最終更新: gunsringergirl_ss2 2009年06月06日(土) 00:30:00履歴
【ハロウィン】//プリシッラ、アマデオ
//【】// Humor, ハロウィンシリーズ1//2008/10/09
【ハロウィン】
ローマの下町にある小さな酒場。
そこかしこにカボチャやコウモリ、お化けのオブジェが飾り付けられた賑やかな店内で、
オレンジ色のとんがり帽子をかぶった若い女性がカウンター席に座り、隣の男にクダをまいている。
「ジャンさんの石頭〜。ハロウィンくらいお祭り騒ぎしたっていーじゃない〜〜。
ね〜、アマデオだってそう思うでしょお〜?」
「おいプリシッラ、そろそろ飲み過ぎじゃねえのか?」
男の言葉には耳も貸さず、オレンジと黒で綺麗に半々に塗り分けた爪がびしびしとグラスに突きを入れる。
「アンジェには天使のカッコさせて、マルコーさんと歩かせてやるんだったのに〜〜」
「お約束な仮装だなー」
「エッタはお姫様にしてやって、ジョゼさんに『お姫様だっこ』してもらおうと思ってたんだよ〜〜」
「まあ喜ぶだろうなエッタは」
「リコにはミツバチ坊やとか用意してさ〜〜」
「ジャンさんに殴られるぞ。なんだよそのショタくさいチョイスは」
「クラエスには魔女の黒マントを着せて、技師連中の所へ『Trick or Treat ?』って〜〜」
「……似合いすぎて怖いぜそれ」
「トリエラにはビニールレザーの悪魔っ娘姿でヒルシャーさんを悩殺させるつもりだったのに〜〜」
「いや、そりゃ無理だろ」
なんでよおっ、胸パッドだって用意しといたのよ〜〜っ!と
余計なお世話というか、実は存外失礼極まりないことを吼え立てる”愛の堕天使”プリシッラである。
「大体なあ、”あの”ジャンさんが許可してくれると思う方が間違いだって。
寮でハロウィンのお茶会はしてやったんだろ? いいじゃないか、それで」
「だって、そんなの! かぼちゃのトルタ(ケーキ)でお茶しただけなんだよっ?」
「カボチャのランタンだって作ってやったじゃねえか」
でかくて重い飼料用カボチャの買い出しと荷物運び、
更にはお化けランタンの作成まで手伝ってやった付き合いの良い愛の伝道師アマデオが、堕天使をなだめる。
「いーや! 仮装パーティーじゃなきゃハロウィンのパーティーじゃな〜いっ!」
「……要するにおまえ、可愛い女の子達を着せ替えして遊びたかっただけなんだろう」
「う〜〜。フリフリのレースぅ〜〜ヒラヒラのリボン〜〜。ぜぇったい似合うろにぃ〜〜」
ぶーぶー言いながら酒瓶に手を伸ばすプリシッラ。
ちょっぴりろれつが回らなくなってきたその様子に、アマデオは瓶を奪い取った。
「だから飲み過ぎだって。ピッチ早いよおまえ」
「ん〜ん?」
不服そうな声を上げたプリシッラは手元に残されたグラスと手近な食器類を見回す。
空瓶ならば何本か転がっているが、手に届く範囲に中身の入った酒瓶はない。
唇をとがらせしばし空のグラスをにらんでいた堕天使は、
つまみのサルシッチャ(ソーセージ)をつついていたフォークを持ち上げると
くるりとアマデオの方に向き直り、さておもむろに問いかけた。
「 “ Drink or Delete ? ” 」
飲ませなきゃ"消す"わよ?
