夏休みも残り一週間・・・
男鹿と古市は近所で行われる夏祭りの会場に来ていた。
「あのなぁ、俺は今日デートする約束してたんだぞ!なのになんで男と二人で夏祭りにきてるんだ!」
男鹿は大きなあくびをして眠そうだ。
「お前・・・楽しいか?」
「いや、全く」
「じゃあ何で呼んだ!?」
「いや俺はほら、お前のがっかりした顔が見れたら満足だから」
(コ、コイツ!)
男鹿は平然とリンゴアメをなめている。
(ん?まてよ・・夏祭り・・浴衣!)
「ありがとう男鹿!」
「何が?」
「俺、浴衣の美女と一緒に、楽しく夏を過ごすから!」
「あっ、おい!」
古市はダッシュで人混みの中に入ってしまった。
気がつけば周りはカップルだらけだった。男鹿は気づいていないが。
(・・・帰るか)
振り返ると少し遠くに浴衣姿の邦枝がいるのが分かった。
(古市もいねーし、ちょっと話しかけてみるか)
邦枝は落ち着きがなく、キョロキョロと辺りを見渡していた。
とてもレディースの総長には見えない。
「よう、邦枝」
「おっ、男鹿!?」
「ん?以外と浴衣似合うじゃねーか」
「えぇっ!あ、ありがとう・・じゃなくてなんでこんなとこに・・」
男鹿からの初めての褒め言葉に思わず頬を赤らめてしまう。
「ああ、俺は古市連れてきたんだけどはぐれちまってよ。お前は?」
「私も寧々たちと来たんだけどはぐれちゃって・・・」
「ならちょうどいいな。一緒に行くか」
「あ・・う、うん(やった!デート気分・・)」
「よし、じゃあ服の裾掴んでろ。はぐれないようにな」
「こ、こう?」
「おし、じゃあ行くか」
男鹿は邦枝が服の裾を掴んだのを確認して、人混みの中を進み出した。
しばらく辺りを見回すも、寧々や古市の姿は見えない。
「ったく、あいつどこ行ったんだ?つか腹減った・・。邦枝、焼そば食う?」
「あっ、私自分で払うから」
「このくらい気にすんな。おっちゃん焼そば二つ」
「はいよ。840円ね、カップルさん」
(カップル!?た、確かに端から見たらカップルかもしれないけど・・・私たちそんな風にみえるのかな・・てかよく見ると周りカップルだらけ・・)
「邦枝?」
「なっ、なんでもない」
人気の少ない所まで歩き、草の上に腰を下ろした。
男鹿はただひたすらと幸せそうに焼そばをむさぼっていた。
(コイツ・・・カップルとか言われたのに何もかんじてないのかしらね・・鈍感にもほどがあるわ・・)
「はぁ・・・」
「ん?どーした?」
「あんた・・人生損してると思うわよ」
「は?」
(けど・・・いっか、コイツらしくて。コイツまで恥ずかしがってたら会話も出来ないわけだし)
「?」
男鹿は邦枝の台詞を疑問に思ったが、再び焼そばを食べだした。
邦枝も男鹿を見て、微かに微笑み、焼そばを食べ始めた。
時間が経ち、男鹿が先に食べ終わり、大の字に寝っ転がった。
「そういやお前彼氏とかっていんの?」
「!?いい、いきなりなっ、なな何聞いてんの!?」
「いや別に。ちょっとした雑談」
「いっいないわよ!」
驚きと恥ずかしさで声が大きくなる。
「あれ?今姐さんの声しなかった?」
「マジっすか!この辺にいんスカね?」
「見た感じいない・・あ」
千秋の視線の先には古市がいた。
向こうもこちらに気付いたようで、手を振りながら走ってくる。
「列怒帝瑠のみなさんじゃないすか!おおっ浴衣!」
「あんた姐さん見なかった?」
「邦枝先輩きてるんすか?」
「はぐれたのよ・・もしかしてあんたも男鹿とはぐれた?」
「ええ、まあ」
「邦枝と男鹿ちゃんならもう帰ったよ」
チョコバナナの店から顔を出したのは夏目だった。
「夏目?あんた何やってんの?」
「バ・イ・ト。君らを見たら伝えてって頼まれたんだ。急用なんだって」
「らしいっすよ?寧々さん」
寧々は夏目に疑いの眼差しを向けながらも、その言葉を信じた。
「じゃあもう用無いし、帰るよ」
「もうっスカ!?」
寧々は嫌がる由加を引きずり、人混みの中に消えていった。
「あの野郎〜自分で誘っておいて勝手に帰りやがって〜」
