PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏

――お風呂から出てきたとき、母と勇が抱き合っていた……

――その瞬間、私は悟った。

……母に勇を盗られた…。

(勇と母を離さなきゃ…)
頭にすぐに浮かんだが唇が思うように動かない…
勇と抱き合ってた母が、私がリビングに入ってきたにも関わらず、勇を離さなかったからだ……

――「なにしてるの……」
やっと振り絞って出た言葉がこんな弱々しい声なんて…

その言葉を聞いて勇が慌ててこちらを向く……
「ね、姉ちゃん!?はっ早かったね!」

……ムカつく……

「えぇ…なにかあったら駄目だと思ったから早く出てきたの……で?なにしてたの…」
精一杯、嫌みを込めて言う…。
「つまずいて転けたところを勇が支えてくれたのよ…勇ありがとね。」
母は言葉の裏に私だけが気づくように「嘘よ。」と言っているのが分かる…。

抱き合ってるのを途中から見てしまってるのだ、そんな言い訳通じるはずがない…母もそれは知っているはず…。


――勇が風呂場に行けば、リビングに私と母の2人だけ…
気まずい空気が流れる。
「…麻奈ちゃん、大学に行ってるんだって?」
そんな空気の中、母が私に話しかけてくる。
「えぇ……○○大学に……それがなにか?」
「○○大学?……懐かしいわね、お父さんが行ってた大学ね。」
「そう……」
「…麻奈美……私のせいで苦労をかけたわね…本当にごめんなさい…」
「今更なに……?」
「私は親として、してはいけないことをしたわ……あなたには一生許してもらえないかもしれない…ただずっと償っていくつもりよ…本当にごめんなさい…」

「ふざけないで……謝ってもらっても、もう、昔のようにはいかないわ…」

本心で謝ってるのはわかる……
だが母の最終目的が「また勇と一緒に暮らしたい」と願ってるなら私は絶対に許さない……
先ほど、なぜ抱き合ってたのか分からないが、あの行為も母には勇と暮らす第一歩になったはずだ。
家族と言うのは出てたり入ったりできない絆で結ばれているはず…。
そんな謝罪一つで家族に戻りたいなんて、傷つけられた側からすれば許せる訳がない。
「そう……麻奈美……あなた勇に彼女が出来れば、ちゃんと祝福できる?」

――勇に彼女?……なにいってるの?

「なによ…いきなり…」
「もしも……勇に彼女が出来て…結婚することになったら、あなたどうするの?」
私にその質問をする意味がわからない…「どうもこうも……私は勇の姉よ…姉だか…ら…」
――姉だからどうする?
勇のことを祝福する?
勇の横には私ではなく別の女…
その女と勇は新しい家族を作る…
私はどうすればいいの?

「私は我慢が出来なかった…大事に育てた勇が他の女のとこに行くのが怖かったのよ。」

「私…は…」

「…あなたはこの先、絶対に私と同じやりかたで勇を縛るわ……」
「お母さんとは違う!私は勇のことを最優先に考えて行動するわ!!ましてや勇を傷つけたりしないわよ!!!」

「私も勇を最優先に考えてたわ…なにをするにしても…」
「だったら何故あんなことを勇にしようとしたのよ!?あなた母親でしょ!!?」
「えぇ、私は母親よ…誰よりも勇を愛しているわ…私が産んだんだもの…」



――なにも…言い返せなかった。
勇を語る母には誰にも劣らない絶対的な勇への愛が溢れていた。
「無論あなたも愛している」
「…」
「あなたにも分かる時がくるわ――身体の半身を持って行かれた気持ちがね…」

「ぅ…あっ…」

――始めから母には勝てないんだ…

私は母から逃げた……
母の本音と現実を叩きつけられた私は勇を守る気持ちを忘れ自分可愛さに現実から逃げてしまった…
勇の部屋に逃げ込んだが無論勇は、風呂場にいて部屋にはいない。
勇のベッドに近寄り布団に顔を埋める…勇の匂い…の他に甘い匂いがする…凪の匂いだ…
「なんで…私には勇しかいないのに…」
今すぐ勇に触れたい…
私の「勇を守る」と言う信念から大きく外れているのは分かっている…
だがもう抑えられない…
勇に甘えたい。
撫でられたい。
匂いを嗅ぎたい。
母や凪と同じように………勇とキスをしたい。


――まただ……勇がいなきゃ不安で仕方がない…ここから動けない……自分の小ささに嫌気がさす…勇……。



助けて…


――「…姉ちゃん…大丈夫?」
「うん…少し落ち着いてきた……」
姉が泣き出してから30分間ずっと膝の上で抱っこしてたので足が痺れてる。
「勇……私を置いていかないでね…ずっと家族だから…」
俺の頭を姉の手が忙しなく這う。
「……」
「なんでなにも言ってくれないの……」
「いや、うん…分かってるよ…」
「……それじゃ今日は早く寝ましょ…勇こっちにきて…」
「まだお母さんが下にいるだろ?ご飯も作ってくれるし…食べなきゃ悪いよ…」
「勇は私とお母さんどっちが好き?」
「え?」
「私は勇が一番大切よ…?」
「あ…うん…」
「だから…勇もっ「コンっコン」
「勇?食料冷蔵庫に入れたわよ?」

いいところに母が来てくれた……
「は〜い!わかったぁ!すぐに降りるよ〜」
姉をチラッと見ると扉を睨み殺しそうな勢いで睨んでいる…「姉ちゃん…下に降りれる?」
「うん……大丈夫…」そういうと俺の膝から立ち上がる。
「ふぅ……それじゃいこっか…」
足が痺れてるのを我慢して立ち上がる…部屋の扉を開けると母が立っていた。
「勇、もう料理作っちゃうね?」
「うん、お願い、美味しい料理お願いね。」
「任せなさい、私は料理美味いわよ?」

「ははっ楽しみだね。」


「……お母さんと仲良く話さないでよ…」
「っ!?」
今の声姉ちゃんか?…すごく冷たかった…あんな声初めて聞いた。
「……でさっ、トマトとか入れないでね?」
姉のほうを振り替えれない…
「勇、あんたまだトマト食べれないの?昔からダメだったわよねぇ」
「匂いがね…駄目なんだよ」
「まだまだ子供ね…ふふっ」

「勇…聞こえないのお母さんと仲良く話さないで。」
今度は耳元で囁かれる。
「……」





――この日を境に麻奈美は母親の予言通りに勇の心を縛り付け、1ヶ月後には勇を壊してしまうことになる。



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