PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏

――母が夕飯を作りに来てくれてから二週間、あれから姉が俺の部屋に居る時間が倍近く増えた。

一週間に一度の約束も4日に一度になってしまった……姉から泣きながら頼み込まれたからだ。
それも姉の小さなベッドで寝るから体の節々が痛い。
「はぁ……」
最近ため息をよく吐くようになった…あまり身体の調子も良くないな…

授業の内容もあまり頭に入ってこない。

今も授業中だが空ばかり見てしまう…。


――「あんた…大丈夫?…」
隣席の女子、に声をかけられる。
「ん?あぁ、まぁちょっとね。」

「なんか最近元気ないみたいだけど…悩み事?」
異性の中で一番仲がいい女子かもしれない。
話しやすく、あまり気を使わなくてすむから楽だ。

「まぁ…家族のことだから相談しようにもね…」

「そっか……まぁいつでも相談してよ!!私が答えれる範囲でよければ、いつでも相談にのるからさ!!」

「ありがとう……あと授業中だから静にな?。」

周りを見渡すと全員俺達のほうを見ている……立ち上がり話しているこの女子は周りをキョロキョロと見ると顔を真っ赤にし小さく「バカ勇!」と言うと椅子に座り直した。

キーン、コーン、カーン、コーン。


――「ふぅ…やっと終わったな。」
今日は学校が終わる時間まで空を眺めていた、
いつもは長く感じる学校の時間も今日ほど早く感じた日はないだろう。


――「勇、帰りにマック行こうぜ!腹減ってしょうがねぇよ。」
いつも一緒に帰っている男友達が話しかけてきた。

「は?、今日って部活無いの?」
「おう、三年生はもうすぐ卒業だろ?なんか三年生だけでパーティーするらしいよ。」
「なんだそりゃ?部活関係無いじゃん。」
「まぁ、集まって何かするってことが無くなるから羽目外したいんだろ。」
まだ一年だからわからないがやっぱり寂しい物なのか…
「まぁ、部活無いならべつにいいよ?」
「んじゃ、行こうぜ。」


――「勇〜!!」
2人で一階まで降りると。
授業中、俺に相談にのると言った女子が俺の名前を呼びながら走ってくる。

「なんだ?走るなよ、転けるぞ」

「いや、校門に勇の知り合いが来てるわよ?」

「俺の知り合い…?誰だろ…」

「女の人だったよ…綺麗な人だったけど…あんた彼女いたの?」

「はぁ!?かのじょぉ!?勇……おまえ裏切ったな…」

「ははっ裏切ったって。」

「なに笑ってんじゃボケ!!おまえは俺と同じように部活一筋の親友だと思ってたのに…女なんかの尻追っかけやがって。」

いきなりなにキレてんだ?

「いや、おまえだって高橋(女友)とつきあってたじゃん」

「ちょっ!!私は大樹(男友)とつきあってなんかいないわよ!?」

「まぁ、つきあってたのは本当だな…手も握らせてくれなかったが…」

「立派な彼氏彼女だよ。頑張れ」


「3日間だけよ!!今はなにもないわよ!!」

「すんげー必死だな…流石に傷つくぞ?」

「まぁ…仲良くな?俺は知り合いって奴を見てくるわ」

「まて!!おまえは俺とマックの約束があるはずだ!!」

「いや…まぁ、また明日な。」

「ヤダ!!約束だ約束!!」

姉ちゃんが男ならこうなるのか…

「てゆうか、本当になにも無いからね!?勘違いしないでよ!!?」

ギャーギャーと騒がしいな…似たもの同士で良いと思うけど…

「高橋…わかったから大樹をなんとかしてくれ……涙でボロボロじゃないか」


「高橋頼むからな?」

「えぇ…誤解しないでよ?私と大樹は本当になにもなかったからね」
まだ言ってんのか…

「勇!!ちょ、ちょっと待てって!!Sサイズならなんでも奢ってやるから!!なっ!?」

「(なに言ってんだこいつ?)……んじゃ、また明日ね」

靴を履き替えて校門に向かう。
後ろで叫び声が聞こえるが無視しよう。
今は大樹より、校門で待つ女性だ…


――校門まで走ってきたが、どこにいるんだ?

