過去に書いた小説のまとめと新しく書ければ書いてみたいなと。

オヤヂのHPを作ってから俺のPCスキルは家族どころか
友人知人近所親戚では有名な物になった。
PCにトラブルがあると俺の所に相談に来たし
ホムペの作成依頼も結構あった。
その度にお礼のお小遣いやおやつが貰えるし
俺の評判はかなり上がった。
これはお年玉が期待できるぞ〜

ウザイ依頼も多かったけど
俺は黙々とPCの相談受付やHPの作成依頼を
こなしていった。実は小遣いやお礼以上に
楽しい報酬が俺にはあったからだ。
事の発端はノリスケさんの依頼からだった。

「面倒だから家のFTPのIDとPASS教える。
 直接アップしちゃってよ。」
新聞社勤めのくせにPCも使えねぇのか?
文系ドキュソはこれだからナ。
そう思ったけど野球の観戦チケットと
ホームランボールの魅力には勝てなかったので
黙っていた。
俺はいつも通りHPを依頼通りに作って
FTPにログインしてアップしていた。
掲示板の作成も頼まれていたから
パーミッションなんかいじっている時に
ふと気が付いた。
このIDとPASSってプロバイダのヤツだよね?
こんなの俺に教えて良いわけ?
だってこのプロバのノリスケさんのアカウントに
繋ぐことだって出来ちゃう訳でしょ?
ひょっとしてメールとか受信できちゃうんじゃないの?
試してみると案の定メールサーバにアクセスできた。

HPの作成が終わって、ノリスケさんに喜ばれた後も
俺は毎日メール受信を続けていた。
新聞記者であるノリスケさんのメールは面白かったのだ。
そのうちおかしなメールを見つけた。
ノリスケさん浮気していやがったのだ。
アクセスがブッキングしないように
時間を選んでメールチェックしていたのだが
たまたま引っかかったらしい。
マジかよ!善良そうな顔しやがって。良くやるぜ。
つーかあの顔で良く不倫とか出来たもんだな。
俺は不倫相手にムラムラと興味がわいてきた。
何度かメールのやりとりを確認して
確信を持った俺はノリスケさんの会社を尋ねて
見ることにした。
どうやら会社のOLらしい。しかも若いみたいだ。
クソーやるモンだね。
ノリスケさんの会社には行ったことがあったので
突然訪問してみることにした。

お相手は簡単に見つけることが出来た。
案内してくれた受付嬢がそうだったのだ。
メールと同じ名前の名札が付いていたから
分かったのだ。しかし結構な美人だったので
俺は半信半疑だったから探りを入れてみた。
「ノリスケさんと親しいんですか?」
変な意味を持たないように明るく聞いてみた。
「ううん。良く知らないわよ。名前を知っている程度。」
お姉さんはにっこり笑って答えた。
間違いねぇ。この女だ。
事実ノリスケさんの所まで案内して貰った時
この二人意味ありげな目配せしてやがった。
ガキだと思ってなめやがって。
しかしこの綺麗なオネェちゃんとおっさんが?
どんな何だろう?ハァハァ。

「カツオ君何だい?」
俺が妄想に浸っているとノリスケさんに声をかけられた。
「あ、この間の野球のチケットのお礼に。
 とっても面白かったよ〜。どうもありがとう。」
「え?それだけのために来たのかい?いやいや
 こちらこそ助かったよ。評判良いよあのHP。」
「そうですか〜良かったです〜。」
「そうそう。もう一つお願いがあったんだよ。
 近くの喫茶店で奢るから聞いてくれないかな?」
「良いですよ。おやすいご用で〜」

俺はパフェとカレーライスを食べながら
ノリスケさんの話を聞いた。
「近頃パソコンの調子が悪くてね。
 凄く重いんだよ。見て貰いたいんだけど。」
「OSの再インストールっていつ頃しました?」
「イヤ買ってから一度も。」
「メモリはどれくらいあるんです?」
「32だったかな?」
「デフラグとかしてます?」
「何それ?」
しょうがない。一度家に帰って、
確か余ったメモリがあったからアレを持って
クリーンインストールしてやるとするか。