悪魔の三又槍よろしく眼前に突き付けられたフォークと、にっこり口端をつり上げた堕天使の微笑み。
すっかり目が据わっている愛の堕天使サマに、伝道師ごときが太刀打ちできるはずもなく。
「………どーぞ」
抱えた酒瓶を生け贄に捧げつつ、この後待っているであろう酔っ払いの介抱を予想して、
密かにため息をつくアマデオであった。
≪ Das Ende ≫
BGM // デュカス 『魔法使いの弟子』
//【】// Humor, ハロウィンシリーズ1//2008/10/09
【ハロウィン】
ローマの下町にある小さな酒場。
そこかしこにカボチャやコウモリ、お化けのオブジェが飾り付けられた賑やかな店内で、
オレンジ色のとんがり帽子をかぶった若い女性がカウンター席に座り、隣の男にクダをまいている。
「ジャンさんの石頭〜。ハロウィンくらいお祭り騒ぎしたっていーじゃない〜〜。
ね〜、アマデオだってそう思うでしょお〜?」
「おいプリシッラ、そろそろ飲み過ぎじゃねえのか?」
男の言葉には耳も貸さず、オレンジと黒で綺麗に半々に塗り分けた爪がびしびしとグラスに突きを入れる。
「アンジェには天使のカッコさせて、マルコーさんと歩かせてやるんだったのに〜〜」
「お約束な仮装だなー」
「エッタはお姫様にしてやって、ジョゼさんに『お姫様だっこ』してもらおうと思ってたんだよ〜〜」
「まあ喜ぶだろうなエッタは」
「リコにはミツバチ坊やとか用意してさ〜〜」
「ジャンさんに殴られるぞ。なんだよそのショタくさいチョイスは」
「クラエスには魔女の黒マントを着せて、技師連中の所へ『Trick or Treat ?』って〜〜」
「……似合いすぎて怖いぜそれ」
「トリエラにはビニールレザーの悪魔っ娘姿でヒルシャーさんを悩殺させるつもりだったのに〜〜」
「いや、そりゃ無理だろ」
なんでよおっ、胸パッドだって用意しといたのよ〜〜っ!と
余計なお世話というか、実は存外失礼極まりないことを吼え立てる”愛の堕天使”プリシッラである。
「大体なあ、”あの”ジャンさんが許可してくれると思う方が間違いだって。
寮でハロウィンのお茶会はしてやったんだろ? いいじゃないか、それで」
「だって、そんなの! かぼちゃのトルタ(ケーキ)でお茶しただけなんだよっ?」
「カボチャのランタンだって作ってやったじゃねえか」
でかくて重い飼料用カボチャの買い出しと荷物運び、
更にはお化けランタンの作成まで手伝ってやった付き合いの良い愛の伝道師アマデオが、堕天使をなだめる。
「いーや! 仮装パーティーじゃなきゃハロウィンのパーティーじゃな〜いっ!」
「……要するにおまえ、可愛い女の子達を着せ替えして遊びたかっただけなんだろう」
「う〜〜。フリフリのレースぅ〜〜ヒラヒラのリボン〜〜。ぜぇったい似合うろにぃ〜〜」
ぶーぶー言いながら酒瓶に手を伸ばすプリシッラ。
ちょっぴりろれつが回らなくなってきたその様子に、アマデオは瓶を奪い取った。
「だから飲み過ぎだって。ピッチ早いよおまえ」
「ん〜ん?」
不服そうな声を上げたプリシッラは手元に残されたグラスと手近な食器類を見回す。
空瓶ならば何本か転がっているが、手に届く範囲に中身の入った酒瓶はない。
唇をとがらせしばし空のグラスをにらんでいた堕天使は、
つまみのサルシッチャ(ソーセージ)をつついていたフォークを持ち上げると
くるりとアマデオの方に向き直り、さておもむろに問いかけた。
「 “ Drink or Delete ? ” 」
飲ませなきゃ"消す"わよ?
悪魔の三又槍よろしく眼前に突き付けられたフォークと、にっこり口端をつり上げた堕天使の微笑み。
すっかり目が据わっている愛の堕天使サマに、伝道師ごときが太刀打ちできるはずもなく。
「………どーぞ」
抱えた酒瓶を生け贄に捧げつつ、この後待っているであろう酔っ払いの介抱を予想して、
密かにため息をつくアマデオであった。
≪ Das Ende ≫
BGM // デュカス 『魔法使いの弟子』
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