無題(パニーニ) //エルザ、ラウーロ
        // そのアイデアは永久に封印だ // Serious, //2008/12/17(転載:2010/01/20)



「>>508号は確実に仕留めたか?」
「あ、はい。ラウーロさん、とても簡単なお仕事でした…」

息せき切って走った金髪三つ編みの少女は白い息を吐く。
寒空の下、待たされていた不機嫌な男は少女の瞳が信頼の眼差しを向けても表情を変えずに、
「……遅かったな。で、ついでに買いに行かせたパニーニはどうした?」

「俺は配達のフリをして玄関を開けてもらえとは言ったが渡してこいとは言ってないぞ?」
手ぶらで帰ってきた翡翠の双眸が悲嘆に沈んでも容赦ない命令が飛ぶ。

「戻って証拠になりそうな品は全部処分して来い。強盗の仕業に見せかけて金目のモノは盗んでもいいぞ」
エルザ…まあ、わかってんだろうが隣の住人だろうが警官だろうがいつもの通り目撃者は消せ」

素早く終わらせれば褒められると思っていた少女は、失意の暗い翳を纏っても挫けずに来た道を戻り始めた。

教えられたことは要領よくこなせるが、咄嗟の機転というか融通が利かないのが問題だな、義体は。
男は少女の姿が建物の中に消え、声が届かなくなるまで待ってから愚痴をこぼす。


「…ち、使えん奴だ」







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