PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:ゲーパロ専用◆0q9CaywhJ6氏

<やまいぬ>・3

私が「貴方が私に望んでいること」を理解できるようになるまで時間を与えてください。(犬の十戒より)

はあ、はあ。
はあ、はあ。
はあっ、はあっ。
自分の息遣いが、どんどん荒くなっていくのがわかる。
いつになっても、慣れない。
どきどきする。
ぞくぞくする。
──佐奈と交わるのは。
床に這った佐奈の白い大きなお尻を、後ろから抱え込む。
成熟し、脂の乗った女の人のお尻。
それは、十五歳の小柄な「子供」には、過ぎた代物だ。
戸惑いと、焦りと、そして欲情。
僕のあそこは、かちんかちんだった。
「ふふふ、どうしたかえ? いつもよりも堅くて熱いぞえ、主どの?」
振り返った佐奈が、弄うようにささやいた。
白磁の美貌の中で、唯一赤い──血のように紅い唇の端がきゅっっと吊り上っている。
それは微笑なのだろうか、それとも──。
わからない。
わからないまま、腰を振った。
「おお、逞しや」
佐奈が仰け反る。
でも、それは、たっぷりと余裕を残した反応。
その証拠に、自分から腰を振った佐奈の「中」が、なぶるように僕の性器を弄ぶ。
「……くっ……」
危うくいきそうになって、僕は、奥歯をかんでこらえた。

セックスなんか、よく分からない。
佐奈と交わることは、神社の人たち──相馬さんや岩代さんから勧められている。
凶神に人間の言うことを聞かせるのは大変なことだ。
人が願っても、聞き入れられることはない。
だから、人は、食欲、睡眠欲、物欲、破壊欲――欲望で神を釣り、取引をする。
性欲を刺激するは、その中でも食欲と並んで一番効果的な方法だと言う。
<女神>の飼い主なら、なおさらだ。
「友哉様。何のために、<凶犬神>の宮司が、神と異なる性の人間に定められていると思っているのです?」
佐奈がはじめて発情した日、僕に相談された岩代さんは、
眼鏡の奥の瞳に、何の感情も浮かべずに言った。
その日から、僕は佐奈と交わっている。
多分、同級生の誰よりも、セックスをした回数は多いんじゃないかと思う。
佐奈は、綺麗で、成熟して、そして淫らな女神だ。
交わり始めれば何度も僕を求めてくるし、僕のほうも何度しても欲望が尽きない。
教室で、すすんでいる子たちが、誰としたとか、
どこでどうやってしたとか、話しているのを耳にすることがある。
僕なんかは、みんなからまるっきり未経験と思われているだろうし、
実際そうしたことで、からかわれたこともある。
でも、「神社」に戻れば、僕は、こうして毎日佐奈を抱いている。
だけど、――セックスは、よくわからない。
こうしていると気持ちいいけど、ものすごく気持ちいいけど、
これは正しい交わり方なのだろうか。
DVDとか本とかで、知識は仕入れている。
でも、細かい──あるいは根本的なところで、
自分のこのセックスは間違っているんじゃないか、といつも不安になる。
同級生が熱心にひそひそ話しているセックス。
あの娘をいかせたとか、何をしてもらったとか。
ひょっとしたら、僕が今しているこれは、彼らがしているものとは違っていて、
そして佐奈はこれに満足していないんじゃないか。
僕は、それがとても不安だった。

