無題(パン屋の息子) //ベルナルド、ヒルシャー
         // Serious, // 2009/08/01(転載:2010/01/20)



「なあ、ヒルシャー。お前のお姫様は良く笑うから良いな。」
「突然、何だ?」
「滅多に笑いやがらなかったビーチェがな、『お前は喋って唾飛ばすから
家業のパン屋は継がせない!』っていう親父と『なにを〜!』ってやりあう
俺の話は微笑んで聞いてくれたんだよ。」
「・・・思い出すか。」
「ああ・・・ 少ないだけにな。」
「これから・・・どうするつもりだ?」
「暫くは辞めさせても くれねえだろうよ、ウチの親方共はよ。でもその時が
来たら俺はもう野郎の 顔じゃなくてドゥの中のパン生地を殴って余生を
過ごす。」
「唾飛ばすなよ。」
「フッ、勿論だ。そして俺のパン食って笑う子供達の顔を見て老衰で死ぬ。」
「俺は・・・ヌイグルミ屋にでもなるか。」
「熊か・・・ビーチェの一番好きなパン、 聞くのを忘れていた・・・」

 そして、その男にはめずらしい涙、涙、涙・・・。






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