クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

「おじさん、面白かったよ。はい」
チャリンと100円が入る音がする。

あの事件より半年が過ぎた。
公園で芸を磨く為に練習してたが結構人も集まるようになる。
いつも、芸で人が集まるようになった時期が移動の頃合と見ている。
「いい天気だな・・・。」
空を見上げふとつぶやきコイントスをする。
ずっと行方を探してた恩師であり友人の2人の死が分かり別れをしたことにより、目標がなくなったのも事実。
いつも御世話になってるバイト先の診療所での仕事もひと段落つき次の街へと向かおうかなと先を決めるコイントスだ。

「今回は北か・・・まぁ気楽に旅にでも出ようかね」
と歩を進めようとするとこそこそと隠れ覗き込む気配がする。

「ん？誰か来てるのかな？・・・まぁ気のせいだろう」
しばらく歩いてもその気配は全く消えない。

ふと後ろを見るとヤバイとサッと隠れる影が見える。

「・・・」
そこに歩いて向かうと2人の姉妹が電柱に隠れている。

「ふむ？何か用かな？」
妹は
「悠にい、また黙っていくつもりでしょ？」
と首を傾げ聞いてくる。
姉は
「えへへ、」と誤魔化し笑いをしながら笑顔を見せる。

「・・・別れが辛くなると思ったから黙っていこうとしてたのにな・・・」
2人の頭を撫でそうつぶやく。

「もう行くの？寂しくなるね。」
と妹はつぶやく。
その時に姉の笑顔が曇る。
「そっか・・・いっちゃう・・・んだね、あれ？前みたいに笑顔でお見送りしようと思ったのに、ごめんね、悠にい」
ポロポロと涙があふれてどうして泣いているのか分からないようだ。
両親の死の辛さでしばらく落ち込んでいたのもあり、俺も同じくその悲しみを強く持っていたため慰めあいここに長くいてしまった。

「ふむ・・・、そうだな」
もう一度コインをはじく。
「このコインが表だったら優衣が俺を必要としなくなるまでここにいるとするか。」

2人のえ？っという顔と戸惑いと祈るというのが読める。

「さて、コインはどう向くかな。」
手品仲間の友人より預かったコインは天に上がり日の光を照らす。
同じく優衣の耳にはプレゼントしたイヤリングが同じく陽の明かりを反射していた。

皆さん、御疲れ様でした！！
無事トゥルー！！超感無量です。
いやー、理屈や状況を見ての判断とはいえ多数決で負けてるのに自分の意見を通したので、これでバッドだったらマジ焼き土下座でしたお。
しかし、そっちのルートはバット一直線ルート。勝った！どうだ(超ドヤ顔(KP、PLの皆さんの許可は得てます)

なかなかスリルもあり、これヤバ・・・死んだかなと思う相手の攻撃をこっちに向ける行為。
しっかりと守ってあげれたと言う達成感。素晴らしいですね。

後日談ではNPCの可愛さや素晴らしさの1割も実現できず、勝手に持ってきてしまい申し訳なく思います。
なんかKPと話してるとほのかより優衣のほうがこうなるような感じがしたんだ・・・。
ほのかはなんか泣くってよりもまたねーノシシで終わりそうな感じがしたんだ・・・。
本当に楽しいセッションでした。
友人との別れも出来たしね。
主人公？んなことはない、王さんも花園さんも輝いてましたよ。
皆が皆きっちりとその役割をこなした結果だと思ってます。
また、お会いできてともにセッションを出来る日を願いつつ筆を置かせていただきます。

