PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏


「お前がライト・レイアンだな!」

「はっ?そうだけど…なんだよお前ら?」
人々を押し退け、俺の周りを囲む男達。
重々しい鎧を身に纏い皆、此方に殺気を放っている。
そう――俺を囲む奴らは騎士団の連中だ。

「お前を殺人容疑で拘束するっ!取り押さえろ!」
一斉に此方に飛び掛かってきた。剣を抜こうとしたが、人数が多すぎる上に鎧を着ているので分が悪すぎる。

「はっ!?殺人容疑ってッ、離せよクソっ!」

「抵抗するな!!」

――ドカッ!

「ぐッ!?」
何かで殴られたのか、頭に激痛を感じその場に倒れ込んでしまった。

(殺人容疑ってなんだよ…俺は人を殺したことなんて…)
朦朧とする意識の中、最後に視界に入ったのは、ゆっくりと歩み寄る鎧姿の幼馴染みだった――。

◆◇◆†◆◇◆

「おいっ、マジでふざけるなよ!ライトが人を殺す訳無いだろッ!!」
机を叩き立ち上がると、私に向かってホーキンズが怒鳴り散らした。

「落ち着けホーキンズ。今調査中だ。」
怒りを露にするホーキンズに対し、再度椅子に座るよう宥める。

「くそッ!」
近くにある鉢を蹴り上げると、怒りをおさめられないっと言った感じで椅子にドカッと腰を降ろした。

その行動に何を言うでもなく、外に目を向け考える。

――ホーキンズが怒るのも無理はない…幼馴染みが殺人者として捕まったのだから。

何故ライトが殺人容疑で捕まったのかと言うと、ライトの自宅でこの町の権力者である神父が死体で発見されたのだ――。
しかも、えげつない事に家を燃やして証拠隠滅までして…。

第一発見者は、教会の手伝いをしているアンナと言うミクシーの女。
なんでも教会で食事会があったらしく、神父がライトを呼びに言って戻って来ないことを不振に思ったミクシーの女がライト宅に出向いて、燃えているのを発見したとの事…。

それが今日の昼の出来事――家の中には、焼けた神父の異体が横たわり、胸にはグッサリとナイフが刺さっていた。
死因はナイフによる胸部殺傷の失血死らしいが、具体的な事は何一つ分かっていないのが現状だ…。

しかし、一つだけ分かっていることがある…それは、ライトが神父を殺すことなどあり得ないと言うことだ。
あれだけ神父の事を慕っていたのだ…それに、神父に不満があったなら間違いなくホーキンズがライトの異変に気づいたはず。

