最終更新: gunsringergirl_ss2 2009年08月12日(水) 23:57:48履歴
『口づけ<ヒルシャー視点>』 //ヒルシャー、トリエラ
//『』//Romance, //2008/12/18
『口づけ<ヒルシャー視点>』
任務完了後、宿泊先のホテルの部屋
−−−−−−−−
「去年、"来年もここに来てるかも"って言ったの、覚えてるかい?」
「ええ、覚えてますよ。東洋のほうには"二度あることは三度ある"っていう諺があるそうですよ」
苦笑いしながら、博学な彼女は答える。
「しかも、ホテルの部屋まで偶然去年と同じだなんて、何かありますかね?」
「本当だな」
彼女は、今年も私が選んだ女の子らしい服装をしている。
"選んだ"と言っても、あの店の彼女に似たマネキンが着ている服を買っているだけなのだが(苦笑)。
去年の"あの日"、そう、私がこれまで隠していた私と彼女の過去を彼女が知ってしまった日以来、
私に対する彼女の態度は明確に変わった。
彼女は自分の感情を私に素直に表してくれるようになった。
そして、それに伴い私も、彼女の扱いについて戸惑ってしまうことが大きく減った。
私は、今年もワインとパネットーネを取り出した。
彼女が一口食べるのを、心配しながらつい訊いてしまう。
「どうだ?」
彼女からは、甘みを感じにくくなっていることやその他の体の不調は伝えられている。
私も技術部に話をして、出来るだけのことはしているつもりだ。
「う〜ん、ちょっと甘みが少なく感じますかね」
私の心配を和らげようとしたのか、彼女はちょっとおどけたように答える。
「そうか・・・」
だが私は表情を曇らせてしまっているのだろう。
「でも大丈夫ですよ。さあ、ヒルシャーさんも食べて、飲んでください」
彼女の心遣いを無駄にはしたくなく、私も努めて明るく答えた。
「そうだな、明日は非番だから、のんびりローマへ戻るだけだしな」
−−−−−−−−
しばらくたわいもない話をしながら二人で飲んだ後、彼女はふと私に訊いてきた。
「ヒルシャーさんは、私のことをどういう風に思っていますか?」
(!?)私は少しドキリとしながらも、それを表情に出さないよう答える。
「前にも言ったことがあるけど、君は僕を裏切らないし僕も君を裏切らない。信頼しているよ」
「いえっ、そういうことではなくて、その・・・」
私の答えに対して、いつもの彼女らしくなく口ごもりながらも更に言葉を続ける。
「私も勿論ヒルシャーさんを信頼しています。でも訊きたかったのは、その・・・。
私はヒルシャーさんのことが好きです、大好きです。条件付けではなく自分の気持ちとして。
・・・愛しています。妹とか娘とかとしてではなく・・・一人の女として・・・」
・・・彼女が、酔いの所為ではなく顔を真っ赤にしているのが分かる。
数秒ほど思案した後、私は彼女の隣に席を移した。
そして、私のほうを振り向いた彼女の額に優しくキスをした。
これが担当官として、あるいは"分別ある大人"として出来うる範囲の態度なのだろう。
だが、彼女の私への想い、そして私の彼女への想いに対して、これでいいのか?
瞬間的に自問自答する。
「こういうのって、やっぱり・・・、!?」
苦笑いしながら言いかけた彼女の唇に私は自分の唇をそっと重ねた。
「すまなかった、トリエラ」
(今まで君の気持ちに気づいてやれなくて・・・)
そして私は彼女を力強く抱きしめた・・・。
<< Das Ende >>
//『』//Romance, //2008/12/18
『口づけ<ヒルシャー視点>』
任務完了後、宿泊先のホテルの部屋
−−−−−−−−
「去年、"来年もここに来てるかも"って言ったの、覚えてるかい?」
「ええ、覚えてますよ。東洋のほうには"二度あることは三度ある"っていう諺があるそうですよ」
苦笑いしながら、博学な彼女は答える。
「しかも、ホテルの部屋まで偶然去年と同じだなんて、何かありますかね?」
「本当だな」
彼女は、今年も私が選んだ女の子らしい服装をしている。
"選んだ"と言っても、あの店の彼女に似たマネキンが着ている服を買っているだけなのだが(苦笑)。
去年の"あの日"、そう、私がこれまで隠していた私と彼女の過去を彼女が知ってしまった日以来、
私に対する彼女の態度は明確に変わった。
彼女は自分の感情を私に素直に表してくれるようになった。
そして、それに伴い私も、彼女の扱いについて戸惑ってしまうことが大きく減った。
私は、今年もワインとパネットーネを取り出した。
彼女が一口食べるのを、心配しながらつい訊いてしまう。
「どうだ?」
彼女からは、甘みを感じにくくなっていることやその他の体の不調は伝えられている。
私も技術部に話をして、出来るだけのことはしているつもりだ。
「う〜ん、ちょっと甘みが少なく感じますかね」
私の心配を和らげようとしたのか、彼女はちょっとおどけたように答える。
「そうか・・・」
だが私は表情を曇らせてしまっているのだろう。
「でも大丈夫ですよ。さあ、ヒルシャーさんも食べて、飲んでください」
彼女の心遣いを無駄にはしたくなく、私も努めて明るく答えた。
「そうだな、明日は非番だから、のんびりローマへ戻るだけだしな」
−−−−−−−−
しばらくたわいもない話をしながら二人で飲んだ後、彼女はふと私に訊いてきた。
「ヒルシャーさんは、私のことをどういう風に思っていますか?」
(!?)私は少しドキリとしながらも、それを表情に出さないよう答える。
「前にも言ったことがあるけど、君は僕を裏切らないし僕も君を裏切らない。信頼しているよ」
「いえっ、そういうことではなくて、その・・・」
私の答えに対して、いつもの彼女らしくなく口ごもりながらも更に言葉を続ける。
「私も勿論ヒルシャーさんを信頼しています。でも訊きたかったのは、その・・・。
私はヒルシャーさんのことが好きです、大好きです。条件付けではなく自分の気持ちとして。
・・・愛しています。妹とか娘とかとしてではなく・・・一人の女として・・・」
・・・彼女が、酔いの所為ではなく顔を真っ赤にしているのが分かる。
数秒ほど思案した後、私は彼女の隣に席を移した。
そして、私のほうを振り向いた彼女の額に優しくキスをした。
これが担当官として、あるいは"分別ある大人"として出来うる範囲の態度なのだろう。
だが、彼女の私への想い、そして私の彼女への想いに対して、これでいいのか?
瞬間的に自問自答する。
「こういうのって、やっぱり・・・、!?」
苦笑いしながら言いかけた彼女の唇に私は自分の唇をそっと重ねた。
「すまなかった、トリエラ」
(今まで君の気持ちに気づいてやれなくて・・・)
そして私は彼女を力強く抱きしめた・・・。
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