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 こんにちは。tyokorataです。

 人は生きている限り、人と接して生きていきます。それはたとえ、どれほど苦しくても、人は自分を変えない限り苦痛は続きます。

 『かんなぎ』は、作品がアニメ化されて、話題をさらい、中傷に遭いました。

 そうしたネガティブな事を平気で行えるのも、人間です。

 『かんなぎ』は表面上はハーレム系ラブコメ漫画の体裁を取っていますが、物語が佳境に入るにつれ、真の姿を見せていこうとします。

 それは、嫌な自分からの脱却です。

 五巻のメインの話は、ざんげちゃんが取り付いている涼城白亜の物語です。

『かんなぎ』の五巻には読みきりの『モーリー』という死神のお話があります。白亜の話はその読みきりの話を膨らませたものです。

 涼城白亜は幼い頃から霊や穢れを見る事が出来る少女で、その能力ゆえに取り憑かれやすい体質でした。取り憑いた霊はエクソシストのリンダ・ブレアよろしく奇矯な言動をとり、白亜を追い詰めます。

「どうせお前も母親同様じきに死ぬのさ、誰も救ってはくれない!」

「(学校の同級生の男子に向かって)小僧、ワシの体に欲情したのか? 私の体を試してみてもいいんだぞ?」

 そのため、友人とも付き合えず、世間から隔離された日々を送っていました。

 また、白亜の話を信じない、世間体を重んじる強圧的な父親にも絶望していました。

 そして、自分の事を誰も助けに来ない塔の中のお姫様と思い、絶望した白亜は自殺を試みようとします。

 そこをざんげちゃんに救われ(?)ます。

 ざんげの持つ神性で、今まで灰色だった白亜の人生は一変します。

 強圧的だった父親に間接的に反発したり、念願の友人が出来たり。

 しかし、そんな白亜の甘えをざんげに指摘されます。

 「貴女、幸せが天から降ってくるのを待ってるだけなんだわ」

 「貴女って、「不幸な私」が好きなんだわ」

 そして、

 「もしかして、自分の事を「閉じ込められたお姫様!」とかおもってたんじゃない?」と核心を突かれます。

 この後の独白が五巻の肝となります。

 「こんな自分で良いなんて思った事一度もない……」

 「何もしなかったのは私」

 この独白の後に白亜に”ざんげ”の救いが訪れますが、まだまだ白亜の戦いは始まったばかりです。

 上記した『モーリー』は読みきりの性質上テーマの完遂が行われますが、白亜の物語と比較しながら読むと、実に面白いです。
「貴女、幸せが天から降ってくるのを待ってるだけなんだわ」
「貴女って、「不幸な私」が好きなんだわ」

 恋愛から逃げている私には痛い台詞でした。

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