だとすると、物盗りの類いに殺されたと考えるのが妥当か…。

「今から私はライトの家に行ってみるよ。何かあれば報告する。」

「…あぁ、頼むよ。」
疲れた表情を浮かべるホーキンズと別れ、ライト宅へと足を運ばせる事にした…。

――ライト宅に到着すると、騎士団の皆が焼け跡の処理に当たっている最中だった。

残念な事にライトの家は全焼――周りの家に火が移らなかっただけまだマシなのだろうが、ライトはこの先…。

権力者である神父を慕っていた人間はこの町に限らずノクタール城の下町、コンスタントの人間もいたはず…。

神に仕える聖職者を殺害した罪は死をもって償わなければならない――どの国でも常識だ。

「あっ、副団長!」

「んっ、なんだ?」
処理に当たっていた団員が私に気がついたのか、此方に走りよってきた。

「これを…。」

「なんだこれは…?」
団員の手には小さなバッジが握られていた。
ただのバッジかと思ったのだが彫られている紋章を見て、体が硬直した――。

「それって勲章ですよね……しかも…」

「……この事は誰にも他言するな。」

「えっ?…でも。」

「これは私が預かる。お前は処理に戻れ。」

「はっ、はい!」
私に頭を下げ、逃げる様に慌てて団員は処理に戻った。

これでライトが犯人じゃ無いことがわかった。
しかし、何故ライトの家で神父が……殺した動機が分からない。

本当に物盗り目的で侵入して、偶然鉢合わせした神父を殺害したのか?
それだけならまだしも、家を燃やすなど…。

――勲章を指先でつまみ上げ、見つめる。

その勲章には鷹の紋章が彫られている――そう、バレンの紋章が…。

◆◇◆†◆◇◆



ここは何処だ?暗い…それに寒い…。
何時間気絶していたのだろうか?
周りからは何の気配も感じない。どこかの倉庫みたいだが…。


「いつッ……いたたた。」
横たわる体を持ち上げ座ろうとしたが、ロープで後ろ手に縛られており、思うように体を動かせない。
それに後頭部がズキズキする。

「はぁ〜…いったいなんなんだ。」
座る事を諦め、体を再度寝かせる。
天井のシミなど数える気分でもない…とゆうか暗くてシミなんて見えない。


騎士団の連中は確かに俺を殺人容疑と言っていた。
俺は産まれて一度も人を殺めた事は無いし、その予定もない。
多分何かの勘違いだと思うのだが…。


――ガラガラガラッ。

「やっと、起きたか……どうだ、体の調子は?」

けたたましい音と共に目の前から小さな明かりが射してくる。
月明かりだろうか…?
だとしたらかなりの時間気絶していたらしい。
その月明かりに照らされて地面に影が揺れている。
それに聞き覚えのある声…。

「悪いね…こんな場所に閉じ込めて。」
俺の前に立ち見下ろす人物、それは幼馴染みであり騎士団副団長のティーナだった。

「状況がまったく飲み込めないんだが……なぜ俺はこんな場所に閉じ込められているんだ?」
今思っている事をそのまま伝える。

「あぁ…ライトには今、殺人容疑がかけられている。」

「俺を捕まえた奴らも同じことほざいてたな。だが俺は殺人なんて物騒な事件は起こしていないぞ?」
と言った後、バレン船の事を思い出した。
そう言えば出るとき、気絶させるために後頭部を強打したんだった…まさか、あれで死んだのか?
そしたら立派な人殺しだ…。





「――死んだ人間は神父だ…。」

「……はっ?」
神父?何故神父の名前がでるんだ?
バレン兵では無いのか…?
いや、そんなことどうでもいい。

「神父が死んだっ…て…」

「あぁ…今日の朝、君の家で殺害されたそうだ。ご丁寧に家に火をつけてな。」

「家に火…?」

「あぁ、残念だがライトの家はもう無い…全焼したからな。」
サラッと言い放ったがコイツさっきから何を話してるんだ?
俺の家が燃えただの、神父が殺されただの…俺は夢を見ているのか?

目を瞑れば現実に…



「寝るなっ。」

「ぐふッ!?」
腹に蹴られ現実に戻される。
やはり、夢ではなく現実のようだ。

「明日…お前の生死が決まる。それまでゆっくりと人生を振り返るんだな。」
そう冷たい声を俺に浴びせると、背中を向けて倉庫を出ていこうとする。

「まっ、待ってくれ!俺は殺していないぞ!」
このままティーナを行かせれば、間違いなく明日俺の命は無くなる。
聖職者を殺めると言うことは、理由関係なしに死刑と決まっているのだ。

「そう……でも何か証拠が無ければ助けようがないのだ…。」
そう呟くと、入って来た扉を閉めず、そのまま倉庫を後にした。

風が扉の外から容赦なく吹き付けてくる…開けるんなら、ちゃんと閉めていけよ…。





――ザシュッ、ブシュッ…ドサッ。

「…?」
何の音だ?
誰か外にいるのだろうか?