古市もぶつぶつと文句をいいながら、すごすごと帰っていった。
(よーし、これで男鹿ちゃんと邦枝は二人きりだ。おもしろくなりそうだな〜)
古市や寧々が帰ったとはつゆ知らず、男鹿と邦枝は雑談をしていた。
邦枝は深呼吸して、男鹿に最もしたかった質問を放った。
「その・・・す、好きな人とかいるの?」
男鹿は起き上がり、頭を掻いた。
「そうだなぁ・・・」
邦枝は下を向いて何もしゃべらない。
「お前とか?」
男鹿の顔はいたって真面目だった。
「ええぇ!じ、冗談?」
「いや、けっこうマジ」
邦枝は依然下を向いたままだ。
「ほんとにほんと?」
「おう」
「そっか・・」(片思いじゃなかったんだ・・)
邦枝は顔をあげて男鹿を見つめた。
「男鹿・・・こっち来て」
「?」
男鹿は焼そばの容器を置き、邦枝に近づいた。
「・・・」
邦枝は男鹿をじっと見つめている。
「な、何だよ」
「私も・・・好きだよ。男鹿のこと」
その表情があまりにも美しく、男鹿は思わず目をそらす。
「り、両想いというやつか・・」
「・・うん」
邦枝は男鹿の手を握って、その場に立った。
「ここからは人捜しじゃなくて・・デ、デートとして行かない?」
男鹿は軽く微笑み、だるそうに立った。
「そうだな」
(や、やった!)
二人は時が経つのを忘れたように夏祭りを楽しんだ。
邦枝の緊張もほぐれ、他人から見ると、二人はごく普通のカップルだった。
そして帰り道。
辺りはすでに暗く、男鹿は邦枝を家の前まで送っていた。
「じゃあな。今日は楽しかったぜ」
「私も楽しかった。また一緒に行こうね。じゃあおやすみなさい」
邦枝が帰ろうとしたとき、「邦枝!」と男鹿が呼び止めた。
「どうしたの・・んっ!?」
男鹿は邦枝の肩に手を置き、キスをした。
邦枝は戸惑いながらも目を閉じ、キスを受け入れた。
次の日二人は一緒に公園にいた。
ごく普通のカップルのように・・・
男鹿と古市は近所で行われる夏祭りの会場に来ていた。
「あのなぁ、俺は今日デートする約束してたんだぞ!なのになんで男と二人で夏祭りにきてるんだ!」
男鹿は大きなあくびをして眠そうだ。
「お前・・・楽しいか?」
「いや、全く」
「じゃあ何で呼んだ!?」
「いや俺はほら、お前のがっかりした顔が見れたら満足だから」
(コ、コイツ!)
男鹿は平然とリンゴアメをなめている。
(ん?まてよ・・夏祭り・・浴衣!)
「ありがとう男鹿!」
「何が?」
「俺、浴衣の美女と一緒に、楽しく夏を過ごすから!」
「あっ、おい!」
古市はダッシュで人混みの中に入ってしまった。
気がつけば周りはカップルだらけだった。男鹿は気づいていないが。
(・・・帰るか)
振り返ると少し遠くに浴衣姿の邦枝がいるのが分かった。
(古市もいねーし、ちょっと話しかけてみるか)
邦枝は落ち着きがなく、キョロキョロと辺りを見渡していた。
とてもレディースの総長には見えない。
「よう、邦枝」
「おっ、男鹿!?」
「ん?以外と浴衣似合うじゃねーか」
「えぇっ!あ、ありがとう・・じゃなくてなんでこんなとこに・・」
男鹿からの初めての褒め言葉に思わず頬を赤らめてしまう。
「ああ、俺は古市連れてきたんだけどはぐれちまってよ。お前は?」
「私も寧々たちと来たんだけどはぐれちゃって・・・」
「ならちょうどいいな。一緒に行くか」
「あ・・う、うん(やった!デート気分・・)」
「よし、じゃあ服の裾掴んでろ。はぐれないようにな」
「こ、こう?」
「おし、じゃあ行くか」
男鹿は邦枝が服の裾を掴んだのを確認して、人混みの中を進み出した。
しばらく辺りを見回すも、寧々や古市の姿は見えない。
「ったく、あいつどこ行ったんだ?つか腹減った・・。邦枝、焼そば食う?」
「あっ、私自分で払うから」
「このくらい気にすんな。おっちゃん焼そば二つ」
「はいよ。840円ね、カップルさん」
(カップル!?た、確かに端から見たらカップルかもしれないけど・・・私たちそんな風にみえるのかな・・てかよく見ると周りカップルだらけ・・)