「ねぇ君、ちょっとコレ見てみ」
彼は一つのカメラを向けてそう言った
「なんですかこれ？」
彼の部下はそう言いながら中を覗き始めた
「・・・・・うわぁ・・・なんですかこれ？特にこの化け物は？」
彼は驚いた様子で言う
「すごいね・・・コレ見ても怖くないの？」
部下は笑いながら言う
「この程度で怖がってたらこの仕事できませんから」
彼は数秒考えた後に言う
「そっか・・・じゃあ君とならあそこにいけるかな？」
部下はカメラを見ながら言う
「あそこって・・・ここのことですか？」
彼は笑って言う
「違うよ・・・SIRENTHILLのことさ」
部下は青ざめた顔で言う
「そこって確か・・・社長と先輩たちが行って社長以外今精神病院にいるじゃないですか！」
彼は笑って言う
「そうだよ、まぁ俺は何も見なかったけどね・・・彼らは今は話ができるくらい回復してね、話を聞いてみたら赤い悪魔とか言ってたんだよ、気になるでしょ？」
部下は言う
「気になりますけど・・・僕と社長だけで行くんですか？」
彼は笑って言う
「違うよ、この映像を見て無事だった人とだけだよ、モチロン行きたくないならいいけどね」
部下は言う
「はぁ・・・いつ行くんですか？」
彼は勝ち誇った顔で言う
「一週間後かな」
部下は言う
「わかりました・・・準備しときます」
彼は言う
「わかった、じゃあ俺はこの映像を他の奴らに見せてくるから」

一週間後
社員全員で飛行機に楽しそうに乗り込む姿が飛行場で発見された
彼の会社に集まる人たち全員美男美女なだけではなくバカでノリが良く精神が図太い連中なようだ

はい、みなさんお疲れ様でした！
完璧なカメラマンができて満足です！（ｱﾚ？）
ただ一つ心残りがあるとすれば社長の性格を使い分けるっていう設定を生かせなかったことですかね・・・（個人的なことになると一人称が俺になるというどうでもいい設定）

「どうだ絶景であろう」
あの村から帰ってきて時間を開けずに、英雄王は千鶴を引き連れていった。
彼曰く愉悦を求めるのに無駄にしていい時間はないらしい。
「ええ、そうね・・・」
千鶴は気のない返事を返す。
辺りは360度見渡す限りの海原である。日本の海とは違うサンゴ礁を望む透明な海。ほかに見えるものと言ったら時折顔を出すクジラぐらいしかいない。
「なんだ、その気のない返しは・・・」
英雄王は自らの左に見える世界最大の人工物、万里の長城をみながら金の盃にワインを注ぐ。
どうやら彼女の反応は彼のお気に召さなかったらしい。
「いや、そうは言われてもね・・・」
彼女は目の前に見える氷の大陸を眺めながらまた気のない返事を返す・・・否、あまりに信じられないものを見ているために気のない返事しかできないのである。
二人は今、360度の見晴らしを誇りながら一切の振動も感じさせずない高速移動戦闘機、ヴィマーナに乗っているのだ。
さきほどまでオーストラリア南海岸にいたのだが今の短いやり取りの間に中国を経由し北極大陸にまで到達していた。
英雄王は愉悦を教える第一段階として世界の絶景を見せようとしたのだが、時間が惜しいということでこの亜光速に近い速度での飛行が可能なヴィマーナを移動手段に選んだ。
確かに時間は節約できてはいるのだが、千鶴には美しい風景よりもヴィマーナが行う超常的現象しか頭に入っていかなかった。
正直この異常な光景を前にしてまともな思考がとびかけている。
「まあいい、こんなものまだ序の口だ」
「（これが序の口・・・）」
英雄王の言葉に千鶴は驚くことしかできていない。
今の彼女にはこれが面白いのかどうかを判別する余裕はない。
「（でも・・・）」
「（この人についていけば退屈することはなさそうね）」
千鶴は少しだけ残っている冷静な思考の中でこう思った。
「そうだ、今日はほのかが祈祷をする日であったな。ヴィマーナ、3秒以内に日本まで行かんか」
「ちょっ・・・」
千鶴が言葉を発しきる前にヴィマーナは今までの比ではない速度で日本に向かい始めた。