「誰かいるのか〜?」

――………

外からの返答は無い。
もう一度確認するべく、大きく息を吸う。

――ガラガラガラ、ガチャン…。

再度声をあげようとしたら、静かに扉が閉まってしまった…。

「なんだ?」
いったいなんだったんだ?ティーナのイタズラか?
まぁ、扉を閉めてくれたから風が入ってこなくなったのでよしとしよう…。

しかし、これからどうすればいいのだろうか?
殺していないのだから、明日解放されると思うのだが…。

「しかし、誰が神父を…」
尊敬される事はあっても恨まれる事なんてないはず…。昔から人が良いを売りにしている様な人だったから殺されるなんて。

「メノウ大丈夫かな…」
ふと、メノウの笑顔が頭に浮かんだ。
悲しんでるだろうな……それに俺を恨んでいるかもしれない…家も無いとなるとこれからどうすれば…。
地面に額を擦り付け、はぁ〜っと大きなため息を吐いたが、内側からは吐息しか出ず、モヤモヤしたものは一切体の中から消えなかった。


◆◇◆†◆◇◆

「……ふん」
剣を引き抜き鞘に収める。
引き抜く瞬間、絶命した体がビクッと跳ねたが硬直したのだろう…。

私の足元に死体が二つ…多分バレンの人間だ。
私が宿を出た時から後をつけていたが、目的が分からず正体が分かるまで泳がせておいたやった。

結果、私が目的では無くライトが目的だと分かった。多分何らかの理由でライトを殺しにきたのだろう…。

「神父を殺したのもコイツらか…」
手には神父の胸に突き刺さっていたナイフと同じモノが握られている。
ライトを殺害しようとして家に忍び込み、ライトを呼びに来た神父と鉢合わせして殺したのか…。

「それにしてもコイツら…頭が弱いのか?」
死骸の頭を軽く蹴ると、横たわっていた死体がゴロッと仰向けになった。
目は閉じられる事は無く、口は半開きにし、血を流している。
人の死というものはどこまでも醜いモノだ…。

「まさか、こんな簡単な罠に引っかかるとはね…。」
――鍵を掛けず、罠まるだしで扉を開けっ放しにしたら案の定、影からコソコソと二人組が出てきてくれた。
私がそいつらの後ろに立つと、いきなり腰からナイフをだし襲いかかってきたので、正当防衛を利用して殺した。

「くくっ…この辺のボルゾは見境がないから骨も残らないぞ?」
死体に警告するが、返答がある訳もなく、無言で横たわっている。

『誰かいるのか〜?』

「…」
先ほど出てきた倉庫からライトの声が聞こえる。
少しうるさくしすぎたか…。
扉に近づき、ゆっくりと閉める。

ライトも諦めたのか、倉庫の中から聞こえてくる声は一切聞こえなくなった。

「ふふ…明日が楽しみだ…」
ライトの悲痛の顔が目に浮かぶ。
それと同時に、私の考えている事も実行できるのだ。
嬉しい気持ちが込み上げてくる…がそれよりもまずはこの死体の処理をしなければ…。

めんどくさいが、死体をこのままこの場所に置き去りにする訳にもいかない…仕方なくバレン人の足を掴み森へと歩きだす。

――ズルズル

「よいしょっと……これでいい…」門の外に二人の死体を並べる、これで明日になれば跡形も無く食い尽くされるはず。
死体の処理はやはり森に限る…。

「それじゃ、明日またくるよ、ライト。」
ライトがいる倉庫に別れを告げ、その場所を後にした――。

―――――
――――
―――
――


翌朝、扉を開ける音と共に騎士団の連中がなだれ込んできる。

「立て!」

「ぐっ!」
手を掴まれ無理矢理立たされる。
ロープが手首に食い込み骨が悲鳴をあげるが、お構い無しに倉庫から引きずり出された。

騎士団の俺に対する対応を見て、まだ誤解が解けていない事が確認できた。

「歩けッ!」

「くっ、押すなよ!」

背中を強く押され、その場所に倒れかかったが、何とか踏ん張った。

後ろ手に縛られた手を解かれる事は無く、町中を縛られた状態で歩いていく。


――あいつが神父様を…――。
あぁ―人殺し――。

町人がヒソヒソ話ながら俺の顔を指差す。
(まる聞こえなんだよ…くそ…)
何故俺がこんなことされないといけないんだ?
無罪なのに犯罪者の様なこの扱い…。
まぁ、不法侵入や気絶させたりしたけど…。だけど、俺は人を殺したりなんか絶対にしない…ましてや父親代わりの神父を手にかけるなんて…。「ほら、到着したぞ。」
後ろにいる兵が俺の肩を強く押し、前へと押し出す。


