5-623 「甘味堂」

これは今の彼女、伊崎 栞(かれざき しおり)との出会い話。

「いらっしゃいませ」
入った瞬間に言われる言葉、ここは甘味処「甘味堂」という場所である。
彼、礒詩 紘一(さがし こういち)はここの常連であり、もっぱらの甘党である。
「すいません。」
紘一は食べる品を決めて声をかける。いつもの冷し白玉ぜんざいだろう。
「は〜い、すこしお待ち下さい。」
かわいい声が聞こえた。多分いつもの子だろう。
「注文はお決まりですか?」
「いつものでお願いします」
「冷し白玉あんみつですね。いつもありがとうございます。」
と頭を下げ紘一に礼をする。きちんと店の指導が行き渡たっているのだろうと、紘一は勝手に解釈をした。いまだにこの子の名前はわからないが。まあきっとこんなに可愛い子だ、多分かっこいい彼氏がいるんだろうななんて考えていた。
「お持たせいたしました。冷し白玉あんみつでございます。」
「ありがとう」
ここの冷し白玉あんみつは白玉粉が一番自信があり、結果、とてもおいしい冷し白玉あんみつである。
「やっぱりおいしいな」
品が来てからゆったりとすごし、そろそろ帰るかなと紘一は帰る帰宅をしてる時、ふと横をみたらさっきの子がいた。
「どうしたんですか?」
彼女はモジモジしながら、顔を赤らめて恥ずかしそうに言った
「あ、あの、これど、どうぞ。いつも来てくれてるんで・・・」
渡された物をみたら、クーポン券だった。しかも冷やし白玉あんみつの。
これは紘一にとってはうれしいプレゼントだった。
「ありがとう、でも今はこんなサービスしてないよね?」
この店はこういうサービスをしていないからだ。
「紘一さんはいつも来てくださってるんで特別です」
緊張しなくなったか、いつものかわいい笑顔で言う。可愛いなあ、こんな人が彼女だったらなと思っていた。
「ありがとう、次回使わせてもらうね」
「はい、あのこのクーポンを次回使うのなら来週の金曜日に閉店後の来てくださいますか?」
「何故ですか?」
「はい、紘一さん限定の白玉あんみつを食べてもらいたいんで」
「はあ、ありがとう。そういえば君の名前は?いままで通ってたくせにわからないんだ。ごめんね」
「いいですよ。私の名前は栞、伊崎 栞です」
「栞さんか、よろしくね。それじゃまた来るね」
「ご来店ありがとうございました。次回のご来店をお待ちしております♪」
2009年06月19日(金) 21:31:35 Modified by amae_girl




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