最終更新: izon_matome 2009年05月11日(月) 19:13:12履歴
作者:◆ou.3Y1vhqc氏
私は警察に電話をするためにリビングに入って電話の受話器を持つと、バタン!と玄関から扉の閉まる音が聞こえた。
「勇?」
なぜか胸の鼓動が早くなる
少し遅れてリビングの扉から、冷たい夜風が入ってくると同時に、勇の気配も、声も、匂いも、一瞬にして消え去った。
受話器を置き、恐る恐るリビングの扉から玄関を覗く。
「・・・・・・え?」
勇がいない・・・
カバンは置いてあるが靴がない。
血の気が一瞬で引いていく。
なんで・・・どうして?怒って出ていった?
「ッ!早く追いかけなきゃ!!」
靴を履くことすら忘れて、裸足で家を飛び出すが、家を出たらすぐにT路地になっている。
「どっちに行ったかわからない・・・早く謝らなきゃ」
足が震える。
「勇・・・・・・ゆうユウ・・・」
口から出るのは弟の名前ばかり、こんな時にも私は座り込むことしかできない。
周りには闇しかない・・・・・・光(勇)が見えない
「なんで小学生ってあんなに足が速いんだ!!」
凪を追いかけながら呟く。
姉が警察に電話をしようとリビングに入ったら
凪はいきなり走って逃げてしまった。
「ハァ、ハァ、凪ちゃん!!ハァ、ちょっと待って!」
大声で叫ぶと凪は走るのを辞めた。
(こんな真夜中に・・・周りが聞いたら間違いなく警察に捕まるだろうな。)
凪は息切れ一つしていない。
「(俺が歳なのかな?)凪ちゃん足速いね、ビックリしたよ」
「お兄ちゃんも速かったよ、絶対に見失うと思ったもん」
凪は笑いながら話しかけてくる。
「もう鬼ごっこはおしまい、風邪引くからお家に行こう、お姉ちゃんには俺が言ってあげるからね」
しゃがんで凪に話しかけると少し悩んで凪がコクッと小さく頷いた
俺がそっと手を差し伸べると、凪は顔を少し下げ照れた仕草をしながら、手探りで人差し指と中指を握ってきた。
凪と話しながら歩いていると、家の前になにかうずくまっているのが遠目でもわかる。
凪は勇の顔ばかり見ているので全く気づかなかったが勇はそれを見て一瞬で体が硬直した。
「・・・・・・姉ちゃん!?」
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私は警察に電話をするためにリビングに入って電話の受話器を持つと、バタン!と玄関から扉の閉まる音が聞こえた。
「勇?」
なぜか胸の鼓動が早くなる
少し遅れてリビングの扉から、冷たい夜風が入ってくると同時に、勇の気配も、声も、匂いも、一瞬にして消え去った。
受話器を置き、恐る恐るリビングの扉から玄関を覗く。
「・・・・・・え?」
勇がいない・・・
カバンは置いてあるが靴がない。
血の気が一瞬で引いていく。
なんで・・・どうして?怒って出ていった?
「ッ!早く追いかけなきゃ!!」
靴を履くことすら忘れて、裸足で家を飛び出すが、家を出たらすぐにT路地になっている。
「どっちに行ったかわからない・・・早く謝らなきゃ」
足が震える。
「勇・・・・・・ゆうユウ・・・」
口から出るのは弟の名前ばかり、こんな時にも私は座り込むことしかできない。
周りには闇しかない・・・・・・光(勇)が見えない
「なんで小学生ってあんなに足が速いんだ!!」
凪を追いかけながら呟く。
姉が警察に電話をしようとリビングに入ったら
凪はいきなり走って逃げてしまった。
「ハァ、ハァ、凪ちゃん!!ハァ、ちょっと待って!」
大声で叫ぶと凪は走るのを辞めた。
(こんな真夜中に・・・周りが聞いたら間違いなく警察に捕まるだろうな。)
凪は息切れ一つしていない。
「(俺が歳なのかな?)凪ちゃん足速いね、ビックリしたよ」
「お兄ちゃんも速かったよ、絶対に見失うと思ったもん」
凪は笑いながら話しかけてくる。
「もう鬼ごっこはおしまい、風邪引くからお家に行こう、お姉ちゃんには俺が言ってあげるからね」
しゃがんで凪に話しかけると少し悩んで凪がコクッと小さく頷いた
俺がそっと手を差し伸べると、凪は顔を少し下げ照れた仕草をしながら、手探りで人差し指と中指を握ってきた。
凪と話しながら歩いていると、家の前になにかうずくまっているのが遠目でもわかる。
凪は勇の顔ばかり見ているので全く気づかなかったが勇はそれを見て一瞬で体が硬直した。
「・・・・・・姉ちゃん!?」
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