのよッ」
「何言ってるんだ、お前とはコックピットでいつも一緒だったじゃないか。あれだけ近くに居れば、いやでも汗の匂いを嗅ぐ事になるだろッ」
 統夜の言葉に、テニアは顔を真っ赤に染める。
「う、うう……もう……アタシ、お嫁に行けない〜〜恥ずかしい〜〜」
 テニアは大声で叫びながら、マットの上で子供のように手足をばたつかせる。
「バカッ。そんな大声を出したら」
 統夜は慌てて上から覆いかぶさって、テニアを力ずくで押さえ込みにかかる。だが、手加減なしに暴れるテニアを止めるまでに良いパンチが二、三発、統夜の顔面に叩き込まれた。
「くぅぅ〜」
 押さえ込まれてもなお抵抗をやめないテニアに、統夜は意を決して告げる。
「それに……お嫁になんて行かせるもんか。テニアは、ずっと俺と暮らすんだからな」
「ッ!?」
 驚いた表情を浮かべたテニアだったが、すぐに涙をボロボロとこぼし始める。
「ど、どうしたんだよテニア」
「そんな大事な事、こんな所で言うなんてずるいよ〜 ぅぅぅぅ」

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