彼らの愉悦を楽しむ旅は始まったばかりである。

みなさんお疲れ様でした。
王様の後日談かいてたはずなのに気づいたら千鶴のっぽくなってしまった。
今回の卓は、設定は生えるものというのをひしひしと感じる卓でした。
最初は原作よろしく傲慢なキャラにする予定だったのにいつのまにか協調性を身に着け、ロリコンとなり、気づいたらＮＰＣ口説き落としてた。どうしてこうなった？

それは置いとくとしてかんなぎの姉妹、ほんとに楽しかったです＾＾
ＫＰ、ＳＫＰはもちろんＰＬのみなさまのおかげで楽しい時間が過ごすことができました。
では、また別の卓で出会えることを心待ちにしています。ありがとうございました。

アパートに残された日記より
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20○×年×月△日(※入院から1週間後と思われる)

あの日の後、事件について報告した自分はそのまま退職することにした
名前を覚えられない、忘れてしまうのでは仕事にならないからだ

医者によれば精神に負荷がかかったことによる健忘症だという
それも名前を覚えられないという限定的なものだ

あの日出会った人たちや今後出会う人は名前をメモすれば生活に支障はないという
怪我のこともあり、入院生活を余儀なくされるが次の仕事も選べばなんとかなるだろうとのこと
警察からの退職金も出ているが、入院代を負担している実家の両親に送った

しかしこの健忘症にも問題が当然ある

自分が警察官になった理由でもある、
あの日、自分を…助けてくれた警察官の名前を…
二度と、思い出せないことだ…

これだけはどうにもならなかった…


けれど、やることもある
あの村に…霧の結界が消えてなくなっていないかを確かめるために土宮山に行くことだ

いや結界があっても自分は…彼女に会いにいく…

忘れるわけにはいかない名前、神名木冬実…

あの時連れ出せなかったあなたの手をとるために…

冬実さん…

自分は…僕は…


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花園護次　19×○年2月××日生　27歳　元警察官　
ある事件の捜査中に身体への負傷と精神に支障をきたしたため、事件解決の報告後、退職
治療のため入院していたが、入院から1カ月程で病院から抜け出し、
自宅を経由した後に、土宮山付近での目撃を最後に消息不明
土宮山内には痕跡は見られなかった
入院中担当した医師によれば、あの負傷と精神状態では
設備の整ってない環境では半年もたないだろうとのこと

調査を開始した時点で行方不明から半年が経過し、これ以上一切の情報が出ないため
以上を花園義守、亜実両名から依頼の花園護次に関する調査の報告とする

参加された皆様お疲れ様でした
自分のPCは立場的にしっかりしないといけないはずなのに、結果から見たら一番の豆腐メンタルでした
RPでも十分なことが出来たかも疑問ですが…
ともあれ今回のセッション、非常に楽しませていただきました
今後、何かの形でお会いすることがありましたら
その時はまたよろしくお願いします

早目に後日談を書くことで冬実さんの内容に影響しないかな〜なんて(ﾁﾗｯ

華道　御影　後日談　―狂気は笑い、哂い、嘲笑う―　　(大嘘)