「……マジかよ…。」
無い……本当に俺の家が無くなっている――。
確かに一昨日までこの場所に存在していたはず。じゃあ、ティーナが言っていた事は…。

「神父様は入り口を入ってすぐの場所に倒れていた。胸に深くナイフを突き刺してな。」
騎士団兵が俺の顔を一睨みすると、扉があったであろう場所へと歩いていった。

周りを見渡すが焼け焦げた物は殆ど撤去されているようだ。



「…」
――本当に無くなってるんだな……。

現実感がないからか、家が無いと言うことをどこかふわふわした心情で捉えていた。

当たり前の様に住んでいた場所が無くなったのだ……じゃあ俺は次からどこにいけば…。


――「この人殺しっ!」


――ガツッ!

「ッ!?」
呆けている俺のこめかみめがけて何かが飛んできた。

「ぐっ…なん…」
その衝撃でよろけ倒れた俺の手元に何か固いものが当たる……。

――「…石?」
こめかみに当たった物…それはコブシほどの石だった。

ツーッと額から血が流れる。

――「神父様を返せ!」

「ッ!」
次は缶が飛んできた…。それがキッカケとなり、周りにいた町人達が次々と罵声と物を投げ始める。

――「返せ!」

――「ふざけるな!」

「ぐ…うッ…ッ」
大丈夫…解決すればまた元通りだ。
今は耐えて――耐え――




「やめろお前達ッ!」
声が町中に響き渡ると、投げ続けられる石やゴミが止み、罵声も一瞬で消え失せた。

「大丈夫かライト?」
声の主はティーナだった。
俺の事を笑いに来たのだろうか?
しかし、俺の予想と反しティーナは俺の前に立ちはだかり、民衆を睨み付けた。

「我々は今からバレン船を海門まで送り届ける。それとライト…お前の有罪無罪はノクタールで決めることになった。」

「なっ!?」
あり得ない。
ティーナは曖昧な事を言っているが、ノクタールへわざわざ出向くって事は有罪と言うことだ。こんな早く有罪扱いされる訳が無い。

「まてよ!人が死んでるんだぞ!!普通もう少し慎重にッy「神父はノクタールにとっても重要な人物だから我々騎士団だけでは決められないのだ…。とにかくっ!有罪無罪が決まるまでライトに手を出すことは許されない!分かったかっ!」
俺の言葉を遮り、民衆へ声を荒げる。
その声を聞いた民衆は皆、目線を反らし声をこもらせた。その反応に満足したのかティーナは一足先に港へと歩いていった。


「くッ…なんで…」
なんでこんな事に――俺は絶対に殺していないのに…。実際家が燃えた日、ホーキンズやハロルドと一緒にハロルドの家で妖精の様子を見ていたのだ。
だから証人はちゃんといる…なのになぜ俺の話が通らないのだ…。

「さっさと歩けッ!」

「ぐっ…くそ…」
逃げようにも前後左右騎士団の連中に固められているので逃げられない…それに腕を縛られているのだ。従うしか無いのか…。


――「ライトを放してっ!」




「うおっ、な、なんだこのガキっ!」
掛け声と共に横にいる兵に女の子が飛び付いた。
見覚えのある緑の目に可愛らしい耳――尻尾を立て精一杯威嚇しているミクシーの女の子――。


「め、メノウッ!?」

「ライトッ!」
俺を助けに来たのだろうか?
いや、そんな事はどうでもいい。
早くメノウをやめさせないと。

「メノウやめろッ!俺は大丈夫だから!」

「ライトをいじめちゃダメ!!」
俺の声が届いていないのか、鎧の上から小さな手を叩きつけている。

「このガキっ!」

――ドカッ!