「(いないじゃん…)」
周りを見渡してもいない…
「新手のイタズラか?」

するとヴーヴーッとポケットの携帯が震動する。

携帯を開いてみると画面には「姉」と表示されている。
「メール?なんだろ…」


『勇、迎えにきたよ〜!○○駅に先に行ってるから、後で追いかけてきてね』

姉ちゃんが迎えに?校門の女の人って姉ちゃんか…
「でも珍しいな…姉ちゃんが迎えにくるなんて…なにか用事かな」

ここでウロウロしててもあの2人に捕まる恐れがある…よく解らないが一応駅に向かおう。


――駅の改札口に着くと姉に電話をする。

「姉ちゃん今どこにいるの?」

『えっとね、三番線ホームのベンチに座ってる。』

「わかった、そこで待ってて。」

姉との電話を切り、三番線ホームを目指す……

学校帰りの生徒達が数多く、少し混雑している。


階段を登り三番線ホームにたどり着く。
「どこだろ……」
周りを見渡すが生徒だらけでまったくわからない…歩くことすら困難だ。

――「…勇」

「姉ちゃん!?ビックリしたぁ〜」

肩を叩かれ後ろを振り向くと姉が立っていた。

「姉ちゃんよく後ろ姿だけで俺だってわかったね」
老若男女いるがほとんど俺と同じ学生に通う学生だ。

「弟の後ろ姿見間違えるわけないでしょ?」

「ふ〜ん、まぁいいや、なにか用事があったの?迎えにくるなんて珍しいじゃん。」

「ん?べつに用事なんてないわよ?」

「は?じゃあなんで来たの?」

「……駄目だった?…嫌なら今から帰るけど…」

「いや、俺も今から家に帰るから一緒に帰るけど。」

「それじゃ帰りましょ。」

電車に入ると後から後から人が入ってきて、10秒もしないうちに満員になってしまう…
姉は運良く座れた(譲ってくれた)みたいだが俺は座れなかった。
なんとか姉の前を確保することが精一杯だった。
「勇、交代する?」

「お姉ちゃんに立たせるわけにはいかないでしょ?大丈夫だよ30分ぐらいだから。」

「そう…辛くなったらいってね?」

「立つぐらい日常茶飯事だよ、気にしすぎだって。」

「うん……ギュッ……」

「……」

最近は一緒に居る時、俺の身体のどこかに触れていないと落ち着かないらしい。
誰が見ても姉の依存が悪化してるのはわかる。
姉にカウンセラーを勧めたが拒否反応が凄まじかったので断念した。


目を瞑り昔のことを思い出す…

昔は元気な姉だった。
美人と言う言葉が、そのまま当てはまる姿と、誰にも負けない強気な性格で姉の周りには人が耐えることは無かった。

姉に頼る人もいっぱいいるだろう…俺もその一人だ。

俺に費やした時間が姉から周りの人間を遠ざけた。
周りからの誘いをすべて拒否し、休みの日を俺の為に使いだした頃から多くの人が離れていってしまった…

地元の友達はいるみたいだが、やはり大学の友達を作ってほしい。
そして大学生活を満喫してほしい。
一番世話になってるからこそ姉には一番幸せになってほしい。
本当にそう思う。


――「勇…着いたわよ?」
姉の声に現実へと引き戻される。

姉と一緒に降りて改札口を通り抜ける。

「勇?空見て…綺麗…」

「お?雪だ…積もるかな?」

「夜も降り続けば積もるかもね…」

「寒いねぇ…早く家に帰ろうか?」

「勇は右手に手袋付けて、私は左に手袋付けるから…はい反対の手は繋いで帰ろっ」

「恥ずかしいよ…」

「え?あっ……そっか…それじゃ勇が手袋使って言いよ?私は平気だから…」

「ははっ俺は手袋なんかしたことないよ、大丈夫だよ、お姉ちゃん使ってよ」

「え…でも…霜焼け出来るかもしれないし…」

「大丈夫、寒さには強いから」

「そう…そ、それじゃ…えっと…」

「……わかったよ、手袋片方付ければいいんだね…ハイ、繋ぐんでしょ?」

「!?……うん!!それじゃ帰ろっ!!」

家につくと服に付いた雪が溶けて結局びしょ濡れになってしまった。
「お風呂沸かしてくるね?タオル持ってくるからちょっと待ってて!」

「わっ私も行く!」
慌てたように姉が俺の後を追ってくる。
「ハイ、姉ちゃん、タオル。」
姉にタオルを渡すとありがとう、と言い身体を拭き始めた。
10分経ち風呂が沸いたので姉を先に入れさせようとしたのだが、姉はとんでもないことを口走った。
「一緒にお風呂入る…とか…」

「え?」
思わず聞き直してしまった。

「いや、風邪引いたらさ…アレだから…」
「流石に…ね…先に入っていいよ?」

「うん……わかった…」

「……(一緒に風呂はやばいな)」
姉がでた後、俺もすぐに入ったが、何故か俺ではなく姉が風邪を引いてしまった…。

――やっぱり風邪か…風呂でた後姉の顔色が悪かったので熱を計れば38℃という高熱表示がされている。
「今日は大人しく寝なきゃ駄目だからね?」

「勇はどこいくの?」

「風邪移るといけないからさ、自分の部屋で寝るよ。」

「そう…たまに勇の様子を見に行く…」

「いや、風邪引いてるのお姉ちゃんなんだから俺が様子見に来るよ」

「わかった…なるべく早く見に来てね?」
風邪で余計に心細くなっている。

一応明日は姉の看病で休むつもりだった…
だから一時間ごとに姉の部屋を覗いた…姉は苦しそうにしながらも俺が顔を覗かせると布団から出ようとする…
俺が行くから寝れないのかと思い
行くのを止めると今度は姉が部屋を覗きにくる…
どうにも姉の身体が休まってる気配が無かったので
俺も姉部屋に布団を敷いて寝ることにした。
約束の日では無いこの日に姉部屋で寝ることが姉自身嬉しかったようで。
一人はしゃいでいる。
姉を落ち着かせお腹をさすると10分もしない内に寝息をたて始めた…
「……本当に子供みたいだな」

小さく呟くと光を豆電球だけにし自分も床につく…


この小さな病気が麻奈美の依存を加速させることを勇はまだしらない…。






(病気や怪我をすれば勇は構ってくれるんだ…)



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