　――これは、彼女―華道　御影―が、あの事件(卓)、"かんなぎの姉妹"が終了し、村から脱出した後に起きた事を綴った物語である――


　※この後日談は、実在する人物、団体、企業とはまったくの関わりも無い、フィクションです※




　電灯が半分消えた薄暗い事務所の中、見る者に対し冷たい感情を与えるその部屋に、一組の男女が居た。

　男の方は、中年を迎えたに相応しい顔立ちや背丈をしているのに対し、女の方はまるで今だ世間を知らぬ、汚れに染まっていない無垢な幼子の様な顔立ちや背丈であった。

　ふと、男の表情がぐにゃりと歪み、お世辞にも出来ないような笑みを浮かべ、言葉を発した。

　｢これは……どういう事、かな？｣

　男がゆっくりと視線を下に向け、自身の手元にある紙の束を、指した。

　それが自身に対する問いであると、数秒も掛からず理解した女は、少しの間悩む素振りを見せ、口を開いた。

　｢……どうも、こうも、……そういう、事｣

　返事は、"震えていた"。

　否、……震えていたのは"返事"ではなく、"彼女自身"だった。

　何かに怯えるかのように、恐怖しているかのように、体を震わせ、竦ませていた。

　身を屈め、両手で腕を押さえつけていても、体の底から湧き上がる震えは止まらなかった。

　それ程までに、彼女の精神は"病んでいた"。

　あの"村"――廃村となった土宮村――で起きた、常識では計り知れない出来事、それが、彼女の精神、心に対し深い傷を負わせていた。

　心に狂気を宿しながら、自分の場所(事務所)へと帰ってきた彼女は、本来の仕事――警察への協力――の報告書を作成し、纏め、提出したのだった。

　――しかし。

　｢あのね、御影ちゃん。　ちゃんとした報告書を出して貰わないと、困るんだよ｣

　それは常識という物差しを持った、"知性"を持った人間の前には、世迷言を綴った、紙の束に過ぎなかった。

　｢……っ！　ちが、う｣

　それは、本当の事だと。　そう言おうとした。

　｢何が、違うのかな？｣

　言葉は、感情が、冷たかった。

　｢それ、は……本当、に｣

　言葉が詰まる、上手く話せない、……昔から、そうだった。

　だけど、"これ"は違う。　自分のせいじゃない。　

　目の前の、"感情"に息が詰まる。

　疑惑、疑念、……そんな疑いの目が、女――華道　御影――を貫く。

　｢消える村、霧の結界、信者と呼ばれる動く死者、神通力を操る巫女、強大な力を誇る主……そして、死者を蘇らせる儀式？｣

　目を瞑り、視界を閉ざそうとした。

　｢あのね、御影ちゃん――本気で、言ってるの？｣

　手を耳に当て、聴覚を閉じようとした。

　｢だとしたら、ね――｣

　ただ、この狂気を、……狂気に負けそうな自分を、誰かに支えて欲しかった、それだけだった。



　｢頭、おかしいんじゃないの？｣



　たったそれだけ、だったのに。




　……電灯が半分消えた薄暗い事務所の中、見る者に対し冷たい感情を与えるその部屋に、"一人の女"は居た。

　男の方は、中年を迎えたに相応しい顔立ちが床に転がり、胴体と分離していたのに対し、女の方は両手を血に汚し、無垢な幼子の様な顔立ちを歪ませていた。



　｢そっか、わたし、おかしいんだ｣



　体を震わせながら、甲高い声を空中に撒き散らし、笑っていた。



　｢そう、わかった、わかっちゃったよ｣



　先程まで、止めようとしていた震えを止めようともせず、哂っていた。



　｢わたし、狂ってるんだ｣



　狂気に身を任せ、彼女は嘲笑っていた。




　笑い、哂い、嘲笑う。




　-END-



　がわっさん｢なーんて後日談どう？｣

　御影｢……死ね｣

　がわっさん｢えー、この後味すっげぇ悪いのがクトゥルフの醍醐味なのに｣

　御影｢…………死ね｣

　※この後日談は、フィクションです※

　後日談は千鶴ルートでも書こうかなとおもってたんですが、どうしてこうなった？


　どうも、千鶴とは犬猿の仲な感じなんだけど、キマシタワー、みたいなのをひっそりと狙っていたがわっさんです。　あぁ、殴るのはやめてください！


　今回、初めての女性PC(女性NPCは何度も操作した事があります)という事で、この卓に参加させていただきましたが、
　まったくもって、NPCとは違いました。
　目的を持って、ゴールが見えていて(時と場合による)PC達を誘導するNPCとは違い、PCはゴールが見えない状況で行動します。

　正直、辛かった(迫真)

