第一句集の題名『海燕』は、夫・豊次郎氏と最後の旅をした上海の霧の港に停泊中の船の帆に羽を休めていたたくさんの燕(つばめ)の事なのです。

龍舌蘭咲きて大きな旱り来ぬ   橋本多佳子 (48)
2008/08/10 18:53

【夏の季】  (日輪と龍舌蘭)


龍舌蘭はメキシコを中心に米国・南西部と中南米の熱帯域に自生する。

葉の形があたかも龍の舌を思わせる処から、その名前がついています。

一般に普及している「蘭」は外観が異なりますが、全くの別品種です。

尚、五十年とか百年に一度咲くといった誤った認識がされていますが、

事実は、気候等の条件さえ揃えば花は毎年でも咲くといわれています。

花茎は5月初旬ごろから伸び始め、暑い7月下旬ごろに咲くようです。

花茎の直径は6〜10センチ、花茎高は5〜10メートルに達します。

長い花茎を一度だけ伸ばして花が咲き、その一生に終止符をうちます。


砂漠地帯に自生するとされる龍舌蘭は大好きな高温・乾燥の夏を喜ぶ。

暑いあつい日照りの夏の到来を感じたとき、龍舌蘭は咲くのでしょう。


(りゅうぜつらんさきておおきなひでりきぬ)

(海燕・昭和十年の句)

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句集 ・ 海燕

      【 句 集 ・ 海 燕 】


野路ゆきて華鬘つ
曼珠沙華火立の花
曼珠沙華折りたる
曼珠沙華咲きて
送り火が並び浦曲
浦人の送り火波に
おぼえなき父のみ
月光にもゆる送り
わが袂磯砂にある
月の砂照りてはて
月照りて野山があ
龍舌蘭夏天の銀
龍舌蘭旱天の花
龍舌蘭の花日輪を
高き葉ゆ蜥蜴の尾
龍舌蘭灼けたる地
龍舌蘭咲きて大き
波乗りに暮れゆく
波に乗れば高波空
波に乗り陸の青山
波に乗れば沖ゆく
波乗りに青き六連
白波の沖よりたて
ひぐらしや絨毯青
花葛の濃きむらさ
山荘やわが来て葛に…
月見草闇馴れたれ
高波のくだくる光
月見草雲の夕焼が
月見草地の夕焼が
若人等幾日ぞ南風
練習船白南風の帆
南風の船並み帆の
練習生帆綱の上ぞ
白南風や練習船
帆を統べて檣は南
百千の帆綱が南風
南風つよし綱ひけ
積雲も練習船も
フレップの実はほろ
フレップの崖なき
樺を焚きわれ等迎
波荒く港といへど
船航くに北海夏の
霧の港北緯五十
東風寒く海女も去
東風寒く海女が去
海女の髪春潮に漬
若布(め)の底に海女ゐる光り目をこらす
わがために春潮深く
若布は長けて海女ゆく底ひ冥かりき
春潮のさむきに海女…
春潮を着きけり志摩…
陵王に四方の庭燎の…
枯芝に万歳楽は尾を…
アベマリア秋夜をね…
海彦のゐて答へゐる…
わがまつげ霧にまば…
鹿啼きてホテルは夜…
硬き角あはせて男鹿…
わが行けば露とびか…
曇り来し昆布干場の…
公卿若し藤に蹴鞠を…

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