PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏

――今の声…お母さんだった…勇はお母さんのところにご飯を食べにいってるの?
なんで?
前にお母さんの所に行かないでっていったのに……
昨日私がご飯作らなかったから?
母の所に行く理由…



――私に愛想つかした?――

「いやあぁぁぁあぁぁぁ!!!」

…あ…れ…?スカートの中…暖か…い…私オシッコ漏ら…し…

気持ち悪い感覚に襲われる…
「勇に嫌われ……ッそんなことより…早くっ勇を迎えにいかなきゃ。」

住所は?
確か一週間前母から勇宛てになにかの荷物が届いたはず…
それに住所が書いている。

階段を駆け上がり勇の部屋の扉を乱暴に開ける…
机の上にダンボールが置いてある
「あった!!えっとこれだ………隣町じゃない…すぐにいけない…でもいかなきゃ!!」

服を着替え、伝票を強引にダンボールから引き剥がし、財布を持って家を飛び出した。

お母さんだけは私にはどうしようもできない。
凪ならなんとかなる…ただ母は無理だ。
――「はぁっはぁっ身体が重い…」
こんな時にも風邪の影響がでるなんて…
でもこんなとこで座って居られない…勇の所にいかなきゃ…お母さんの色に染まる前に。


――「こんなに食べれるかなぁ…」
縦横1メートルのテーブルが料理で埋め尽くされる。
「高校生でしょ?大丈夫よ、」
エプロンを外し椅子に掛ける。
「なんか5人分ぐらいあるけど…」

「まぁ残ったら明日にでも食べるわよ。」

「うん、それじゃいただきます。」

「はい、いただきます。」
前は姉と三人で食べたがあの時は正直気まずくて、味もあまりわからなかった。
今は美味しく母の味を堪能できる。
「うん!美味しい!!」

「ふふっそうでしょ?勇はこの味で育ったんだから」

姉ちゃんと食べるご飯も美味しが。
懐かしさからか、母と食べる料理は、今まで一緒に食事をした誰よりも美味しく感じた。
「本当?ありがとね…さっ、いっぱいあるからたくさん食べてっ!」
母も楽しそうだ。
姉ちゃんとお母さんと俺…三人で暮らせたら楽しいだろうなぁ…
ふと姉ちゃんのを思う…
一番支えてくれた姉ちゃんだけは絶対に幸せになってもらわなきゃ。
(俺の甘えもそろそろ治さなきゃな)
「自立」と言う言葉が頭に浮かぶ。


――仕事中に勇から電話かかってきた。
勇から初めての電話…。

携帯の画面を見て一瞬で身体が硬直する。
画面に表示されている勇の名前を眺めていると、電話がきれてしまった。
ハッと我に還り、すぐにトイレに駆け込む。
慌ててかけ直すとワンコールで勇が出てくれた。
勇から話を聞くと、なにか相談に乗って欲しいらしい。

「今仕事中だから夜でいい?」と聞くと血の気が引くような答えが返ってきた。

――「忙しいの?それじゃまた今度でいいや、仕事頑張ってね。」

「え!?ちょ、ちょっと待って!!!」

「ビックリした!!どうしたの!?」
自分でも自分の声のでかさにビックリした。

「いや…うん、多分あと一時間ぐらいしたら帰れるかも…」

「え?でもさっき夜になるって…」

「いや、すぐに終わる仕事ばかりだから大丈夫だよ。」

仕事が詰まってるが私一人いなくなったって会社は大丈夫だろう。
勇と会うのは夕飯を作った日以来だ。
会社の取締役という重役を担っている人間として、失格かもしれないが私は仕事より息子をとる。

食事を一緒に食べるという約束をして電話を切る。

「勇……」
まだ私を母として頼ってくれる勇に感謝しなくては。


――「ごちそうさま、ちょっと食べ過ぎたかも…お腹いっぱい…」

テーブルに置いてある料理をすべて食べ、だらしなくソファーにもたれ掛かる。
「ふふっ凄いわね、全部食べちゃうなんて…さすが高校生ね。」
あんな嬉しそうな顔で食べてる姿を見られると全部食べないと悪い気がする。
「お母さんはお腹空いてなかったの?あんまり食べてないけど…」
食事の途中から母は箸を置いて俺の食べてる姿を眺めてるだけだった。
「勇の食べてる姿を見ているだけで、お腹いっぱいになったわ。」
そういいながら自分のお腹を撫でだした。


――「私も手伝おうか?」

「大丈夫だよ、休んでて。」

「そう…」

母は「私が洗うから休んでていいよ。」と言ったのだが、食べてばかりでは悪いので皿洗いをさせてもらっている。


「よしっ終わった。」

「お疲れ様、ありがとね、勇」
手をタオルで拭き、母が座るソファーに近づく。

「お母さん…それで話なんだけど…」

「ん?あっそうだったわね…でっなに?相談って。」

「姉ちゃんのことなんだけど…」

「麻奈美…?」

母の表情が曇る。
「うん…最近姉ちゃんにどう接していいかわからなくてさ…」

「どうゆうこと?なにかされたの?」

――母に父が死んだ後のことを話した…
俺が姉に依存していたこと…俺は立ち直れたが俺の依存が姉に移り、姉の依存度が日に日に増していること。
母に言えることはすべて話した。

