1-398 無題

「にゃーん」
「こら、擦り寄るな。今仕事中なんだから」
「にゃーん……」
「だいたいお前喋れるんだから、ちゃんと何をどうして欲しいか言え」
「ナニをアレして欲しいですにゃ」
「……何を言ってるんだお前は」
「ミルコばりのクールな反応、流石御主人様ですにゃんにゃん」
「アホな事言ってないで、散歩に行って三丁目の田中さんに餌でも貰って来い」
「御主人様の馬鹿……この身体になってから、そんな事できなくなったの、わかってるくせににゃ……」
「……田中さんがこの前『いやぁ、変わった子だけど、面白いよ』って俺に笑いながら話してくれたんだが」
「それは猫違いにゃ」
「この場合人違いだろう」
「じゃあ間を取って人猫違いという事でどうにゃ?」
「間取ってねえ。むしろ合体してる」
「私は御主人様と合体したいにゃー」
「じゃあ一万二千年待て」
「ああっ、私の地獄に音楽が絶えなくなっちゃうにゃー!」
「とりあえず、どうしたいんだ、お前は? ああ?」
「ひ、額に青筋は反則にゃん……」
「はっきり言いなさいっ!」
「……あ、遊んで欲しいのにゃ」
「仕事が終わるまで待て」
「は、薄情にゃ!?」
「猫飯の食い上げになりたいのか?」
「どちらかというと、わたしはトップブリーダー推奨の奴がいいにゃん」
「じゃあ、今日の猫飯はなしだな。つまり晩飯抜き」
「ご、極悪非道邪道外道ライオン道にゃ!?」
「何故レッスルアンドロマンス」
「猫なのにタイガーマスクネタじゃないのがこだわりにゃ」
「激しくどうでもいいな……とにかく、俺は仕事をせにゃならんのだ。わかるか?」
「……わかる、にゃん」
「終わったらちゃんと遊んでやるから」
「性的な意味でにゃん?」
「そう、性的な意味で……って、そういう意味じゃねえ!」
「もう、御主人様ったら、わたしがこういう身体になった時にあんな事して……もう病みつきなのにゃ?」
「……放り出すか、全裸で」
「ノーにゃー! その残虐な呟きはノーにゃー! ネコミミつけた変態痴女のできあがりにゃー!」
「とにかく、俺に仕事をさせる気が無いんじゃなけりゃ、しばらく隣の部屋で大人しくしとけっ!」
「……わ……わかったにゃ……しょぼーんにゃん」
「………………」
「とぼとぼにゃん……」
「……ちょ、ちょっと待て」
「何にゃん? わたし大人しくしとくにゃん」
「……お前が散々騒いだせいで、もう仕事する気が完全に失せちまったよ」
「?」
「だから……もう一回仕事やる気が出てくるまで、しばらくお前と遊んでやるから」
「ほ、ホントなのにゃー?」
「ああ、ホントだ。だから、その、だな……そんな寂しそうな顔、するなよ」
「……もう、御主人様はツンデレにゃんだからにゃー」
「あ、ごめん、急用思い出したから出かけて来なきゃ」
「嘘にゃー! 嘘にゃー! 御主人様はクールでカッコいいわたしの最愛のご主人様にゃー!」
「……お前、気軽に最愛とか言うなよ」
「照れなくてもいいじゃにゃい……にゃふふ」
「とりあえず、何して遊んで欲しいんだ?」
「……えっと………………性的な意味で、遊んで欲しいのにゃ」
「………………」
「だめ、かにゃ?」
「……仕方ねえな」
「わーい、御主人様大好きにゃー!」
2008年07月20日(日) 12:49:31 Modified by amae_girl




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