　女性をRPするというのは、大変頭を使うようで、ここはどう女性らしくしたらいいのか？　等と考えていたらあっという間に話が進んでいて、
　まったく会話に参加できていないという、セッション歴3年にして始めての出来事でした。
　そもそも、寡黙少女という設定を、自身に投影できていなかったのが原因だと思います。
　言葉を発せずして感情や意思を伝えるという事がどれだけ大変なのかは、NPCなどで経験していましたが、探索をしつつPCの女性らしさを引き出すRPは、自分には行えませんでした。
　まったくもって、未熟。　その一言に尽きます。

　です、が。　後悔はしておりません。　えぇ、してませんとも。

　これは自身の好みの話になってしまいますが、御影ちゃんは、大体自分の好みで構成されています(真顔)
　そういった、好みのキャラクターを実際に動かし、会話するのは非常に楽しい事でした。　まぁ、非常に疲れもしましたが。

　こういう経験を積んで、御影ちゃんの魅力をもっと押し出せたら、すごくいいとおもいます。　はい。


　ただ、その経験を積む間、まぁつまりこのセッションの話なんですが、気掛かりというか、なんというか。
　……自分のせいで御影ちゃんの魅力が下がってしまっていることが、……それだけが、気掛かりです。

　自分の技量の無さ、思考時間の長さ……そして、運の無さといったら……。

　いつか、御影ちゃんの魅力を最大限まで押し出すことは出来るのでしょうか……

　どじっ娘属性は、いりません！

神名木神社の神楽祭には毎年地元の人だけでなく、わざわざこの日の為に観光として訪れてくださる人が少なからずいらっしゃいます。
女系にのみ受け継がれていく風習が珍しいのか、こういった文化や信仰に興味がある方々にはそれなりに有名だそうです。

「優衣ちゃんが祭巫女を務めるようになってから、見に来てくれる人が多くなったねぇ」

祖母は度々嬉しそうにそんな話をする。
何でも、私の母はあまり家の伝統や神事に興味が無かったらしく、高校を卒業してすぐに家を出てジャーナリストになったそうです。
それでも実家に対して負い目を感じていたのか、当時婚約していた父に神主になるよう頼み込み、
婿養子として迎え入れ神名木の家系を絶やさずに済んだとか。
そんな両親の話を、祖父母からよく聞かされてきました。

そしてその役目は、娘の私が引き継ぐことになり、今日まで学業と並行して続けてきました。
毎年、人の注目を浴びる祭事は正直苦手でした。
けれど今年はそんなことを言っていられません。
何故なら、今年の神楽には妹のほのかが加わることになったからです。
あの子の初披露という大事な日、姉の私がしっかりしないと…。
そんな気負いを感じたのか、いつの間にか隣にいたほのかちゃんが私の袖を引きます。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。今日は私も一緒だし、みんなも見に来てくれるよ。がんばろうね！」

驚いた。
てっきり不安な気持ちを紛らわせようと、私に寄り添いに来たのだとばかり思っていたから、
この子からこんな力強い言葉が出てくるとは予想外でした。
きっとあの村の出来事が、ほのかちゃんを成長させたんだね。
可愛い妹の成長に温かい気持ちになる反面、正直少し寂しくもあります。

頭を撫でようと手を伸ばしかけたけれど、ふと思い立ち手を止め、
ほのかちゃんを抱きしめる。
もう、子ども扱いはできないよね。

＝＝＝＝＝

化粧棚の上には、アクセサリーケース。
その中には、あの日幼いころから知っているあの人から貰ったイヤリングが…。
今日も傍で見守ってくれるあの人の優しさに応えるためにも、私はこれからも神名木の巫女を精一杯務めていきます。

ほのかちゃんと二人で、かんなぎの姉妹として。

―夢をみた。

わたしが今よりずっと小さくて、よちよち歩きをしながらお家からでるおかーさんを見送る夢を。
小さいころからよくみる夢。
たぶんそれは、いなくなる前のおかーさんの姿だったんだとおもう。

おかーさん、いかないで

…それで気がつくと、わたしとおねぇちゃんはおじーちゃんの家ですんでいた。
寂しくはなかった。みんなとってもやさしいから。
でも、じゅぎょーさんかんとか、運動会とか友だちはおかーさんやおとーさんがきているのを見て、
何でわたしには、おとーさんたちがいないんだろう？って思うことがあった。


