過去に書いた小説のまとめと新しく書ければ書いてみたいなと。

家に帰ると銅鑼えもんはごろごろ寝ていた。
こんな時に気楽なもんだなぁ。
「銅鑼えもん!起きてよ!ねぇ!」
「ムニャムニャもう食べられないよ〜」
「わ!ネズミ!」
銅鑼えもんは跳ね起きた。

全くこのメガネ消防ガキャア!
スモールライトで10の22乗ミクロンまで縮めて下水に流すぞ!ア゛ン?
のび太に事の次第を説明されている間も
寝不足でまだ夢うつつであったが聞いている内に
自分にも責任があるような気がしてきたので
相談に乗ってやる事にした。だが一番責任が重いのは
う゛にゅうの筈。とりあえずPCの電源をつける事にした。
すると謎春奈が突然言った。
「大変ですぅ!う゛にゅうが居ないんです〜!」

「えええ?」
「起きてみたらう゛にゅうがいないんですぅ。」
「それはあり得ない事なの?」
「あたし達は別々の思考ルーチンを持っていますけど
 蓄積されるデータなんかは同じ物なのです。
 なのにここの所う゛にゅうのデータがlogに
 残っていないなと思ったんです。
 でもう゛にゅうは寝てばかり居ますし
 そのせいかとも思ったのですが。」
「じゃあう゛にゅうは記憶を全部捨てていったの?」
「わかりません。こんな事始めてなので。
 幸いタイムプロキシがレジストされていたので
 未来の掲示板などを確かめてみたんですけど
 そんな症状が現れたのは初めてみたいですぅ。」
「でも君が一人で居て平気って事は
 う゛にゅうだって一人で出歩けるって事だろ?」
「ダメなんです。う゛にゅうからのデータの蓄積がないと
 あたしはどんどん狂っていってしまいます。
 それはう゛にゅうも同じ筈ですぅ。
 あたし達は表裏一体なんですよ〜」
「アハハ。何だかいやらしいね。」
「のび太君は黙ってな。」
「とりあえずこのPCの中をあたし捜してみます。」
「うん。頼むよ。僕らには何も出来そうにないし。」

二人で為す術もなくモニタを見つめていると
お母さんが部屋へやってきた。
「宿題なら今日はないよ!」
「違うわよ剛田さんが来たの。」
「ええ!?ジャイアンが?何しに来たんだろう?
 まさか昨日の事がもうばれたんじゃ?」
「まさか!ジャイアンにそんなスキルある訳ないだろ。」
「でも銅鑼えもん、怖いよ。どうしよう?」
「勝手にあがらせてもらったぞ!」
「わ〜!ジャイアン!」
「やっぱりパソコンがあるんだな。静ちゃんに聞いた通りだ。」
「違うんだジャイアン!僕はジャイアンだと知らずに…」
「何言ってるんだお前?」
「へ?じゃあ何しに来たの?」
「実はな…」
ジャイアンの話はこうであった。
スネ夫のパソコンを借りてネットサーフなどしていると
自分で作った音楽や絵をホームページで発表している奴が
沢山居る。中には歌まで吹き込んでいる奴もいる。
俺も自分のホームページを作って自分の歌を発表したい!
ジャイ子にも漫画を発表させてやりたい!
そこでそれを手伝って欲しいとスネ夫の家に行ったら
塾に出かけていて居ない。その帰り静ちゃんに出会って
話をしたら、のび太が詳しいって聞いたらしい。

「困ったなぁ…」
銅鑼えもんは頭を抱えた。う゛にゅうはまだしも
謎春奈も居ない。こんな状態ではジャイアンの手助けは
出来そうもない。しかしこれで恩を売れば
ディアブロの件は忘れ去ってくれるのではないだろうか?
何しろ単純な男だ。
「もし助けてくれないんならそのパソコンぶっ壊すからな!」
オイオイ。あんた消防だからってそんな事したら裁判モノだよ?
そのうちアカ党員とかS学会のガキにでも手を出して見ろ。
とんでもない事になるからな!
もちろん銅鑼えもんは口に出してそんな事は言えない。
ロボットとは言え痛みは感じるのだ。
独立歩行機械として自己メンテ、危機回避の為に備え付けられた
この『痛み』というシステムを必要なモノだと判ってはいるが
たまにかなり疎んじていた。
「やっぱり居ませんねぇ…」
「わ!パソコンが喋った!」
「やあ、良い所に帰ってきてくれたね。実はね…」
「ははぁ。わかりました。絵を書く方はPictBearで良いのでは
 無いでしょうか?フリーですが高機能ですし。
 音楽の方はどうしましょうねぇ?HDレコーディングの
 フリーソフトは一応ありますが作曲や演奏にはそれなりの
 知識が必要とされるソフトばかりですが。」
「何か簡単なソフト無いかな?ジャイアンはバ……
 バ、バッハ並の才能の持ち主だけどまだ小学生だから。
 アハハハ。簡単に曲が作れていい感じの。」