「邦枝?」
「なっ、なんでもない」
人気の少ない所まで歩き、草の上に腰を下ろした。
男鹿はただひたすらと幸せそうに焼そばをむさぼっていた。
(コイツ・・・カップルとか言われたのに何もかんじてないのかしらね・・鈍感にもほどがあるわ・・)
「はぁ・・・」
「ん?どーした?」
「あんた・・人生損してると思うわよ」
「は?」
(けど・・・いっか、コイツらしくて。コイツまで恥ずかしがってたら会話も出来ないわけだし)
「?」
男鹿は邦枝の台詞を疑問に思ったが、再び焼そばを食べだした。
邦枝も男鹿を見て、微かに微笑み、焼そばを食べ始めた。
時間が経ち、男鹿が先に食べ終わり、大の字に寝っ転がった。
「そういやお前彼氏とかっていんの?」
「!?いい、いきなりなっ、なな何聞いてんの!?」
「いや別に。ちょっとした雑談」
「いっいないわよ!」
驚きと恥ずかしさで声が大きくなる。
「あれ?今姐さんの声しなかった?」
「マジっすか!この辺にいんスカね?」
「見た感じいない・・あ」
千秋の視線の先には古市がいた。
向こうもこちらに気付いたようで、手を振りながら走ってくる。
「列怒帝瑠のみなさんじゃないすか!おおっ浴衣!」
「あんた姐さん見なかった?」
「邦枝先輩きてるんすか?」
「はぐれたのよ・・もしかしてあんたも男鹿とはぐれた?」
「ええ、まあ」
「邦枝と男鹿ちゃんならもう帰ったよ」
チョコバナナの店から顔を出したのは夏目だった。
「夏目?あんた何やってんの?」
「バ・イ・ト。君らを見たら伝えてって頼まれたんだ。急用なんだって」
「らしいっすよ?寧々さん」
寧々は夏目に疑いの眼差しを向けながらも、その言葉を信じた。
「じゃあもう用無いし、帰るよ」
「もうっスカ!?」
寧々は嫌がる由加を引きずり、人混みの中に消えていった。
「あの野郎〜自分で誘っておいて勝手に帰りやがって〜」
古市もぶつぶつと文句をいいながら、すごすごと帰っていった。
(よーし、これで男鹿ちゃんと邦枝は二人きりだ。おもしろくなりそうだな〜)
古市や寧々が帰ったとはつゆ知らず、男鹿と邦枝は雑談をしていた。
邦枝は深呼吸して、男鹿に最もしたかった質問を放った。
「その・・・す、好きな人とかいるの?」
男鹿は起き上がり、頭を掻いた。
「そうだなぁ・・・」
邦枝は下を向いて何もしゃべらない。
「お前とか?」
男鹿の顔はいたって真面目だった。
「ええぇ!じ、冗談?」
「いや、けっこうマジ」
邦枝は依然下を向いたままだ。
「ほんとにほんと?」
「おう」
「そっか・・」(片思いじゃなかったんだ・・)
邦枝は顔をあげて男鹿を見つめた。
「男鹿・・・こっち来て」
「?」
男鹿は焼そばの容器を置き、邦枝に近づいた。
「・・・」
邦枝は男鹿をじっと見つめている。
「な、何だよ」
「私も・・・好きだよ。男鹿のこと」
その表情があまりにも美しく、男鹿は思わず目をそらす。
「り、両想いというやつか・・」
「・・うん」
邦枝は男鹿の手を握って、その場に立った。
「ここからは人捜しじゃなくて・・デ、デートとして行かない?」
男鹿は軽く微笑み、だるそうに立った。
「そうだな」
(や、やった!)
二人は時が経つのを忘れたように夏祭りを楽しんだ。
邦枝の緊張もほぐれ、他人から見ると、二人はごく普通のカップルだった。
そして帰り道。
辺りはすでに暗く、男鹿は邦枝を家の前まで送っていた。
「じゃあな。今日は楽しかったぜ」
「私も楽しかった。また一緒に行こうね。じゃあおやすみなさい」
邦枝が帰ろうとしたとき、「邦枝!」と男鹿が呼び止めた。
「どうしたの・・んっ!?」
男鹿は邦枝の肩に手を置き、キスをした。
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普通にありそうな感じですね♪
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