「(…おねぇちゃん？)」

そんなある日、おねぇちゃんがお家をでた。
とっても大事なことを任されて、それを調べるためだって。
…なんでだろ。すごくこわかった。
おねぇちゃんの後ろすがたが、あのときのおかーさんと同じだとおもった。
だから…わたしはすぐにポケットに写真をいれて、いってきますと書おきをのこして、おねぇちゃんを追いかけた。

====

「ただいまー」

あの日から小学校から帰ってきたあと、私はすることがふえた。
それは、巫女としての修業。
私はあの村にいったときに、お守りの石…じゃない、水晶をのんでれーりょくがあがった…らしい。
お姉ちゃんを助けるためにいっぱい力をつかったけど、私にもいろいろ変化があったみたい。
おじーちゃんは、悪いものからみを守るためにも、今からしたほうがいいって言ってた。
私はよくわかんないけど…でも、何かを守れるなら頑張ろうと、毎日せっせとお姉ちゃんと修業をしてる。
今までいっぱい、お姉ちゃんにあまえてたけど、こんどは私がお姉ちゃんやみんなを守らないとだもんね。

私、いっぱいいっぱい頑張る。
だから…天国からみててね、おとうさん。おかあさん。

火の手が上がる村、そこで死にゆく咲を抱いたまま、私は涙が止まらずただただ茫然としている。
私を慕ってくれた人はみんな居なくなってしまった。
村のみんなを助けたい、彼らに暴挙を振るった稲葉家に復讐がしたい。
そのためにすがった異型の神の力。
でもその結果、私が手にかけたのは…。

＝＝＝＝＝

ふと目が覚めると、和室の前の縁側に私は座っていました。
どうやらうたた寝してしまったらしく、春の柔らかい日差しが
目覚めたばかりの瞼にとても心地いい温もりを運んでくれます。
二百年前のあの日、私は自分の罪の償いのためだけに生き続けることを決意しました。
湖の主と甚六の目を盗んでは、村に時折迷い込んでくる人を神社に匿い続ける日々、
けれど結局は一人も助けることはできず、自分の無力に失望するばかり。

それでも一カ月ほど前、村に現れた彼らの手を借りることで、
土宮村はかつての平穏を取り戻すことができました。あの方々には、本当に感謝してもしきれません。

現在、村の住人は私一人。
共に過ごしてきた雪花は本来の桜の苗木の姿に戻り、今は境内の一番日当たりのいい場所に立っています。
今も私の目の前で春風に吹かれながら、短い枝を揺らして体いっぱいに日差しを受けて気持ちよさそうにしています。
村の呪いが完全に消え去るまで約百年。
それまでにはきっと雪花も桜華と同じく、この村の精として来訪者を迎えてくれるようになることでしょう。
今からあの子の成長が楽しみで仕方ありませんが、残念ながら私がその光景を見ることは適いません。

反魂の儀式によって、魂を削った私の命はもって半年。
それまでには周囲の整理を済ませ、桜華と雪花が共に支え合って生き続けられるようにしてあげたい。
思う様に動かなくなった体でも、多少の事はできるはずです。

＝＝＝＝＝

最近、私はある殿方の姿を思い浮かべてしまいます。
あの方は今頃どうしているでしょうか。
主に振り落とされた私を受け止めてくださった力強い腕。
最後まで私の身を案じてくださった温かい眼差しのあの方は、今は元気に過ごしていらっしゃるでしょうか。
昔、婚約していた幼馴染の顔を思い出す。
力強い声と優しいあの笑顔は、どこか彼に似ていると感じました。
最後にあの方に出会えたのは、もしかすると神が最後に与えてくださった温情だったのではないかと、
今は思っているのです。

