エンリカのブローチ // ヘンリエッタ
 // //エンリカのブローチ// ,Snippet/,Humor/ 4814Byte /Text //2005-07-06


エンリカのブローチ


エッタがジョゼの部屋から出てきた。

涙目になっている。

廊下でエッタにばったり出会ったトリエラ。

「どうしたの、元気出しなさい」

「だって、ぐすん(涙目)」

「よし、私の部屋で一杯やろう。話し聞いてあげる」

・・・

「ふーん、それでジョゼさんの部屋で今度は何を見つけたの?」

「机の上に、素敵なブローチが飾ってあって・・・」

「ふむふむ」

「ブローチの裏に、女の子の名前が書いてあったの」



「ところで、なんていう名前だったの」

「『エンリカ(Enrica)へ贈る』って・・・。ぐすん。」



「なら、安心ね。」と、2段ベッドの上段からクラエス。

「えっ、どうして?」

「だって、『Enrica』って伊太利亜名を英語風に読み替えたら『Henrietta』じゃない。」

「へ!?」

「それって、あなたへの贈り物なのよ。ちょっとまわりくどいけどね」

「わーい! ありがとうクラエス」

バタン。と、ヘンリエッタは満面の笑みを浮かべて部屋を出て行った。



(ちょっと心配ね。そのブローチがちゃんとヘンリエッタの手元に届くといいんだけれど)





その後、ジョゼが同僚にぼやく。

「どうも最近ヘンリエッタが、

 『私、期待してます』

 と言いたげな顔で僕をじっと見つめるんだ。

 いったい何なんだろう?」

「なにか、プレゼントでもして欲しいんじゃない?」





 そして、一週間後、ジョゼはヘンリエッタに素敵なネックレスを用意し、

「はい、ヘンリエッタ。プレゼントだよ、開けてごらん」

といって、渡した。

「ジョゼさん、ありがとうございます」

といって、ちょっぴり赤くなって笑みを浮かべ包みを受け取るヘンリエッタ。

しかし、包装を丁寧にあけて、ネックレスを取り出しとたん、

ヘンリエッタは泣き出し、走り去ってしまった。



「い、いったいどうしたんだ」

と茫然とするジョゼであった。



<了>

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