「未来のソフトにはフリーであるようですけど
 現在のハードの入力デバイスでは制御し切れませんねぇ。
 現在のソフトですと…製品版なら近い物がありますけど…あれ?」
「どうしたの?」
「このHDDにそのソフトありますね。どうしたんですか?これ。」
「あ!ひょっとしたらそれう゛にゅうが!」
「う゛にゅうったらまたそんな事してたんですか!?」
「え?良くやるの?」
「ええ。未来の掲示板調べていて分かったんですけど
 良くやるみたいです。もっともユーザが拒否すれば
 やらないみたいなんですけど。」
「おい!さっきから訳わかんない事ゴチャゴチャ言って!
 出来るのかよ!出来ないのかよ!」
「HPは私が作って差し上げても良いですけど
 このソフトはまずいですよねぇ?」
「何がまずいんだよ!」
銅鑼えもんはこのソフトが勝手にアップされた違法コピーな事を
ジャイアンに説明した。かなり時間はかかったが。
「何だよ。そんな事何も問題ねぇよ。お前の物は俺の物
 webの物も俺の物だからな!とにかく早くよこせ!」
「うーん。それ渡さないとパソコン壊されちゃうみたいだよ?」
「そ、それは困りますぅ!」
「じゃあさっきのソフトとそれ焼いてあげてよ。
 『鼻歌ミュージシャン3』?ピッタリだね。」
ソフトを焼いてHP作りとアプリの説明のために謎春奈が
出張する事を約束させてジャイアンは「心の友よ!」と
叫んで帰っていった。

結局その日はう゛にゅうを見つける事は出来なかった。
謎春奈は途中からジャイアンの家に
着きっきりになってしまったし。

次の日学校へ行くとスネ夫が帰りに家に寄らないかと
誘ってきた。ジャイアンの機嫌が良くなって
スネ夫も上機嫌だ。銅鑼えもんの言う通りだった。
静ちゃん、ジャイアン、のび太は連れだって
スネ夫の家に行った。どうせまた何か自慢されるのだろうが。
「見てよ!僕ホームページ作ったんだ!」
スネ夫のホームページにはプラモの画像が
所狭しと貼られてあり、中央にはスネ夫の画像が貼られていた。
のび太はまた従兄弟に作ってもらったのかな?と思ったが
言わない事にした。せっかくディアブロの件を忘れてくれたのだ。
「ははは!大したことねぇな!俺だってHPの一つや二つ
 持ってるんだぜ!」
「え?ホントに?」
スネ夫は呆気にとられた顔をした。
「ホラここだよ。見て見ろよ!」
『ジャイアン・ジャイ子のアーチストブラザーズ』
そう書かれた題字の下にミュージシャン(兄)と
コミックアーチスト(妹)どちらのコーナーがよろしいですか?
と書かれたリンクが貼ってある。
「ジャイ子と俺のページだ!」

ページ内を巡ってみると両方のページに掲示板が備え付けてあり
各の感想を書き込めるようになっている。
ページ構成もスッキリしていて見やすい。
さすがは謎春奈だ。そう思ったが黙っていた。
「ジャイ子の方は漫画が、俺の方はオリジナルの
 曲がmp3でダウンロードできるようになっている!
 落とせる奴は是非落として聞いてくれよな!」
するとスネ夫が話を誤魔化すように
「音楽落とすのは時間がかかるからとりあえず
 ジャイ子ちゃんのページから見てみようか。」
と言った。みんなもそれにもちろん賛同した。
ジャイ子のページには綺麗に書かれた少女漫画が載せられていた。
「昨日出来杉の家に行ってスキャナで写してもらったんだ!」
「ジャイ子ちゃん上手ね〜」
静ちゃんの言葉はお世辞ではなかったと思う。
絵も綺麗だし凄く丁寧に書かれている事が分かる。
「掲示板も見て見ようよ。何か書かれているかもよ。」
掲示板を見ると昨日開いたとは思えない程沢山の書き込みがしてあった。
「謎春奈に頼んで沢山宣伝してもらったんだ。」
ジャイアンがのび太に小声で言った。道理で帰ってきたら
謎春奈はすぐに寝込んでしまった。ずいぶん働かせたのだろう。
掲示板の書き込みは全て褒め言葉であった。
中には『既存の漫画の枠を出ていませんが』などと
厳しい批評もあったがそれも好意的な意見の一部であった。

