クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

この街はいつも賑やかだ。いつも活気に溢れている上に、ここには多種多様の人が現れる…昼から飲んだくれる男、それを呆れながらも叱る青年、そのさらに後ろをハートマークが出んばかりに抱きついて離れない緑フードの少女…そんな人達をいくらジロジロ見ていてもきっと誰も気付かない。
だからこそ、黒いフードをかぶった銀髪青年が目の前を通りかかっても、まぁいつものことだろ、というレベルでスルーされるのかもしれない。
「まぁ、こんな格好じゃ、まずブラックウェル様の家柄を背負った人とは思われないよね…」
とかぼんやりつぶやきながらボクは歩く。

ここまで来るのもかなり時間がかかった。

初めの数日間はリハビリとして自分の部屋から一歩ずつ一人で出直すのも難しかった。まるで生まれたての赤子のようで恥ずかしい上に、毎朝突然悪夢から跳ね起きては来る虚無感に涙をながすことも多々あった。そこから比べればまぁ立ち直れたものだ。というのも、ボクには一つやりたいことがあったからだ。
雑踏の中を歩き続ける。多分ここにいつもいるのだろう、と勘が呼んでいる方向へ。

そして見つける。

楽しそうに歓談している青年とふわふわとそれに返事をする男。活気ある雑踏の中でもわかる。会話の内容は流石に聞き耳の良いボクでも分からないが、おそらく今日の晩御飯の話か、昨日見た映画の話のような、他愛のない会話なのだろう。要するに、

とても幸せそうだ。

そしてそれで良かった。

正直を言うとボクは何かを代償にするほど人との感情を重んじてない。チョコをあげたのも、きっと自分に取って良い結果につながるだろうと想ったまでだった。他人のことなど、考える余裕も気力も心もない。だから、本当に自分のところに来なくてよかったと想っている。ボクじゃあ絶対にあんな風に幸せにはできないだろうから。
シュッと踵を返し、ボクは帰路へとつく。

どこかでボクを呼ぶ声がした、きっと気のせいだろう。
「だって…」

「ボクは嘘ついたりするのが一番得意だから。」

いやはや、本当にお疲れ様でしたー！ルナルス君の結局はそっけない、現実主義な面を出すことがあまり無かったので、こちらで吐かせていただきました。喜んでいただけたのなら本当にいちPLとしてありがたい限りです。最後も思わせぶりにしてしまった…気になる続きは…いつか！気まぐれに！（ぉぃ

本編も無事true+hiddenでしたね。素晴らしい。パパ最強です（
ドロシーさんはかっこいいツンデレキャラとしてとても仲良くさせていただきましたし、もうありがたい事この上なしでございます。
それでは、また皆さんと卓を囲える運命があることを祈りつつ、
ここいらで筆を置かせていただきます。
ありがとうございました。

初めての1920sでしたが、現代と違って世界観や思考など、最初想像できずにどうすればと悩んでいましたが
皆様とやり取りをしていく中で、少しずつドロシーという探索者が、どんな思考をする子なのかを理解していくことができました。
ちょっと面倒くさい性格に落ち着いてしまいましたが。優しく対応していただけ、動きやすかったです。
フラッパーという女性の生き方が素敵で作った探索者で、私としてはドロシーもそんな感じの性格にできたのではと思い、とても楽しかったです。
これも最初から丁寧に相手をしてくださった、最中様、Tommi様のお陰です。本当にありがとうございました。

最中様
トールさんは最初は不良警官だと言った感じで不真面目な言動がありつつも、その態度とは裏腹に実は凄く思いやりがあって
感情的なドロシーやクールなルナルスさんを巧くあしらいながら、導いてくださる姿は頼れる大人の男性でした。
トールさんと会話できるだけで楽しくて、ずっとトールさんと話をしたいと思わせる。本当に魅力的で素晴らしい探索者でした。
推理面でも大変頼りになり、今回Trueルートに行けたのは最中様の推理による所が大きかったと思います。
最後の部屋では私は答えが出たのかなと気持ちが緩んでいて、最後まで緩めずに探索を続ける姿は探索者としてとても大事なことだと再確認させてくださいました。
そして何よりもシベルさんとの共同生活。トールさんとシベルさんのやり取りを想像するだけで幸せです！

Tommi様
ルナルスさんは、ドロシーと同年代なんだけど凄く大人びていて、それでいて危なっかしく儚い美少年さんに感じました。
直情的なドロシーと、感情を表に出さずに淡々と物事を遂行していくルナルスさんという対比も気に入っていて、ルナルスさんとご一緒できてとても良かったです。
「自分だけが良いという考えはボクは好きじゃないな」と言ってシベルさんにチョコを与える姿は凄く印象的で素敵でした。
推理面では今回のhiddenルートへ辿り着くにあたってTommi様の思考は最重要だったと思います。
私はロストの危険性がある行動を極力避けたく、神の座に近づくという１文から怖くて中々あのような行動は取れなかったのですが
１つは渡すであろう＝渡してもロスト等の重大な危険は存在しないという思考と、渡したほうが＋になるという思考を結びつけることができた推理力と行動力を見習いたいと思いました。

