過去に書いた小説のまとめと新しく書ければ書いてみたいなと。

「さあ、あそこがwindowsですよ!」
目の前に、文字通り立ちふさがったビルは
あまりにも巨大だがシンプルでいて
内部の構造の複雑さを外観の『窓』から見て取れた。
「おおきいね…」
「コレは2000バージョンですからまだましですよぉ。
 スネ夫さんのマシンとか見てきましたけど
 win98とかMEなんかは地下に
 Dosなんてのもありましたし。」
「で、このビルの中に
 そのTPC/ICセンターがあるんだね?」
「のび太さんあまりにベタすぎて
 つっこめないですぅ(;´Д`)」

ビルに入ると大量のビルが居た。
「コレ誰?」
「ははぁ、こういう表示になるのか。」
「設定で変えられるようですけど
 静ちゃんのMacにはジーパンMハゲのおっさんが
 一杯居ましたよ。」

「TCP/IPセンターはこの階にあります。
 すぐですから着いてきてください。」
謎春奈の後について歩くと廊下には
様々なプラカードを持ったメガネの外人が
たむろしていた。
「あの人達は?」
「win2kになってから出番が少ないので
 暇しているみたいですねぇ」
「?」
見るとプラカードには
『…のページ違反です』
『〜なため強制終了…』
『windowsを正しく終了させなかった…』
などと書かれている。
「PC革命を使ってたいていの人が最初にやる事は
 あの人達をぶん殴る事だそうですよー」

センターに着くと謎春奈は受付を済ませてくるので
外で待っているようにと二人に言った。
中を覗いてみると
思ったより小さい窓口にやはり同じ顔をした
メガネ外人が3人座っていた。
見ていると何だかもめているようだ。
「何で許可して貰えないんですか?」
「仕様です。」
「いつも私なんて簡単に通して
 貰えるじゃないですかー?」
「そのような前例は弊社にございません。
 つきましては以下のアドレスへ行くか
 このメールアドレスまで連絡を…」
「どうしたの?」
「エシュロンまでってIP渡したら拒否されたんですぅ」
「仕様です。」
「分かったよ。君らフォーマットしてLINUX入れよう。」
そう銅鑼えもんが言うと三人はとっさに立ち上がり
「失礼いたしました。お通り下さい。」

「でもさぁ、エシュロンなんて直接乗り込んでも
 大丈夫なの?」
「あそこは『来るデータ拒まず』らしいですからねぇ」
「秘密の機関なくせに?」
「そのかわりあそこから出る方が難しいと思われますょ」
「そうなんだー。みんな大丈夫かなぁ?」

「いわば世界中のwebデータ、メールの検閲をしていますし
 そのほとんどをキャッシュとして
 ため込んでいるようですし。」
「そんな事出来るの?」
「もうテラなんて前世紀中に越えちゃって今じゃペタ単位
 らしいですよ。もっともhtmlだけなら
 googleだって同じ事やっていますし
 民間であれだけ出来るんなら国レベル、
 しかも諜報機関やら軍が絡んでいれば
 予算は青天井でしょうし、余裕でしょうねー」
「ううう、捜すの大変そうだなぁ…」
「大丈夫ですよ。サーバは特定できていますしぃ」

謎春奈に案内されて行った先には巨大な穴が空いていた。
底を見ても何もない。ただの巨大な『穴』だ。
「ここに飛び降りれば一気に物理層まで
 変換されつつ行き着きますから後は流れに
 任せるだけです。そうそう、切符を渡しますね。
 これ、頭に巻いてください。」
「飛び降りるの?コレを?」
「イメージですよ、イメージ。
 本当は色んな手順を経て電気信号にまで変換されて
 転送されるんです。」
「それにしたって…」
のび太が穴を覗いていると銅鑼えもんが後ろから
無言で突き落とした。

気が付くとのび太は何もない空間に立っていた。
足下にはぼんやりと光るワイヤーフレームの
地面がある物の、それは遙か先まで
四方に続き見渡す限り同じ景色が続く。
それを認識した途端足がすくんで動けなくなった。
広所恐怖症というのがあればそれだろう。
そしてだんだんと自分が何者であるのか
分からなくなってきた。
傍らに物や、音、においがあって
初めて自分を認識する事が出来る事実を知った。
かろうじて何かに自分を預けて立っていると言う
事象だけがのび太を見た目にも精神的にも支えていた。
「聞こえますかー?」
謎春奈さんだ!
「ここにいるよ!何処にいるの?」
「すぐそばとも言えますし、
 ずっと遠くだとも言えます。
 どうやらここはフォーマットが違うようですねぇ
 ひょっとしたら暗号化された空間なのかも…」
「どうすればいいの!?」
「とりあえずじっとしてろ!」
「銅鑼えもん!」
「謎春奈にも僕らは見えないの?」
「ええ、身動きとれません(;´Д`)」

