最終更新: gunsringergirl_ss2 2009年11月16日(月) 22:39:57履歴
無題(7ヤードで全弾必中) // クラエス,ラバロ
//454 //バレンタインデー&ホワイトデー //,Snippet/,Romance/ 5051Byte / Text// 2004-03-14
無題(7ヤードで全弾必中)
訓練も終了間際の夕方。
クラエスはラバロに呼び止められ細長い小さな箱を渡された。
「新しい弾頭だ、汗を流して食事の後、自室ででもよく吟味しろ。」
「はい、わかりました。」ラバロの大きな背中を見送りながら手に持った箱に目を落とす。
いつもの弾薬箱みたいだが、かなり軽い。乱暴に包んだらしい無地の砂色の包み紙には、
これまた殴り書きのように”シルバーチップ弾頭”と書かれていた。
さらにその上には横線で消していたが違う弾頭の種類が書かれている。
クラエスは部屋に戻るとトリエラが、やはりヒルシャーから新しい散弾を渡されたらしい。
夕食後、緊急のお茶会が開かれ各担当官はみんなフラテッロに弾薬を渡した事が分かった。
それは全部、それぞれの義体の使用している銃の弾丸を模したホワイトチョコレートだった。
トリエラは、「やーねぇ、色気も何もあったもんじゃないわぁ」といいながらも頬が赤い
みたいで妙に饒舌でヒルシャーさんをけなしているのか褒めているのか分からない内容を
一人で喋っている。
エッタなど、うれし泣きだ。リコはいつもの円満の笑みでニコニコしている。
・・・アンジェ、星を見ながら食べるのはやめなさい。
緊急のお茶会は誰が言うとも無しに早々に切り上げられ各自部屋に戻っていった。
ラバロは自室で読書灯の明かりのみで読書をしているとドアをノックするのを聞いて
「いいぞ。」とだけ応える、この部屋に来るのはジャンとクラエスぐらいなものだからだ。
カチャリとドアは開くが入ってくる気配がない、ラバロは座ったまま椅子を回転させドアを見る。
そこには部屋には入らず廊下から顔と上半身だけを覗かしているクラエスがいる。
「どうした?なぜ入らん。」
クラエスは顔を少し赤らめて微妙に目線をそらしていたがラバロと視線を合わせると
「ラバロさん!本日のホワイトチップ弾、わた・・私の・・・私のハートに7ヤードで全弾必中しました!」
バタンッと少し急いで閉めたドアの向こう側でパタパタとスリッパの遠ざかる音と
「おやすみなさい」という声が小さくなりながら聞こえてくる。
しばらくドアを見つめていたラバロは口元をわずかに緩めただけだが椅子を元の位置まで戻し読書を続けた。
終
//454 //バレンタインデー&ホワイトデー //,Snippet/,Romance/ 5051Byte / Text// 2004-03-14
無題(7ヤードで全弾必中)
訓練も終了間際の夕方。
クラエスはラバロに呼び止められ細長い小さな箱を渡された。
「新しい弾頭だ、汗を流して食事の後、自室ででもよく吟味しろ。」
「はい、わかりました。」ラバロの大きな背中を見送りながら手に持った箱に目を落とす。
いつもの弾薬箱みたいだが、かなり軽い。乱暴に包んだらしい無地の砂色の包み紙には、
これまた殴り書きのように”シルバーチップ弾頭”と書かれていた。
さらにその上には横線で消していたが違う弾頭の種類が書かれている。
クラエスは部屋に戻るとトリエラが、やはりヒルシャーから新しい散弾を渡されたらしい。
夕食後、緊急のお茶会が開かれ各担当官はみんなフラテッロに弾薬を渡した事が分かった。
それは全部、それぞれの義体の使用している銃の弾丸を模したホワイトチョコレートだった。
トリエラは、「やーねぇ、色気も何もあったもんじゃないわぁ」といいながらも頬が赤い
みたいで妙に饒舌でヒルシャーさんをけなしているのか褒めているのか分からない内容を
一人で喋っている。
エッタなど、うれし泣きだ。リコはいつもの円満の笑みでニコニコしている。
・・・アンジェ、星を見ながら食べるのはやめなさい。
緊急のお茶会は誰が言うとも無しに早々に切り上げられ各自部屋に戻っていった。
ラバロは自室で読書灯の明かりのみで読書をしているとドアをノックするのを聞いて
「いいぞ。」とだけ応える、この部屋に来るのはジャンとクラエスぐらいなものだからだ。
カチャリとドアは開くが入ってくる気配がない、ラバロは座ったまま椅子を回転させドアを見る。
そこには部屋には入らず廊下から顔と上半身だけを覗かしているクラエスがいる。
「どうした?なぜ入らん。」
クラエスは顔を少し赤らめて微妙に目線をそらしていたがラバロと視線を合わせると
「ラバロさん!本日のホワイトチップ弾、わた・・私の・・・私のハートに7ヤードで全弾必中しました!」
バタンッと少し急いで閉めたドアの向こう側でパタパタとスリッパの遠ざかる音と
「おやすみなさい」という声が小さくなりながら聞こえてくる。
しばらくドアを見つめていたラバロは口元をわずかに緩めただけだが椅子を元の位置まで戻し読書を続けた。
終
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