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こんにちは、kaizenaiです。

今回紹介させていただくのは、新井英樹の傑作ボクシング漫画「シュガー」です。

既存のボクシング漫画のほとんどは、主人公は「努力型」に設定されています。日本人は基本的に努力とか根性が好きですし、また主人公が苦労しながら勝ちあがっていくほうが物語(ビルドゥングス・ロマン)として仕立てやすい、というのもあるでしょう。

しかし、この「シュガー」の主人公は天才です。天才であるがゆえに超越しており、天才であるがゆえに誰も追いつけません。また天才であるがゆえに、誰も理解できず、そして誰からも理解されません。

スポーツ漫画ではわりと景気よく「天才」という肩書きのキャラが登場しますが、本当に突き抜けた人間は他人からの憧憬とか羨望とかを通り越して、忌避や諦念すら抱かせるものです。先日の世界陸上、ウサイン・ボルトとかいう怪物がひとりいるせいで、他の選手は涙目でした。世界中から集まった選手たちの血のにじむような努力も、ちょっと横を見ながら余裕で走っているひとりの怪物には全く届きませんでした。

主人公リンのモデルのひとりは、実在する天才ボクサーのロイ・ジョーンズではないかと言われています。このロイですが、もうすでに40歳となり、さすがに衰えは隠せないものの、先日の試合では観客の方を向いて会話しながら戦い、当然のように勝ってました。

この漫画は、掲載誌の休載によって半ば中断する形で終わりを告げ、その後の移籍先でも誰もついてこれないような描写を連発してほとんどフェードアウト同然に終了しています。

天才というものは、少し手加減するくらいでちょうどいいのかもしれません。

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