「おい!その声はのび太と銅鑼えもんか!?」
暗闇の中で聞き慣れた声がした。
「ジャイアン!?」
「やっぱりそうか!おい、スネ夫!
 静ちゃん!聞こえるか?二人が来てくれたぞ!」
「銅鑼ちゃん!のび太さん!」
「遅いぞ!うあ〜ん!ママ〜!」
「みんな無事だったんだね!?」
「パソコンいじっていたら変なヤツが現れて
『HPの事を文句言ったヤツ探しに行こうゼ』
 って誘われてクリックしたらここに
 飛ばされたんだよ。
 不安で気が狂いそうになったら
 スネ夫が来て、その後静ちゃんまで来て。」
「でもきっと助けに来てくれると思ったわ!」
「やっぱりのび太達の仕業か!早く帰してよ!」
その途端、目の前に眺望が開けた。
とは言っても真っ白な空間に目の前が覆われただけだが。
しかしお互いの姿を確認する事が出来た。
突然天空から声が聞こえた。
「アーヒャッヒャヒャようやく全員揃ったネ!」
「う゛にゅう!?」
「でも、もうちょっと冒険を楽しんでネ!」

う゛にゅうの声が響き始めた頃から真っ白な空間は
変化を見せ始めた。地面が隆起し、様々に形作り
うっすらと色がつき始めた。
「天地創造〜色即是空〜空即是色〜アヒャヒャ!」
野山が出来、空が青くなり雲が流れ遠くには
小川がせせらぎ始めた。う゛にゅうの声さえ無ければ
絵葉書でしか見た事のない極めて牧歌的な景色が
広がっていく。木々は生い茂り足下には草がのびていく。
「コレ一体どういう事?」
のび太は銅鑼えもんに聞いてみた。
だが口を開けて首を振るばかり。
「謎が謎を呼ぶ〜奥の深い世界観〜アヒャ!」
「謎春奈さん!謎春奈さんが居ない!」
「ええ?」
「ヒロイックファンタジーには囚われのお姫様は
 必要不可欠だからね〜アヒャヒャヒャヒャッ」
「謎春奈が居ないとここから抜け出すなんて…」
「だから助けに来てね〜ヒャハッそれとプレゼントを
 上げるYO!勇者は布の服を手に入れた!アヒャアヒャ!」
空から鎧や剣、服が落ちてきた。
「勇者達の運命やいかに!続く(ワラ
 みんながんばってね〜アーヒャヒャヒャ」
う゛にゅうの声は空に消えていった。

「どういう事?」
みんなが呆然としている中のび太が声を上げた。
銅鑼えもんは我に返って落ちてきた武器防具を
調べ始めた。
「これ、未来のおもちゃ。
『なりきりコスプレイヤー』だよ…」
「だからどういう事なの?」
「どうもこうもう゛にゅうが言ってただろ!
 謎春奈を助けに行くんだよ!
 コレを身につけて!
 それしか助かる道はないんだよ!」
「つまり生身でRPGをやれって事?」
スネ夫が半泣きしながら聞いた。
「そう言う事!この衣装を付けて仮装していると
 それぞれスキルが身に付いていくんだよ。
 未来に『ヒロイックランド』って遊園地があって
 そこのアトラクションと同じみたいだけど。」
「怪物が出てくるの?」
静ちゃんが不安そうに呟いた。
「出てこないとレベル上げられないからねぇ」
「セ、セーブは出来るんだよね?もちろん。」
「出来ないだろうねぇ。PC革命だし…」
全員が意気消沈してしまった時ジャイアンが声を上げた。

「お前ら!やって見もしねぇで諦めるな!
 お前らが行かないんなら俺一人でも
 お姫様助けに行くぞ!」
「ジャイアン…」
ジャイアンは武器防具の中から
自分に合うサイズの物を探しだし身につけ始めた。
するとスネ夫も泣きべそをかきながら
衣装の山に近寄った。そしてのび太も、静ちゃんも。
「よし!謎春奈を助けに行こう!」
銅鑼えもんの一声でみんなの目は意志を持つ
強い輝きに変わった。

【未来は僕の物】  作詞 竹田徹夜
どんな大人になるのだろう 僕の明日は見えては来ない
どんな未来になるのだろう 僕の夜明けは明けては来ない
夕闇に一人で空を見上げて 夢見た想像は忘れちゃいけない
公園でみんなで話し合った 友情だって忘れない
※これからは 僕らが作る 未来がやって来る
不安もあるけど 期待しちゃいけないの?
僕らの夢は 広くて大きいよ
大人には考えつかないくらい
どんな大人になっても 僕の明日は僕の物
どんな未来になっても 僕の夜明けは僕の物

※くり返し

銅鑼-9-

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