「残念ながら、これ以上はどうアドバイスもできません」
恥を忍んで相談した相馬さんも、岩代さんもそう言った。
DVDやビデオ、それに聞きかじりの知識。
──それが佐奈の「許容範囲」だった。
佐奈は、僕が他の人間と親しく交わることを望まない。
まして、他の「牝」との性行為はなおさらだ。
佐奈は「凶犬神」。
あらゆる事象を「嗅ぎ取る」ことができる「鼻」を持つ。
それはつまり、僕が他の女性と交わって「練習」したり、
あるいは他の人間の交わりを生で見て「勉強」したりすることが不可能ということを意味する。
僕は、人間の女の子とセックスしたこともないのに、
女神、それも狂った女神としている。
──不安。
佐奈は、――この女神は、僕の捧げる「貢物」に満足しているのだろうか。
白くて大きなお尻を後ろから抱きながら、僕は、焦燥にも似た感情を抱く。
それは、経験の少ない男の子が、今、接している女の子、
それも自分よりはるかに成熟した、強力な女神への畏れ──。
牡と牝との間に、これほど力の隔たりのある二人。
いや。
一人と一柱は、交わってもいいのだろうか。
「……」
不意に、佐奈が振り返った。
四つん這いの肩越しに、強い視線が僕を突き刺す。
「どうしたかえ? 何を考えておる?」
「……い、いや。何も……」
「余計なことを考えるでない。わらわだけを感じや。――主どの?」
最後にとってつけたような、「飼い主」に呼びかける言葉。
佐奈は、まだ僕のことをある字だと思っていてくれているのだろうか。
──それとも……。
そう思った瞬間、佐奈が腰を僅かにゆすり、僕は悲鳴を上げた。

締まる。
佐奈のぬるぬるとした粘膜が、急に荒ぶる。
自分を深く貫いている僕の性器を、肉の洞(うろ)が包み込む。
いや。
これは、僕が貫いているんじゃない。
これは、僕がくわえ込まれているのだ。
佐奈の性器──佐奈の顎(あぎと)に。
喰われる。
尖った、敏感な、聖気の先っぽから。
白い肉の中の、薄桃色の粘膜。
それが、白い牙と、真っ赤な口に化けたような気がして、
僕は背筋が凍りついたように硬直した。
「……」
すがめた目で、佐奈が僕を睨む。
「いかぬかや? ―−いけ、主どの」
傲慢なまでの一言とともに、佐奈が、腰を激しくゆすった。
「ああっ!」
唇からまるで女の子のように高くて甘い悲鳴が漏れる。
同時に、僕は佐奈の中に射精していた。
「ちょっと、あっ、待って、待っ──!!」
耐えようとする僕の努力を、佐奈の白くて大きなお尻は無視した。
僕の下腹にぴったりと吸い付くように触れている滑らかな肌は、
そこから僕の動きを見通しているかのように、僕を放さない。
僕は、佐奈の中に射精し続けるしかなかった。
何度も、何度も、退職の限界まで。
搾り取られる、毟り取られる、吸い取られる。
身体の中身を丸ごと、全て。
頭の中が真っ白になって、やがてそれが真っ暗へ変わる。
気を失う瞬間、僕は佐奈の声を確かに聞いた。
「わらわが怖いかえ? ――いい気味じゃ」

思い出して下さい。
私には貴方の手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があります。(犬の十戒より)

夢。
闇の中。

灯りは、いつの間にか消えていた。
僕は、――目が覚めたのか?
それとも……。

夢現(ゆめうつつ)
暗闇の中。

誰かが僕のそばにいる。
ああ、これは、佐奈だ。
僕の佐奈。
佐奈の匂い、佐奈の息遣い、佐奈の体温。
でも──。
「わらわが怖いかえ? ――いい気味じゃ」
気を失う前に耳にした佐奈のことばを思い出し、僕は愕然と跳ね起きた。

暗黒の中。
現実。

僕は、凶犬神と二人きりで、光が一切ない部屋の中に閉じ込められていた。
灯りは、灯りはどうしたのだ。
佐奈の気配だけが、闇の中で感じ取れる。
窺っている。
僕のことを。
闇を友とする、盲目の狂犬が。

