4-777 無題

猫系、とはどんな女の子を指すのだろうか。
おそらく、僕の目の前の女の子はそれに含まれると思う。
アーモンド型のつり目がちの瞳や、気まぐれで甘えん坊なところとか。
あと我が儘なところも。

休みだから良い機会だと思い、DVDをまとめて借りてきたのがそもそもの間違いだったのだろうか。
映画を見始めて一時間、上映開始と同時にソファーの隣ではなく、僕の膝の上を占拠したのは幼なじみで恋人の美依子(みいこ。僕はみーとしか呼ばないけど)。
始めは何時ものことなので別段気にすることもなく、みーのお尻柔らかいなぁ…ぐらいにしか考えて居なかったのだが、
今ではみーに乗られている太股から下の感覚が薄れてきている。
どいて貰ったところで、もの凄い痺れを伴う痛みを避ける事はできないだろうが、これ以上の苦痛の増加を黙って見過ごす訳にはいかない。

「あのー…どいてくれない?」
「どこから」
「膝の上から。…いい加減足痺れてきたんだけど…」

ジロリ、と睨み付ける視線だけで『いやだ』と言っているのがわかった。
我ながら情けないことに、あの猫科の肉食獣を思わせる瞳で睨まれると、どうにもうまく言葉を続けられなくなる。
その結果、居丈高な視線で僕を黙らせた主はと言うと、我が物顔で僕の膝の上を占領しつづけているのだった。とほほ。

「あのね」

膝上の猫の姫様はぽつりと呟くと、背もたれに体を預けるように僕に体を預けて続けた。

「ゆーやと離れたくないから…だよ?」

真っ赤に染まった耳をみて、足なんかどうにでもなれ、と思った。
2009年01月16日(金) 23:47:31 Modified by amae_girl




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