Richieste sessuali del anus //クラエス
 //ツマラン◆TJ9qoWuqvA //ジキル&ハイド// ,AU,OC,Novelette/,General /12176Byte/ Tex//t 2004-11-08



Richieste sessuali del anus


ジキルとハイド 第4射 『Richieste sessuali del anus』



その日の午前は、公社の運動場で義体どもに徒手格闘術の実践訓練を施していた。

本来はヒルシャー指揮下のフラテッロたち、俺とジキルのように、兵隊あがりと

簡易版義体の子供らだけでやることだったのに、ちょっとしたミスから、トリエラ

の相手まで俺がする事になっていて、肝心の俺の義体を教育することができなかったんだ。



義体棟の屋上から、クラエスが運動場の様子を眺めている。濃い灰色のラバーマットが

運動場に7枚ほど、適当な間隔を置いて敷かれている。一枚のマットに2組のフラテッロ

が集まって、担当官が格闘術の型を義体に教えたり、マットの上で組み手をしている。

義体と担当官が運動着姿で取っ組みあっているマットもあれば、担当官同士で関節技の

実演を義体に見せている所もある。それぞれの担当官は、自身が習い覚えた格闘術を義体に

教えているものだから、担当官が使う格闘術によって、義体たちはてんで別々の指導を受けて

いるわけだ。コマンドサンボ、マーシャルアーツ、少林寺拳法、カラテ、合気道、太極拳などなど。



クラエスがふと目を止める。よく見慣れた顔が一つ、マットの上で大人と睨みあっている。

「トリエラ…(なぜあの中にいるのかしら?)」

素手のトリエラを相手にする男は左手に陸上競技用のピストルを持ち、小刻みに動き回る少女の

の目を狙い続けている。トリエラは俊敏にステップ移動して銃口を(穴は開いていない)かわし

続けるも、男の狙いがすぐに追いついてしまい踏み込めないでいた。

不意に、男の反応が一瞬遅れる。トリエラはその隙を逃さず、男の懐を奪いに飛びこんだ。

(やはり、餌を放ると食いついてくる。)

トリエラの相手をする俺は、意識してトリエラに晒した体の左側、無防備になる死角に顔だけ向け、

トリエラが一気に間合いを詰め寄る様子を、ずっと目で捉え続けた。時間にすれば一秒にも満たない

この瞬間を、俺の脳はスローモーション映像をコマ送りするように処理している。

(左手で銃を持つ手を捻る、右腕で俺のわき腹を捕らえてタックル、…上半身しか見てないな。)