KP：メア様
ＫＰお疲れ様でした。とても楽しかったです！
そして、このような素敵なシナリオに出会わせていただき、ありがとうございました。
とても不思議で恐ろしい悪夢の世界がうまく表現されていていて、世界観に引き込まれていました。
理不尽であるのでと最初に仰られていましたが、優しいキーパリングが随所にあり。
理不尽な状況に陥っても、ＰＬをやっていてストレスを感じさせないような配慮を感じました。
また、シベルさん周辺の要素がオリジナルということでしたが、今回のシナリオをさせていただき核である要素だと感じていたので。
その辺り、とても巧く原作者様のシナリオを改変されていた部分も凄かったです。
1920sのアメリカというと、やはり中々想像するのが難しく、尻込みしてしまいがちでしたが、勇気を出してメア様の1920s卓に応募して良かったです。
繰り返しになりますが、本当にありがとうございました。

　ぼんやりとする頭でシベルは思案する。

　酷い頭痛がする。
　ああ、今日は雨だ。

　他愛のない会話をしながら男の隣を、半歩分、少々遅れるようにしてついて行く。最初は三歩後ろ辺りを歩いていたのだが、歩くなら隣に並んでと言われた。何度かそんなやりとりを繰り返した末に、外を男と出歩く時のシベルの立ち位置は男の隣になった。
　何十年振りかも分からぬ外の刺激は今も慣れない。太陽の光は燦々と降り注いで目に突き刺さり、通りを行く人や車は忙しなく。目がちかちかして、頭がくらくらしてくる。
　そんなシベルを見かねてか、一緒に出歩くようになって少し経ってから自然と男は人気のあまりなさそうな通りや、人通りの少ない道を選んで目的の場所へ移動してくれるようになった。
　気を遣わなくてもいいと言っても男は聞く耳なぞ持ってはくれず、どの道、そのままでは碌に出かけられずにかえって迷惑をかけるだろう、と結論づけ、シベルはその優しさには甘えることとした。

　不意に、視線を感じて顔を上げる。
　此処はどこだろうか。ああ、そう、広場。通りを行く人々の雑踏の隙間、日差しを反射して輝く銀を見つけた。男にその存在を伝えれば「あ、ほんとだね〜」なんてのんびり語りながら、手を振ってみせる。
　けれど残念なことに、男が手を振る頃にはその人はくるりと踵を返して背を向けていた。
　男と二人連れ立って後を追ってみる。
　声をかけても振り返る気配はない。控え目に呼びかけたからだろう（控え目な呼びかけなんて、すぐに雑踏に飲まれて消えてしまう）。
　ただ、確かに。
　その最中に聞こえた言葉があった。
　きっと隣の男には聞こえていなかっただろうけれど。
「…嘘をつくことは罪ではないと思いますよ。それ、自体は。…ええ、他にも色々事情があるのでしょうけれど…」
　口をついて出た言葉に、隣の男が不思議そうに首をかしげた。
　やはり、彼には聞こえていなかったようだった。

「…如何なる事情があれ…貴方に罪は、ないのです…ルナルス様…、ええ、きっと…」
　偽善者じみた知ったかぶりの聖職者然とした赦しの言葉もまた、雑踏に飲まれて消える。
　きっと見当違いも甚だしいだろうことは重々承知していて、シベルは小さく微笑に自嘲を混ぜた。
　ああ、何様のつもりなのだろう、私は――…。


　　　＊　＊　＊


「そういや君ってさ、家族とかいないの?」
　そんなことを尋ねられたのは男と暮らし始めてかれこれ三ヶ月ほど経ったある日のことだった。
「…、」
　少し考え込んだあと、シベルは首を横に振った。
「…いえ、」
「今、ちょっと考え込んでなかった?」
「…そんなことは、ありませんよ…?」
「…そ」
　否定すれば男はそれ以上の追及はしてこない。
　優しさか、怠慢か。
　どちらにしたってそれに甘えるしかない。
　シベルに、語って聞かせられるような家族は一人もいないのだから。そう、一人も。
「……」
　酷い頭痛がする。
「…今日は、雨ですね…」
「?　雨なんか降ってないよ」
　カンカン照りのお天道様。連日連夜いやんなっちゃうよね〜。寝辛くってさ。
　なんてダルそうにへらへらと語って見せる男越しにシベルは窓を見た。

　今日も雨だった。
　頭が酷い激痛を訴えている。
　きっと明日も雨だろう。

「…トールさん、」
「はいはい、なあに?」
　頭痛を誤魔化すように言葉を発する。ガンガンと未だ鳴り響くような痛みと共にこみ上げてくる吐き気にも慣れたものだった。
「…お夕飯はどうしましょう…?」
　それを感じさせないように会話をするのもやはり、慣れたもので。とりあえず他愛のない話でも振ってみる。
「シベルくんの食べたいものでいいんじゃない?」
「…トールさんの食べたいものなら、なんでも…?」
「じゃ、シベルくんの食べたいものが食べたい」
「…がんばります…」
　上手いこと、言いくるめられてしまった。
　……夕飯はどうしようか…。
　

パラケルススはホムンクルスの製造に成功した最初で最後の人として著名な方です。
二次元では（あるいはCoCの世界でも）様々な人物がホムンクルスの製造を行っていますが
三次元において、ホムンクルスを製造できたのはパラケルススただ一人なのだそうです。

故に、序盤でルナルスさんが見つけてくださった「Homunculus」のタイトルに準え、
シベルが探索者とともに現実へ帰還するhidden endのタイトルは「パラケルススの遺物」とさせていただきました。
（遺物というのは1920年代、既にパラケルススが故人である点から来ています。）

実際にシベルはホムンクルスなのか。
単なる人間なのか、あるいは、もっと別の何かなのか…。
それはいずれどこかで、答えを示せれば…と考えておりますが
予定は未定なのでそこまでこぎつけるかは不明です…。
いつか、何処かで明かせるようにこれからも頑張らせていただきます、はい…。