『新たな日々』//トリエラ、ヒルシャー
        //『』//General,Cont //2008/11/29




   『新たな日々』


長く続いた五共和国派との戦いは終わった。

五共和国派が瓦解し、超法規機関としての社会福祉公社も役目を終えることが決定された。
ただし公社自体は、従来、表向きの顔であった障害者福祉事業、
民生用の義肢・人工器官の開発推進のため、純然たる福祉団体として存続されることになった。

作戦部員、公安部員は、関連する省庁へそれぞれ転属となった。
ジャン、ジョゼは再び軍警察へ、マルコーは内務省情報局を新たな職場とした。

生き残った義体たちは技術部に籍を置くことになった。
彼女たちを民生用技術開発のためのテストベッドとするためである。
これまでの戦いの日々の記憶を消されて・・・。


−−−−−−−−

作戦部員、公安部員たちが公社を去るなか、
一人、ヒルシャーだけはドイツにも戻ることなく、公社に留まっていた。
新たに管理部門の事務職員として。

もちろん、その理由は・・・・・・。


−−−−−−−−

公社が新たに生まれ変わって何日かあと、ヒルシャーは中庭でその少女を見かけ声を掛けた。
見慣れた、そして決して忘れることのないその姿に。

「やあ、おはよう」

少女は怪訝そうな表情を浮かべながら答えた。
「ええっと・・・?」

ヒルシャーは、少し物寂しそうな顔色を浮かべつつ少女に話しかけた。
「・・・ああ、すまない、僕はヒルシャー、ビクトル・ヒルシャーだ。君は、」

「トリエラです」
少女はヒルシャーの言葉を引き取るように言った。

「ヒルシャーさんですか、おはようございます。今日はいい天気になりそうですね」

「そうだな、気持ちの良い一日になりそうだ」


中庭にたたずむ二人の周りを、穏やかな日差し、そよ風が取り巻いていた。


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