腰から下の半身を左方向に90度捻って向きを変え、、トリエラを迎撃する態勢を整えた俺は、

どうして今日、ジキルを教育する貴重な時間をトリエラに使うことになったのか、考え直してみた。



ああ、昨日のことだったから、まだ覚えている。昨日の午後は義体たちに数学の授業を教えていた。

「これで、等比差数列というものは数と数の間の比が同じ、つまり全ての数がひとつ前の数の?倍に

 なっている数の集まりだとわかると思う。わからない奴は手を上げてくれ。」

黒板を教鞭でパチパチと叩き、俺は15人の義体どもをぐるりと見渡す。3人が理解した様子で

ノートにテキパキと黒板の内容を写し取り、4人が退屈そうにうわのそらでいる。2人がタバコを

を吹かして授業が終わるまでの時間を潰し、あとの6人は全員が寝ていた。床や机の上で横になる

馬鹿もいた。俺のジキルは…かろうじて、椅子に座った姿勢を保ち、夢と現実の世界を行き来する

のを繰り返している。焦点の合わない半目で宙を睨み、コクリコクリと頭を上下させ続けていた。

公社の中には小さな講堂といった造りの部屋があって、俺はそこで週に3回、2時間ずつの授業を

行っている。俺とジキルが属するヒルシャー班の義体たちは全員が13歳から15歳くらいの女の子

なんだが、みんなが訳有りの過去を経て公社に連れてこられ、体の大部分を義体化した。幸いどの娘

も簡単な読み書き計算に加えて、初等学校で習う程度の教育を受けていた。だけれど、彼女らが背負

う使命を果たし、任務を全うするには、それだけでは全く不十分なんだ。

一つ一つの物事に筋道をつけ、順序立った物の考え方ができなければ実際の仕事はおろか、そのため

の訓練さえ効率の悪いものになってしまう。だからこそ、こういった基礎的な学業を疎かにさせるこ

とはできないということで、学のある担当官が交代で、義体たちに勉強を教える。



そうこうする内に授業を終える時間を迎えた。

「今日の授業はこれで終わりだ 各自でよく復習をしておけ」

義体どもが一斉に筆記用具をしまい始める。寝ていた義体もその物音で目を覚まし、帰り支度を始め

た。となりの奴と話し出す娘、タバコを携帯灰皿に押し込む娘、こいつらの立てるざわめき声と物音

にかき消されないように、俺は腹から強く短切に怒鳴り上げる。

「以上 解散っ!」



黒板を拭き、テキストをまとめて、俺は出入り口へ歩き出す。机の下から通路側にはみ出でている頭

を見つけて、しゃがみこんでそいつの顔を覗いた。ジキルと同室の義体、ミュウという少女がいた。

まだ寝息をたてて目を閉じている。俺は立ち上がって、その寝顔に軽い蹴りを放りこんだ。

「馬鹿が!」

ガツッと鈍器で殴ったような音が聞こえた。俺のつま先を額に受けて、ミュウは後頭部を後ろの段差

に強くぶつけて目を覚ますと舌打ちし、歯と歯の間で息を吸いながら、俺を睨み上げてきた。

「ハイドさん」

不意に、ジキルが背後から俺を呼ぶ声に振り返ってしまった。。

「なんだよ?うっ…!?」

ジキルの左目と俺の左目が速い速度ですれ違う。



ハイドが背中を見せた隙にミュウが立ち上がり、ハイドの腰めがけて、体あたりをかました。

バランスを崩したハイドはジキルを長椅子に押し倒す形で倒れこんだ。ミュウがハイドのふとももに

お返しの蹴りをひとつお見舞いし、部屋の外へ走って逃げ出して行く。

「痛っつ…!!!待てガキ!」

「ハイドさん 重いよ」

激しく痛むふとももをさすり、顔を歪めてハイドは立ち上がると深くため息をついた。



「ねえ 今日はトリエラちゃんを迎えに行く日だよ」

「そうだよ さっさと向かわないと遅れてしまう」

「わたしも行く」

「駄目だ 遊びに行くんじゃない」 

蹴られた時にばら撒いてしまった手荷物を拾い集めた。

「部屋に戻ったら 今日の分のテキストをよく復習しろ」

時間を惜しみ、早足で歩き出した途端に勢い良く袖を引っ掛けてつんのめった。つながれた鎖の長さ

を越えようとして、首から真っ直ぐに鎖を張る犬のように、つなぎ止められている感がある。

右袖を見ると、ジキルの小さな手が俺の右袖をつまんでいた。手が首輪、腕が鎖というところか。

「離せっ」

俺はジキルの手を振りほどき、部屋を出た。ジキルの奴は未練たらしく、ずっと後に付いて来る。

(甘やかし過ぎたか?)

内心にそう呟き、しびれを切らしたという演技を混じえて掌を振り上げた。

「さっさと失せろっ 目障りだ!」



ジキルは無言で俺に何か訴える表情を見せた。しばらくして、義体棟の方に向かって歩いて行った。

静脈血のような赤黒い髪と、動脈血のように鮮やかな赤色のトレーナーが夕日に照らされて、綺麗だ

と感じたことを覚えている。見えなくなるまで見届けた後、俺は足早に駐車場へ向かっていった。

「トリエラちゃんのお迎え♪お迎え♪」

仕事用のタウンエースとは別に所有している車、フォルクスワーゲンのゴルフという車に乗って、俺

はトリエラを迎えに行った。トリエラが通う大学は、公社から車で1時間の場所にある。

トリエラを迎えに車を走らせる間、俺は色々な考え事をした。

当初は、義体の特性ゆえにその寿命をもって5〜6年とされていた初期の義体たち、

ヘンリエッタ、リコ、トリエラ、クラエス、彼女らの延命を可能にしたのが、

時間の経過による技術改良の進展と、主に日本などの外国と提携することで得られた、

薬物以外の手段による条件付けと脳の制御手法だった。特に日本のマイクロマシンを

使った脳制御はとてつもなく高いコストがかかるものの、従来の薬物による全ての害から

義体たちを解放できる利点は素晴らしく画期的なことらしい。と言っても、失われた記憶

までは甦ることはないし、使い捨てを前提に義体化したジキル達には関係の無いことだ。



1年前、俺が公社で働きだしてからまだ2、3ヶ月という頃に、トリエラは全身の義体を

換装した。それまでの物よりも一回り大きく、手足の長い義体に、とにかく体中全部を取

り替えて生まれ変わった。顔立ちもどことなく大人の女風に作られていて、胸には、きっ

かりサイズ88cmのたゆやかな乳房まで付いていた。88cmという数字は、恐らくヒルシ

ャーさんが強硬に主張したんだという冗談まで飛び交った。課員のみんなの前に、着飾

った姿でお披露目されたトリエラを拍手が包む。俺なんかはその時、ずーっと下っ端だか

ら人の輪の一番後ろに立ち、トリエラを見てゴクリと唾を飲んだ。いい女だ、息を呑んで、

服の上からもわかる乳房の丘や、尻の丸みを描く曲線を目でなぞって楽しんでいた。

回想を切り上げ、ハイドは車の運転に集中力を取り戻す。

市街の中心部を抜けて、よく手入れされた並木通りの直線に入るとアクセルを

踏み込んで速度を上げた。トリエラを迎える約束の時間まで、残った時間は5分を

切っている。大学の敷地を囲む、黒く塗装された鉄柵が長く道の向こうまで伸びて

いるのが見えてきた。鉄柵の切れ目、大学の正門の前から少し過ぎた所に、ハイド

は車を駐車して車外に立つ。大学構内に入れ交う人々の中からトリエラの姿を探し

て、目線を振り出してみたものの、目印のツインテールは中々見つからないで時が過ぎる。



「トリエラのやつ 遅いな」

トリエラを出迎える約束の午後5時を20分過ぎてもまだ、トリエラは姿を現さない。

何かの事情で時間に遅れるような状況では、トリエラは必ず送迎の係に連絡を入れていた

から、いら立ちよりも先に、俺の胸に不安が湧き上がった。自分のポケットから携帯電話

を摘み上げて手に取り、トリエラの持つ携帯電話番号にかけてみる。

「失礼 トリエラ? 正門前まで迎えに来たけれど 君の姿が見えないんだ」

そこまで言うと、長い髪を下ろしたトリエラが、門の脇にできていた人だかりをかきわけて

現れた。辺りを一度見渡して俺を見つけると、手を振りながら駆け寄って来た。

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