「凄いわねジャイ子ちゃん!」
「この人なんて同人誌作りに参加してもらえませんかとか
 誘ってるよ!」
「小学生とは思えませんなんて書き込みもあるね!」
「さすが我が妹だ!」
HP作りを謎春奈に手伝ってもらったとはいえ
漫画を書いたのはジャイ子の実力だ。のび太は感心した。
掲示板での呼び名はすでにクリスチーネ「先生」だ。
「良し!それじゃあ俺の掲示板も見てみよう!」
みんなはドキッとした。
「それは、ジャイアン家でゆっくり…」
スネ夫が止めようとしたにもかかわらずジャイアンは
自分の掲示板へのリンクをクリックしてしまっていた。
予想に反してジャイアンの掲示板にはジャイ子の掲示板を
越える勢いで書き込みがしてあった。
しかしその殆どが罵倒と呪詛の言葉であった。
『こんなmp3アップしないで下さい!』
『これネタですか?それにしても酷すぎます。
 気分が悪くなりました!』
『妹さんの漫画は素晴らしいのに(涙)』
『あの〜スピーカーからボエ〜としか
 聞こえてこなくなっちゃったんですけど
 弁償してもらいたいんですけど!』

『子供が泣きやみません』
『公共の場にこの様な危ないものを置くのは』
『死ね死ね死ね死ね死ね』
『死ね死ね死ね死ね死ね』
ツリー型の掲示板にはこんな見出しが
ずらっと並んでいた。
みんな怖くてジャイアンの方を
振り向くことが出来ないでいると突然ジャイアンが
怒鳴りだした。
「なんだこいつら!みんなぶっ殺してやる!」
「そんなこと言っても誰が書いたかわからないし…」
スネ夫が恐る恐る言う。
「とりあえず返信だ!やられたらやり返せだ!」
「無駄だと思うけどなぁ。」
のび太がボソッと言うとジャイアンが鬼の形相をして
睨み付けた。
「おまえ謎春奈に言ってこいつらの身元割り出せ!
 俺が一人一人ぶっ飛ばしに行く!」
「ええ〜!?」
「と、とにかく僕は塾に行かなきゃいけないから
 返信するなら家でやってね。」
ジャイアンがnetに繋ぐほどスネ夫の電話代がかかるのだが
それよりもこの窮地をスネ夫は脱したいらしかった。

家に帰って銅鑼えもんに事の次第を説明して
PCの電源をつけると謎春奈はまだ寝ていた。
よっぽど疲れたのだろう。クリックすると
「ふぁ!今回の起動時間は28時間15分…ムニュ」
と言ってまた寝てしまった。
可哀想だが仕方がない。何度かクリックすると
ようやく目を覚ましてくれた。
「え〜?そんな事になっちゃったんですか?」
「それで掲示板を荒らし…荒らしたとは言い切れないけど
 文句を書いた奴の身元を洗い出せって…」
「そんな事、出来るけどやれませんよ〜」
「そうだよねぇ。」
「とりあえずジャイアンさんの掲示板見てみましょう。」
掲示板はさらに荒れていた。だがさっきと違うのは
トピックに一つ一つジャイアンのレスが付いていたことだ。
『酷い歌ですねぇ。歌とは言えません。公害に近いです』
↓うるせぇ!ぶっ飛ばすぞ!
『気分が悪くなってご飯戻しちゃいました』
↓俺と勝負しろ!
『死んで下さい』
↓おまえが死ね!いや俺がぶっ殺す!
などなど内容は読まなくてもわかる様なレスであったが。