「きゃっ!」

「メノウッ!」
兵に蹴り飛ばされたメノウが地面を転がる。

「テメェ、相手は小さな女の子だぞ!何考えてんだッ!」

――ガツッ!

「ぐはっ!?」
メノウを蹴り飛ばした兵を、冑の上から蹴り上げる。
足は自由なのだから、蹴ることはいくらでもできるのだ。

「このっ、暴れるな!」

「ぐッ、離せッ!」
他の兵が俺の背中に飛び掛かってきた。人数が多すぎる…やはり足だけではどうする事もできないのか…。

「やめてっ!ライトを連れていかないで!!」

引きずられる様に馬車の荷台に乗せられると、顔に布の袋を被せられ、強制的に港へと向かわされた。
馬車の走る音に混じりメノウの叫び声と泣き声が聞こえてくる…。
馬車を走って追いかけて来ているのだろう…しかし、馬車には追い付けず次第に声も小さくなっていった――。

◆◇◆†◆◇◆


「予備船を用意できましたが……出港しますか?」
海門近くの町にはそれぞれノクタール専用の緊急予備船を配置している。

「いや…まだ罪人が船に乗っていない。」
自分が言った罪人と言う言葉に少し笑ってしまった。

――ライトはどんな気持ちだっただろうか?
助けてきた町人達に石を投げられ、罵倒され、罪を擦り付けられ…。

誰も助けてくれない状況を味わえば…おのずと精神的にも孤立する。
その時――差し伸べられた私の手が、どれだけ大切か思い知るだろう。
いや、勘違いするの方が正しいか…。


「くくっ、楽しみだなぁ…ライト?」
馬車にのせられたライトを視界に入れた時、私は酷い笑みを浮かべていたに違いない。

馬車が船の中に入るのを確認すると同時に私は船から飛び降り、地面に着地した。

私は船には乗船しない…船に乗れない残りの騎士団を皆、先導するために抜けて来た森をまたノクタールまで走り戻るのだ。

それに私には他にしなければいけない事がある…。

「出港しますっ!」
騎士団の声と共に船が港から離れていく。バレンの船も同様に港からゆっくり離れていく。
これでライトはノクタールに…。





――「あは…ははッ……あっはははははははッ!」
止めることのできない感情が笑い声となって溢れ出る。

「ふっ、副長…どうしたんですか?」
周りにいた団員が此方に歩み寄ってきた。気が触れたとでも思ったのだろうか…?いや、実際気が触れそうだった。

あんなに嫌がっていたライトをあっさりとこの町から離す事に成功したのだ。

これもバレンのアホのお陰か…。
先ほど、バレンの人間から船員二名が行方不明だと報告を受けたが、我々が一緒に船内を探すと提案すると、あっさり引いた。

多分我々に見られたくない物が船にあるのだろう…それに、船員がいなくなる何てことは日常茶飯事。
「ボルゾに食われた」この一言で片付くほど当たり前の様に行方不明になるのだ。
その殆どが言葉の通りボルゾに殺されるから…。

「副長そろそろ…」

「あぁ…。」

団員が小屋から連れてきてくれた馬に股がり、町人達を見渡す。

助けられてきた人間を憎み、証拠も無いのに犯罪者扱い……ほとほと呆れる。

――ボルゾに襲われても他人に頼ることしかできない分際で――


(まぁ、それもこれで終わる…)

――これから私は町長の元へいき、バレン勲章の存在とライトの無罪を伝える。
その後、町の皆へも町長から報告させライトの無罪を伝えさせる。

ボルゾを排除しなくなった人間がいなくなると、この町がどうなるか――今まで呆けていたぶん、これからは自分の身は自分自身で守ってもらう。

「皆外門の前に集合させておけ!私も後からすぐ向かう!」

騎士団の皆を外門へ集めさせ、私は町長の家へと馬を走らせた。

ホーキンズを騙す形になってしまった事には多少罪悪感を感じるが、もう、この町にも来ることは無いだろう…。




最後に――何もしないで日常を過ごして来た事がどれだけ罪だったかをこの町の者達に教えてやる。



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