「私のせいね…私が家族を壊したから…」

母が涙を流しながら呟く。

「違う!!俺の精神面の弱さが姉を巻き込んだんだ…お母さんが悪い訳じゃない…」
気がつくと母を抱きしめていた…

「きゃっ!?、ゆ、ゆう??」

「俺がもっと強かったら姉ちゃんは自由になれたんだ……」

「勇…勇は悪くないわ…ほら泣きやんで…お母さんも悲しくなるから。」

いつの間にか涙が溢れていた。

「っ!?ごめんっ!!」
慌てて母から離れる。
涙を拭い深呼吸をする…
「すぅー…はぁー…すぅー…はぁー…相談どころじゃ無くなったね…」

「そうね、でもちゃんと相談にはのるわよ?」

「…また今度でいいや…てゆうか今何時?」

「……8時40分。」

「ええ!??」

「九時までに帰らないと!!」
慌てて帰る準備をする。
「ふふふっ、勇はお姉ちゃん大好きなのね。」
母が笑いながら話す

「いや、まぁ…姉ちゃんだからね…あと風邪引いてたから…」

「ちょっと妬けるわね…でもまっ、仕方ないか…私と勇は時間が空きすぎたのね…」

「お母さん…」

「よし!私が家の近くまで送って行くわ、家まで送ると麻奈美が怒るでしょ?」

まぁ姉は良い顔しないわな…
いつか母とお姉ちゃんが仲良くなる日が来るのだろうか…。

いや、またみんなで仲良く話せるように三人の時間をこれからも作ろう。
昔のように過ごせるには時間がかかるかもしれない…でも人生はまだ先が長いんだから時間をかけて溝を埋めていこう。

「うん!お母さんお願い。」


玄関を出ると暗闇の中でもわかるぐらい大粒の牡丹雪が空から降り注いでいるのが見えた。

前に姉ちゃんと帰った時も雪が降っていた…あの時は手を繋いで帰ったっけ…。

「勇!!下の駐車場見て!!」
姉ちゃんの子供っぽいところは母譲りみたいだ。
母が七階から上半身を乗り出して下を見ている
俺も同様に下を見る。

「うっわ〜綺麗…真っ白だ…」

地面のアスファルトは完全に雪で隠れ車もすべて真っ白だ…
「こんなに積もったの何年ぶりだろうね!?早く下に降りましょ!!」

母に手を引かれエレベーターに乗り込む
エレベーターに乗ってる間母は手を離さなかった。
早く近くで雪を見たいらしい
すぐに走る準備ができている…

「勇!早く!!」
一階に着きエレベーターのドアが開ききってないにも関わらず走って外に飛び出す
ドアが肩に当たって少し痛かったが
母の喜びようを見るとどうでもよくなる。
「お母さん、走ったら滑るよ」

「まだ若いから大丈夫よ!」


姉が歳をとればお母さんみたいになるのかな…
そんなことを考えながら母が転けないように手を握りマンションからでると、少し離れたところで人影が見えた…。


は…?


姉ちゃん?

ガタガタ震えながら立つ姉は顔色が真っ青だった…
すぐに姉に駆け寄りたかったのに……足が全く動かなかった…
「麻奈美!!」
母が俺よりも早く姉に走り近寄る。

俺は母が近寄ると確実に拒否反応がでると思い母を止めようとした。

…しかし姉の行動は考えていたのと全く違った…
「ちょっ!!麻奈美!?なにしてるの!?」


「お母さん…お願いですから…勇を盗らないでください…私は勇しかいないんです…」

――土下座……

姉は雪の中母にむかって地面ギリギリまで頭を下げたのだ。
「麻奈美!!いいから早く立ちなさい!!あなた顔真っ赤じゃない!!」

「お願いします…勇は盗らないでください…家も返すから…」

小さく呟いているのに姉の声は離れている俺のところまで聞こえてくる…


「姉ちゃん違うでしょ…?姉ちゃんは強くて…優しくて…憧れで……うっ!!」


あれ…お腹が痛い…食べ過ぎたのか…な…
「「勇!!!」」


身体に力が入らない……
なんで?雪があか…い…の?
苦し…い…お姉ちゃ…ん


「きゅっ救急車呼ばなきゃ!!」

母が慌ててるのが見える……姉ちゃんは?
「勇?大丈夫だからね?すぐに病院いこうね?」

「大丈夫だ…よ、ちょっと転けた…だけだか…ら…それよりお姉ちゃん…風邪引いてるか…ら…早く」

立とうとするがお腹に激痛が走る…

「わかった!!わかったから!!」

母に肩をつかまれる。
そういやお父さんも血吐いたな…お父さん痛くないって言ってたのに…


――「ははっすんごい痛いじゃん」

母がなにか叫んでる……
俺もなにか返さなきゃ…
「安心して…大丈夫だか…ら泣かな…いで…」


――気を失う前に聞こえた最後の声は俺の名前を呼ぶ姉の声だった。




なんでだろう……





無性に姉に顔が見たくなった。




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