6-529 第二次聖魔戦争

○○年××月△△日
世界征服を目論む魔王軍と、それを阻止せんとする聖王国軍の長き戦いは、
魔王城に単身乗り込んだ勇者と魔王の一騎打ちに委ねられた。
三日三晩続いたその戦いは、魔王の降伏によりついに終止符が打たれることとなった。
勇者を擁する聖王国と魔王の治める魔王国との終戦協定締結により、世界は平和に向かうものと思われていた。

が……そのわずか三日後、魔王が再び宣戦布告し全勢力をもって聖王国を攻撃、対する聖王国も全勢力をもって阻止せんと迎撃した。

第二次聖魔大戦の始まりである。

その戦いは熾烈を極めた。わずか一日で双方二割の犠牲を出す大惨事となり、世界に再び暗雲が立ち込める。

だが第二次聖魔戦争はその翌日に終戦を迎えることとなった。
事を憂いた聖王国国王は勇者を派遣し、再び魔王城に乗り込んだ勇者は魔王を討伐。
魔王の腹心を魔王代行として改めて終戦協定を締結させた。

…と表向きはそういうことになっているのだが。


「ユウちゃん〜三日も会えなくて寂しかったよ〜」
「仕方ないだろ、式典だ祭だで休む間もなく引っ張り回されてたんだから」
「む〜。あの戦いで芽生えた愛は嘘だったの!?」
「俺もこんな関係になるとは…。そんなことより、だ。なんでまた戦争なんか起こしたんだ」
「戦争したらすぐにユウちゃん来てくれるかな、と思って」
「マテ。会いたくなる度に戦争起こす気か?」
「だって〜ユウちゃんは今国にとって大事な存在でしょ?」
「まぁ…一応一番の功労者だからな」
「じゃあめったに会えないんじゃない?」
「確かに権力やら何やら与えられて結構雁字搦めだからなぁ…」
「ね。そうだ、いっそ聖王国を滅ぼしちゃお」
「マテ。お前が魔王をやめて聖王国に来ることは出来ないのか?」
「う〜ん…あ、そうだ!討伐されたことにして誰かに魔王を譲っちゃお!それでこっそりそっちに行くってのはどう?」
「よし、それでいこう。じゃあ俺は帰って早速国王に…」
「その前に…今から討伐して?ベ・ッ・ド・の・う・え・で」

この真実は部屋の外の魔王配下によって国中に広まることになる。


第二次聖魔戦争──通称「魔王の我が儘戦争」の顛末である。
2009年10月28日(水) 20:33:49 Modified by amae_girl




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