機動力を付けよう// リコ,ジャン
 // 縄師// // ,Snippet/,General /4737Byte/ Text// 2004-09-28

機動力を付けよう


―機動力を付けよう―

 “義体達は並外れた身体能力を持ってはいるが、移動能力と言えば、

 公共の乗り物や担当官任せというのが実情だ。

 常にツーマンセルで行動する今までの状態ならば問題にはならないが、

 今後は無線で連絡を取りつつ、担当官と離れて戦闘を行うケースも増えるであろう。

 よって、何らかの機動力を付けるべきだとの結論に達した。”



「以上が今回の訓練の骨子だ、質問は?」

「うれしいです」

「・・・遊びじゃないんだぞ」

「でも・・・前から乗ってみたかったんです」

真新しいビアンキのミニサイクルを撫でながら笑顔で答えるリコ。

「まあいい、楽しくやる方が効率も良かろう、支えてやるからペダルを踏んでみろ」

「はい!」

― すてん ―

「・・・」

「・・・」

「これは・・・中々、先が長そうだな」

「すみません・・・」

悪戦苦闘しつつも、前進。しかしよたよたと蛇行して方向が定まらない。

大まかに言って、どちらかの方向に曲がりだし、それが鋭角になりすぎると転倒、

それの繰り返しになってしまった、原因が判らない。

私自身、初めて自転車に乗れた記憶は遠い過去の事だ、当たり前に乗っていると忘れてしまうものか。

「すみません・・・ジャンさん」

二人で芝の上に座り込んでいると、リコが呟く。

― ぽん ―

頭の上に手を置く、

「乗りたいんだろう、自転車」

俯きながらも、力強く頷く、よろしい。

「元々言い出したのは私だ、否は無い」



結局、夕方まで付き合ってしまった。

「ヘンリエッタにコツを聞いてみるんだな、こちらでも調べてみるが・・・

 今は作戦の予定も無いし、午後からは当分これが課題だな」

「はい、・・・あの、ジャンさん」

「何だ」

「今日は楽しかったです」

「そうか?」

「はい」

「・・・そうか」

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