「……」
何か言おうとして、僕は、声が出なかった。
締め切られ、幾重にも結界を張られた本殿の中は、
光を失えば、真の闇の中に閉ざされる。
それは、佐奈の空間。
佐奈が閉じ込められている世界そのもの。
こうした状態が、どれだけ危険か、「神社」の人たちからよく聞かされている。
「狂える神」は、例外なく人間を憎んでいる。
人間に作られ、人間に使われる神なら、なおさら。
「凶犬神」を生まれたときから「飼う」のは、決して安全なことではない。
それだけ強力で、狂った女神だから、生まれたときから縛るのだ。
それは、つまり、そうでもしないと手に負えないほどの凶神(まがつかみ)だということ。
飼われること、養われること。
目も見えず、力も弱い、犬と人の間の弱い赤ん坊。
庇護し、世話をし、愛情をついでくれる「飼い主」に抱くのは、
感謝と、信頼と、愛情。
でも、だけど──。
長じて力を持ち、全てを「嗅ぐ」ことができるようになった女神。
それが、自分と言う呪わしい存在を生んだ張本人だと知ったときに抱くのは、
──感謝と、信頼と、愛情であり続けるだろうか。
力を高めるために、目から光を奪い、
その力を支配するために結界の中に閉じ込め、
この世ならぬものを「嗅ぐ」ことを強制し続ける「飼い主」の正体を知ったとき、
女神が抱く感情は──。
事実、何人もの犬養の宮司は、飼い犬に「喰われて」いる。
比喩ではない。
文字通り、喰われたのだ。
脳裏に、灰燼と化した本殿跡が浮かぶ。
何代か前の「凶犬神」の住まい。
──三日経っても宮司が戻らぬ場合、それは、女神が自分の「飼い主」を喰い殺してしまったのだ。

以後の、食事も、世話も、つまり自分の生命までも拒否して「飼い主」を殺す。
凶犬神は、そこまで歪んで狂ってしまうのだ。
結界ごと焼き払われた跡地を見たとき、
僕は、僕が佐奈にそうされる日が来ないという保証がどこにもない事を知った。

「――目が覚めたかや?」
闇の中での、問い。
「あ、ああ……」

「――わらわが怖いか、主どの?」
暗闇の中での、問い。
「……怖い。怖いよ」

「――いい気味じゃ」
暗黒の中での、ことば。
「……いい気味か──」

ふっと、近づく気配。
佐奈は、僕が思っていたよりも、ずっと近いところにいた。
暖かな舌が、べろりと、頬を舐められる。
いつか、―−ずっとずっと昔に、佐奈にそうされたように。
「いい気味じゃ。――佐奈は、友哉のほうがずっとずっと怖い」
「――え……」
拗ねたような声。
それには、隠しようのない甘えがこもっている。
僕が良く知っている、佐奈の声。
「わらわが、友哉に捨てられることをどれだけ畏れておるか。
──たまには、思い知るが良い。――いい気味じゃ」
暗闇の中で、床に優しく押し倒される。
佐奈が一人、ずっとずっと僕だけを待っていた闇の中で。

「あ……」
そして、僕は、佐奈がいつもどんな思いで僕を待っているのかを、はじめて知った。

涙が溢れる。
頬を伝うその涙を、佐奈が舐め取る。

飼い主よりも、ずっと成熟してしまった犬が。
飼い主よりも、ずっと力を持ってしまった犬が。

飼い主から恐がられてしまった犬が。
飼い主──世界の全てから恐がられてしまって、
飼い主に捨てられることを畏れて、
飼い主よりもずっとずっと怖い思いをしている犬が。

そんなことを、そんな単純なことをはじめて知った
愚かな飼い主は、ことばもなくただ泣き続け、
僕の犬は、ただただそれを慰め続けた。
優しい闇の中で。


思い出して下さい。
私には貴方の手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があります。

──けれども、私は貴方を噛まないように決めている事を。(犬の十戒より)


思い出してください。
貴方には仕事や楽しみがありますし、友達だっているでしょう。
でも……、私には貴方だけしかいないのです。(犬の十戒より)


そして──どうか忘れないで下さい。私が貴方を愛していることを。(犬の十戒より)


                   fin



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このページへのコメント

このSS好きすぎて定期的に読み返してるわ

0
Posted by 名無し 2015年06月13日(土) 13:35:49 返信

泣いた°・(ノД`)・°・

0
Posted by (*´д`*) 2012年08月10日(金) 22:29:13 返信

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