できればもう一度だけ会いたいと願う。
例えそれが、叶わない望みだとしても…

---

『夢か現世か、神名木冬美が見た光景』

霞んだ視界に人影が映る。
見覚えのある殿方の姿。
体は思う様に動かないけれど、不思議と自然に腰をあげることができた。
おぼつかない足取りで歩み寄ると、私の手をとり笑いかけてくださる。

　　　　　あぁ…よかった…またお会いできましたね…花園さん

倒れるように体を預けると、優しく抱き留められる。
温もりが胸の奥に溶け込み、自然と涙が溢れ頬をつたう。
本当は一人でいるのが寂しくて堪らなかった。
ずっと誰かに、傍に居てもらいたかった。
最後に誰かと手を繋ぎ、この花咲く野山を歩いて行きたい。

　　　　　ずっと、一緒にいてくださいね

周囲は静寂、二本の桜の木は青い若葉を鳴らし、二人を静かに見守り続ける。

他の連中が集まって何かする中、私は湖にできた渦を…愛した男が去って行った先を見る。
甚六様は主に…怪物の後を追った。普通ならそれで救われるわけないとわかるはずなのに。
どうしようもなく愚かで馬鹿な甚六様…でもそれ以上に愚かなのは私。
普通に愛することもできず、あの人を困らせ、時にあの人を追い詰め…最終的にあの人の神を、あの人から奪うことに加担した。

「(…仕方がないじゃない。こうでもしないと、貴方は私を見てくれないんだもの)」

…で、その結果がこれ。
普通の女なら、愛する人が死んだら泣くのだろう。でも、生憎私は泣かなかった。
ただ少し悔しくて、そしてあの人を追わなきゃ、と漠然と思っていた。

====

「どうだ絶景であろう」

見渡す限りに広がる透明な海。
それを呆然と見る私に、男…王英雄は愉快そうに酒を飲みつつ尋ねてくる。

「ええ、そうね…」
「なんだ、その気のない返しは…」

呆気にとられつつした返事は、どうやら彼のお気に召さなかったようだ。
少し不機嫌そうに…まるで褒めてもらえず拗ねる子供のような表情を浮かべた。

『えー…僕の神様を見てその反応？』
…その表情を見たとき、脳裏にあの人の姿がうつしだされる。
さっきもそう。英雄が自慢の絶景をみせるときの得意げな表情があの人と重なる。


甚六様の後を追おうとしたとき、私はこの男に止められた。
“我は貴様に愉悦を教えると約束した。それは我自身の愉悦でもある。これは王の決定だ。それでも共に行かないと申すのか？”
…ああ、なんと傲慢で勝手な理由なのだろう。
婚約者がいるというのに、この男はまるで求婚紛いなことを言ってきた。
…あのときの約束なんて、その場しのぎのつもりだったでしょうに。

『君は主様に気に入られ、僕と同胞になった。…ちょうど従者が欲しかったんだよね〜。…もちろん、来るでしょ？』
だけどその言葉が、この男の雰囲気が、どこかあの人に重なるような気がして…。
気が付いたら、私はこの男…英雄についていくことにした。
そして英雄は村を出るとすぐに、私をビマーナ？とかいう乗り物にのせて、世界中の絶景を見せて回った。
…絶景に酔いしれる前に、この乗り物の速さに驚いて、それどころじゃなかったけどね。

「(まあ…何も考えられない方が今はちょうどいい)」

なんやかんやで気に入っていたあの場所を離れ、気に入っていた人たちもいなくなり…。
この喪失感を紛らわすには、愉悦が必要。
今はまだ、驚きが大きくて愉悦に浸る余裕はないけれど、少なくとも英雄についていけば退屈はしないだろう。

「そうだ、今日はほのかが祈祷をする日であったな。ヴィマーナ、3秒以内に日本まで行かんか」
「ちょっ…」

…私も、そしておそらく英雄も、互いに恋愛感情などはないだろう。
互いに求めるものは、愉悦。
愛する人のもとへ逝かなかった後悔を消し去るような愉悦を求め、私は今日も英雄に振り回される。