5-817 甘味堂2




さて時は過ぎ金曜日。
紘一はこの日は甘味堂には来なかった。来なかったというより来るのは閉店後に来るからだ。栞以外の店員は珍しがってた。
「今日は来ないって珍しいですね」
「そうだね。風邪でもひいたのかな」
「そうかもね。店長はどうおもいます?」
店長は声をかけれられ今やっている書類を置き振り向いた。
「そうかもね。早く治ってもらいたいわね」
店長、いや伊崎 栞はニコッとした笑顔で答えた。栞は一番若く店長に就任した。営業の素早さや店員の気配り等が認められた結果だ。
「店長、何か今日は機嫌良いですね。何か良いことでもあったんですか?」
今日は栞は期限がいつもより良かった。何故なら紘一と二人きりで居れるからだ。店長になるため、今日という日まで頑張ってこれたのだ。この作戦を成功するにはこの店を自由に出来るほどの権限を持つために。
「良かったじゃなく良くなるの」
過去形ではないからである。
「これからですか、頑張って下さいね」
「ありがとう」
閉店後
本日の閉店した甘味堂はまだ電気がつけられており厨房からはカチャカチャと物音を立てながら店長、栞が料理をしていた。
「これで後は紘一さんが来れば・・・うふふ」
料理は完成に歓喜に喜ぶ姿はまるで大好きな父親を待つ娘のようだった。
その頃、そんな事を知るはずのない主役である紘一は甘味堂の前で立ち尽くしていた。
「やっとこの日が来たぜ。この日をどれだけ待っていたか、昨日は楽しみでねれなかった」
そんな独り言を呟いていた。まあ女からの招待何か初めての紘一にとってはしょうがないが。
「さて入るかな」
紘一は身だしなみを整え、裏口に回った。
「すいません」
裏口のドアをトントンと叩く。
「は〜い」
トコトコと音をたてながら歩いて来る。ガチャとドアが開いた。
「どうぞ〜」


あの可愛らしい紘一好みの声がした。紘一はドキドキしていた。しょうがない、こんな経験はじめてなのだから。
「お邪魔します!」
声が裏返った。栞は少し微笑んだ。可愛いと栞は思ったのだ。そんなことはしらない紘一は自分自身が声を裏返ったことは知らず。どぎまぎ状態で緊張しっぱなしだった。
「こちらにどうぞ紘一さん」
いつも座っている席に座らせた。周囲の席は綺麗に除けてあり、紘一の周囲は空いていた。
「ちょっと待っててくださいね。少し準備しますので」
そういい栞は厨房にいった。紘一は一体どんな料理が来るのか楽しみで仕方なかった。
大体10分くらいだろうか。紘一は10分が1時間にも1分にも感じただろう。
「おまたせしました」
栞はいつもの営業スマイルではなく、紘一にだけの笑顔だった。太陽のような明るい笑顔に近いだろうか。持ってきたのは冷やし白玉あんみつだった。
「どうぞ」
「いただきます!」
1つ白玉を食べた。
「・・・どうですか?」
栞は心配な顔で紘一を見つめた。
そんな視線を帯びながら紘一は笑顔で答えた。
「とってもおいしいですよ」
栞は笑顔になった。紘一が今まで見た中で一番の笑顔だったかも知れない。
「良かった。おいしくないって言われたら泣いてましたよ。
そう言いながらもニコニコ笑顔な栞、紘一はパクパク食べていた。
「食べてて思ったんだけど、もしかしてこの白玉はもしかして白玉粉100%?」


ふと思ったのか、突然言われて驚きを隠せない栞、紘一が気づいたのに意外だったのだ。
「え?紘一さん何でわかったんです?普通はわからないのに」
栞は驚いた。普通の人なら白玉の差はわからないからだ。普通、白玉粉は高いので他の粉と混ぜて作っていたのである。今回、栞は紘一においしく食べてもらうため白玉粉100%で作った。
「俺、白玉好きだから全国の白玉を食べるために食べ歩きをしてたからかな」
紘一は夏休みと冬休みを利用して全国食べ歩きをしていたのだ。それだけ白玉が好きな証拠でもある。
「そうだったんですか。すごいですね。私にはできないな〜」
「やめてくださいよ。何か褒められると恥ずかしいです」
紘一はちょっと照れておいた。仕方がない、こんな可愛い人にすごいなんて褒められたのだから。
「ふふ、次の料理持ってきますね。ちょっと時間かかりますので待っててくださいね」
そういい栞は厨房に言った。
紘一は次どんな料理かなとワクワクしながら待っていた。
大体20分ぐらいだろうか、厨房からコロコロと大皿だけが乗っかってるテーブルが来た。
「何だこれ」
周囲を見ても栞の姿が見当たらなかっった。

「栞さんどこに行ったんだろう」
ふと大皿をみるとメモがあった。
―これが最後の品です。食べてください。―
栞がいないが食べていいのかと思いながらも大皿の蓋をとってみた。
…紘一は蓋を閉めた。
頬を両手でパンパンと叩き、これが夢ではないと確認するためにつねる。痛いと感じた。これは夢ではないと確信しまた蓋をあけた。
やはり夢ではなかった。
そこにはでかい白玉あんみつがあった。
でかいのだ。1つの白玉が何個も積み上げられていて、しかもでかすぎる故の気持ち悪さがなく、食欲をそそる。
はっきり言うと紘一は食欲に負けた。だが、これが今後の行方を左右するはずもないが。
「本当に食べていいのかな」
紘一はそんなことをそう思っていたら、栞が戻ってきた。
「どうですか?今までの中でも一番の出来なんですよ。食べてくださいね」
そういい向かいの席に座った。
「では、いただきます」
食べ始めた。うますぎなのだ。紘一はどんどん食べていたら、ほわ〜んという感覚に陥り始めた。酔い始めたのだ。だが白玉がうますぎて食べ続け、眠りに落ちた。落ちる瞬間、栞は笑顔でニコニコしていた。



ひとまずここまでです。白玉粉と他の混ぜてるというのは私の妄想なので勘違いしなでください。
あと甘くなくてすいません。
2009年06月19日(金) 21:56:24 Modified by amae_girl




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