俺はノリスケさんの承諾を取って
今日帰ってからセットアップして上げることを約束した。
メモリは定価で売りつけることにしよう。ウヒヒ
ノリスケさんは映画のチケットとお小遣いを約束した。
カオリちゃんとデートでもするか〜。

ノリスケさんの家にはタイコさんとイクラちゃんがいた。
しばらく俺の作業を見ていたが買い物に行くと言って
出ていった。どうやらPCに全く興味がないらしい。
それはそうだろう。そうじゃなきゃメールで浮気相手との
やりとりなんて危なくて出来ないもんな。
バックアップを取るためにパーテーションを切り
さすがにフルバックアップはキツイから
バックアップを取るべきファイルを探してみた。
一応大事な物はノリスケさんからメモを貰っている。
マイドキュメントを見ていると隠し属性のフォルダが
やたらにある。何だこれ?
フォルダをあけてみるとデジカメで撮った画像だった。
うわ!あのオネェちゃんのハメドリじゃん!
凄い枚数が保存してある。ハァハァ
これは大変だ。全部コピーして持って帰ろう。ハァハァ

セットアップが全て終わった頃ノリスケさんが帰ってきた。
俺はこれからもあのオネェちゃんの画像が見たいので
トロイをついでに入れて置いて上げた。ハァハァ

これ以来俺はPCの事やHP作成依頼を頼まれると
他人のPCを覗くのが趣味になっていった。
wareサイトで知り合った厨房クラカに色々教えて貰い
見つけにくいトロイの種類やしかけ方、
ハッキングのやり方なんかを教わった。
ハッキングもクソも最初からIDPASSが分かるんだから
大したスキルはいらないんだけどネ。ワラワラ

他人のPCを覗くのは楽しかった。
面白くもない物も多かったけど、
同級生のメールや日記を盗み読むのはエロゲどころじゃない。
でもそれをネタに揺すったり脅したりするつもりはなかった。
金には困っていないし。覗くのが趣味なだけで
この楽しみがばれて出来なくなってしまうのがイヤだったから。
さすがに職員室のPCに仕掛けるときは自分でもどうかと思った。
テストの内容が全部分かっちゃうし人の成績まで操作できる。
もちろん仕掛けたけどね。ウヒヒ
でもただ覗くだけ。テストも一応見るけど勉強はきちんとした。
NET上では学歴低いヤツ、スキルがないヤツって馬鹿にされる。
俺はそれがイヤだったのだ。

金に困っていないと言うのは
例のソフト焼き売りでの売り上げだ。
顧客の数は減らしたけど順調に売れていた。
でもCD-Rの値段が下がって来ると
みんなが俺の売ったCDを焼いてしまい
あまり売れなくなってきた。
俺は簡単なプロテクトをかけてやろうかとも思ったが
それは思いとどまった。恨まれたくないし、
木を隠すのなら森の中だ。
みんなが焼いてコピーが横行すれば出所が掴まれにくい。
すでに何人かの生徒は親に見つかったりしていて
ある時職員会議の話題を独占した。
しかし芋蔓式に俺まで捕まらなかったのは
6年生のガキ大将にはCDをただでまわしてやって
みんなに睨みをきかせて貰っていたからである。
しかし俺は小売り部隊も抱えていたし
捕まった下級生どもは俺の存在さえ知らないだろうが。

エロゲーとエロ画像だけで稼ぐのはきつくなってきたので
俺はPSやサターンのコピーに手を出し始めた。
これは爆発的に売れた。
今まではPCを持っているガキだけが相手だったが
コンシューマゲーム機は殆どのガキが持っている。
しかもPSやサターンのコピーには
機械とソフトとの相性がある。
俺は一番良いとされるTEACの55Sを使っていた。
ソフトは友人から借りても良かったし
新作はNETから落としたりもした。
PSサターンをコンプするのにそう時間はかからなかった。

