PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏

――やっと落ち着けると思ったのに…。

凪を送り届け別れた後、姉に腕を引っ張られ家にむかっているが、なにか鬼気迫るといった感じでズンズン歩いていく。
「姉ちゃん、買い物にいこうよ、家に食べるものなにもないよ?」
「嫌。」
「姉ちゃん……手痛いからもう離して。」
「絶対にイヤ!!」

離すどころか余計に力が増してくる。
「姉ちゃんどうしたの?なんか変だよ?」
「勇……私との約束を忘れてるの?」
「約束?……」
なんだろう…姉との約束…思い出せない。
「毎週金曜日の夜!!」

考えていると姉が思い出せない俺にイラついたのか、ヒントをだしてきた。

「金曜日の夜………あ!!」
「勇……忘れてたでしょ。」
思い出した…だから昨日からあんなに機嫌が悪かったんだ
「でも凪ちゃんもいてたし…昨日はさすがに無理だよ…」
「だから我慢したのよ…今日まで我慢すれば、昨日の約束を今日に繰り越してもらうつもりだったから…」
俺の手を握り下を向いてしまった…
「……わかったよ、それじゃ今日の夜は一緒に寝よう。」
まぁ、約束だからしかたないか。
「…夜までまてない…」
違う意味に聞こえるから考えて喋ってほしい。

「それじゃ……買い物に行かなきゃ約束は無し…」

その言葉を聞いた瞬間、カッと熱くなり、私は勇の頬を叩こうと、手を振り上げていた……
しかし勇は怯まず私の目をジッと見るだけ。
振り上げた手をどこに持っていけばいいか分からず、勇を睨みつける。

ここで叩けば今まで我慢したことがすべて崩れる、勇に嫌われる恐怖から、どこに怒りをぶつけていいかわからず、ただ戸惑うだけ…。

「わかった…それじゃ早く買い物にいこう……」
ここは勇の言うとおりにしよう…ここで揉めても時間が減るだけだ。
「うん、それじゃ行こっか?」
勇が先に歩き出す
置いて行かれないように慌てて勇の隣に並ぶ。

――勇は卑怯だ。

私は姉としての威厳がまったく無いといってもいいだろう。
なにをするにしても勇の側でないと落ち着かない。
今の私の人生はすべて勇で成り立ってるからだ。

――俺が姉ちゃんを守る――

その言葉に私は甘えているのだ。

もし守る相手が私では無く、違う相手に変わったら……
「考えるのは辞めよう……今が幸せなんだ」
自分に言い聞かせる。
そうしないと「姉」ではなく「女」としての感情が溢れ出てしまう。


――昔の姉なら喧嘩になれば平手打ちなんて当たり前だった……
ここまで弱らせたのはほかでもない俺だ。
姉を見るとなにか考えごとをしてるのか、上の空で歩いている。
「姉ちゃん前をむいて歩かなきゃ危ないよ?」
そう言うと姉の腕を掴み、引き寄せる。
「分かってるわよ!!歩くぐらい自分で歩ける!!!」
バシッ
「痛っ」
「あっ!!勇……ごめんなさい。」
手を振り払われた……かなり怒ってるな。
まぁ家につく頃には機嫌よくなっているだろう。

そう信じてスーパーに足をむける。

――、スーパーにつくとカゴをもって歩き出すが、休日で人が混雑してごった返している。
「これと…これと、あと野菜売場にいかなきゃ…」
姉は食料を俺が持ってるカゴの中に放り込んでいく。
「…ちょっと姉ちゃん入れすぎじゃない?……」
食料をバンバン入れてくる。
「いいのよ、買いだめすれば毎日こなくてもいいでしょ、それに今日は美味しいもの食べさせてあげる」
いつ機嫌が治ったのだろう……
女性の感情は激しいな。

見る見るうちにカゴの中が食料だらけだ。
さすがに重たい…
「………はい、半分。」
見透かされたのか姉がカゴの取っ手を片方掴んだ。
そのまま2人でカゴを持ち、レジの台にのせると、定員の冷たい視線に気づく。
彼女となら気にならないのだが、姉となると、なぜかその目が気になってしまう。
会計をして、買った物を袋に詰め、二つあるうちの軽い方を姉に渡す。
店の中が暖房で暖かかったので外に出ると来る時より寒さが増している。

「寒っ!早く家に帰ろう、身体が寒さを通り越して痛くなりそうだよ。」
「そうね、早く家に帰って布団に入らなきゃ」
「(そのことしか頭にないのか)いや、まだ昼だから、寝るには早いよ」
「私は3時間しか寝てないわ。」
「夜寝れなくなるから、今日はちゃんと夜中に寝ようね」
「ええ、帰ったら寝ましょう。」
……姉と会話が成り立たないので、会話することを辞める。
家に向かって歩いている道中、空から冷たい水の雫が顔に当る。
見上げると、空一面に雨雲が広がっている。
「あぁ〜降ってきたな…傘なんて持ってきてないし…姉ちゃん走れる?」
「うん、大丈夫よ、風邪ひく前に家に着きたいわ。」
雨が本格的に降る前に家まで走って帰りたかった。

「はぁ、はぁ、はぁ、買い物袋を持ったまま走るのは流石に疲れるね。」
「はぁ、はぁ、そうね、卵割れてなきゃいいんだけど…」
家の前まで走ってきたが、結局びしょびしょになってしまった。
「濡れるんなら歩いてくればよかったな。」
「バカッ、風邪ひいたらどうすんのよ、男手は勇しかいないんだっ?!…か…ら……。」
姉が固まった。

「姉ちゃん?どしたの?」
姉の目線を辿ると自宅の玄関を見て固まってるみたいだ。

「なに?家になにかある……の…」
姉につられて玄関に目をむけると………一年振りに見る母が扉の前に立っていた………

――「おかえりなさい。」

当たり前のように迎え入れるその声は、普段からある日常だと勘違いしてしまいそうになるぐらい、身体に優しく浸透してきた……



「ただ…い…ま。」

あれ?姉ちゃんと2人暮らしじゃなかったっけ?
意味が解らない。
お母さんが帰ってきた?手には買い物袋を持っている。
………懐かしい。
勇は感覚が麻痺して昔の思い出を懐かしんでいる。
だが麻奈美はそうはいかなかった。
母を睨み一言。

――「私達の家に……なにしに来たのよあんた…」



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