「酷いことになっていますねぇ」
「でしょー」
「あ、あたしが紹介した以外にリンクが張られていますね。
 ええと…巨大掲示板2ちゃんねる…
 みんなここから流れて来るみたいです。」
「え?なんて紹介されてるの?」
「ここです。読んでみて下さい〜」
ブラウザが開かれると2ちゃんねると言う掲示板が
読み込まれた。そこにはこんなスレッドがあった。

★★逆切れド音痴消防★★
1 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 16:58
 この消防、自分のサイトで自分の歌をmp3でupして
 みんなに聞いてもらおうとしてるんだけど
 あまりの歌のひどさにみんなブチギレ(ワラ
 掲示板に文句書いたら本人登場で荒れ荒れ。
 一人一人にちゃんとレスしてるけど
 逆切れもいいとこでみんな更にブチギレ(ワラ
 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/****
2 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:02
 ギャハハ ワラタ
3 名前:七節さん 投稿日:2001/05/28(月) 17:02
 ジャイアン萌え〜
2 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:03
 ジャイコ萌え。ハァハァ

スレッドは現在300のレスをつけ常に掲示板の最上位置を
とっていた。ジャイアンのレスが事細かに転載され
笑い物にされていた。

「こ、これジャイアンに知らせてあげなよ!」
「そ、そうですね。」
謎春奈はそう言うとデスクトップの奥へと消えた。
しかしすぐに帰ってきた。
「ジャイアンさんいいことを教えてくれたって
 2ちゃんねるに殴り込むって…」
「え〜!?」
リロードしてみるとすでに2ちゃんねるにはジャイアンが
登場していた。

318 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 17:35
 てめぇら!いい加減にしやがれ!
319 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:36
 ↑本人?
320 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:36
 本人登場?
321 名前:ななしさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:37
 マジ本人?
322 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 17:38
 本人だよ!人の掲示板荒らすな!ぶっ飛ばすぞ!

「あ〜あ〜」
「どうしようもない…みたいですね。」
「放っておこう。そのうち無駄だって気が付くよ。」
「銅鑼えもんは冷たいなぁ。」
リロードすると罵倒合戦が始まっていた。

330 名前:ナナシ 投稿日:2001/05/28(月) 17:40
 あんな酷い歌をよく公表出来るね。氏ね。
 恥ずかしくないのか?
331 名前:ワライ 投稿日:2001/05/28(月) 17:40
 俺も聞いたけどありゃ危険物だよ
332 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 17:41
 てめえら隠れてないと何も出来ないくせに
 人に文句言うな!ぶっ飛ばすぞ!
333 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:41
 ジャイアンの歌も良いかもと思う清原
334 名前:ナナシ〜 投稿日:2001/05/28(月) 17:41
 ジャイアソの母ですこの度はウチのジャイアソが
335 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 17:42
 妹だってきっと恥ずかしいだろ。おまえの歌(w

多勢に無勢。どうもジャイアンは面白がられているようだ。
「どうしましょうかね?」
「銅鑼えもんの言うとおりかもね。そのうち諦めるよ。」
「そうだね。そう言えばさっきママがお使い頼みたいって
 言ってたぞ。」
「そっか。じゃあ行って来よう。」
お使いに行って帰ってきて晩ご飯を食べて、夜にまた
2ちゃんねるに繋ぐとまだ言い争いを続けていた。

822 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 20:10
 君が怒るのも無理はないかもしれないけど
 君の歌が酷いのは事実なのだから
 それを指摘されて怒るのは良くないことだ。
 そのぐらいの事は分かるだろう?
 いくらリアル消防だと言っても。
823 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 20:11
 誰もてめぇらに聞いてくれなんて頼んでないんだよ!
824 名前:ななし 投稿日:2001/05/28(月) 20:12
 HPには「みんな聞いて下さい。意見も書いてね。」
 って書いてあるじゃねぇか。
825 名前:名無しさん 投稿日:2001/05/28(月) 20:12
 記念カキコ
826 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 20:13
 本当にごめんなさい。HPは閉鎖します。
 もう二度と歌ったりしません。
 首つって氏にます。
827 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 20:14
 おい偽物!お前ふざけんな!
828 名前:じゃいあん 投稿日:2001/05/28(月) 20:15
 お前が偽物だろう?

「もう寝ようか?」
「なんか疲れたね。」
「あたしも疲れました〜」

次の日ジャイアンは学校を休んだ。

銅鑼-5-

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