今でこそMODハンドなんて便利な物があるが
この頃はまだハードの改造が必要だった。
俺はMODチップを大量に仕入れて売り始めた。
ハンダ付けなどの作業が出来ないガキには
小売り部隊に別料金で改造サービスもやらせた。
改造費は小売り部隊に殆ど給料として渡した。
金を渡しておけば文句は言わない。
俺は大量仕入れしたMODチップの売り上げだけで
満足していた。一個50円で仕入れて3000円で売ってたし。
そのうちROMライターでも買って自作することも考えたが
これから需要が増えることはないと考えてやめた。
その代わりソフトの供給はPCが壊れるのではないかと
危惧するほどの物だった。

俺は稼いだ金で焼き専用マシンを作った。
小型ケースが出回り始めた頃だったので
机の下に置いて稼働させた。
warez自体は128接続になってから
落とす物がないって程落としていて
焼いて保存したCDはfull物を含めて
500枚ほどになった。
アップはもちろんしていた。
最初は自分でページを構えようかと考えていたのだが
リク物を中心に間借りさせて貰い掲示板にアップしていた。
warez界のそうそうたるメンツが集まるIRCがあり
そこに俺も招かれて夜な夜な出入りしていた。
ここに常駐しながら各wareサイトの掲示板やチャットを
ROMっていると自分が神様にでもなったかの様に
錯覚を起こす。だって
『割男さ〜んお願いです〜』とか
『ありがとうございました。迅速なアップ凄いです。
 尊敬してます。いつか俺もアップしたいです』
なんて書かれるとそんな風に思ってしまう。
だって俺消防なのに。ゲハハハ

そのうちこのあたりでケーブルテレビ回線が
始まることが分かった。
現時点では最速だ。
俺はオヤヂに相談して引いて貰うことにした。
オヤヂはPCの生徒になって以来俺の言いなりだ。
あの厳格だったオヤヂが毎日俺に色々質問するのは
気分がいい反面なんだか悲しい気もした。
これが父を越え大人になるって事か。違う?
俺の成績は上がっているし、近所での評判もいい。
何を反対することがあるのだろう?
ある晩など夕食の時こんな会話が交わされた物だ。
「カツオは本当にパソコンが好きだし得意だな。
 将来は何になりたいんだ?」
オヤヂが言う。
「カツオ君は最近じゃプログラムまで組んでるんでしょ?
 凄いなぁ。今度僕にもVBA教えてよ。」
とマスオ兄さん。
プログラムつってもpealだけどナ。VBA?
ナニソレ?食えるの?C++だったら今勉強中だから
教えてやっても良いけどナ。
早稲田卒ごときに理解できるかな?ウヒヒ
「お兄ちゃんは将来日本のビルゲイツになるのよね!」
オイオイ。ゲイシなんかと一緒にするなよ。
もっともソフト売って稼いでるのは今でも一緒だけどナ
「凄いデース!ハッカーデース!」
タ、タラちゃん。

「まだ良く分からないやエヘヘヘ」
などと照れたフリしてごまかしていた。
話題はタラちゃんがハッカーなんて言葉を知っていた事について
移っていたので俺は適当にお茶を濁し飯を食った。
どうせ『タラちゃんスーパーハカー』なんて題名に・・・
題名?

ただ一つ気になったのが
いつもなら何か一言要らないことを言う
アネキが大人しくニコニコ笑っていた事だ。
珍しいこともある物だ。
つか、ヤツもようやく俺のことを認めたか。ヘヘヘ

CATV回線はすぐに開通した。
今までと比べると驚きの早さだった。
何というか、web割れでは使い切れない早さ。

俺はこれを機に家庭内LANを組もうと考えた。
どっちにしろそうしないと家中でNET出来ない。
無線LANも考えたが、まだまだ高いしスピードもない。
マスオ兄さんに相談して一緒に秋葉で買い物をしてくる事にした。

割男-5-望郷編へ続く

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