多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。

物語 伝説

セルラテリス、一番になる。

 
 あるとき神々はふと思い立って、誰が一番力があるのかを決める力くらべをしようと言った。そして朝から一日が終わるまでを何日も繰り返し、神々は取っ組み合いをはじめた。
 最後まで残ったのは幼い女神セルラテリスと戦の女神シャルマーキヒュだった。神々はそれをみて、誰もがシャルマーキヒュが勝つであろうと思った。
 なぜならシャルマーキヒュの眼はどんなものでも先を見通せる眼であり、それゆえに、どんな戦いも相手の一手二手先を読み、負けたことがなかったからだ。
 だがいざセルラテリスとシャルマーキヒュが取っ組み合いをはじめてみると、どうしたことか二人ともなかなか動こうとしない。
 一日が過ぎ、三日が過ぎ、一週間が過ぎた。二人は依然としてにらみ合いを続けていた。
 しびれを切らした他の神々は言った。「二人ともどうしたのか? なぜ力くらべをはじめないのか?」と。
 するとシャルマーキヒュはそれに答えて、
「それが、どうにもセルラテリスの考えていることが読めないので手も足もだせないでいるのです」
 と言った。
 それを聞いた神々は、セルラテリスを見た。幼き女神は両の目をしっかりと閉じ、立っているだけで無防備のように見えた。
 そんなセルラテリスを嘲って、神々の誰かが言った。
「なんだ、セルラテリスは眠っているではないか」
 だが「それは違います」というのはシャルマーキヒュ。
「私にはこの眼があるからわかるのです。セルラテリスは何も考えていない。後も先も何も考えていない。そう彼女はいま無なのです。それはつまりパンゲオンと同じだけの力を持っているということなのです。わたしにはパンゲオンを倒すだけの力はありません」
 そしてそういうと、シャルマーキヒュはこの戦いの負けを認めた。
 それを見ていた神々すべてはこの幼き女神セルラテリスの力を認め、以後セルラテリスは神々の中で一番の力を持つ神であるということで、”威力神”セルラテリスと呼ばれることになったのでした。

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