「東京」

2007/1/27放送「東京」


出演:鈴木謙介、柳瀬博一、佐々木敦、仲俣暁生、津田大介

※以下の発言まとめは、正確な番組での発言とは異なる場合があります。

MP3その1


鈴木:最近、東京の風景が変わり始めている。今日は変わりゆく東京をテーマにお送りします。
今週は大阪行ってソウル行ってなので、ほとんど東京にいなかったんだけど、サブパーソナリティの皆さんはどうなんでしょう。まずは柳瀬さん。

柳瀬:まず今週は風邪をひいて辛かったんですが、今日、番組に先立ってロケハンしてきました。湾岸近辺を車で一周しまして。最新の情報を目で見てきました。

鈴木:続いて佐々木さん。

佐々木:元旦以来ですね。緊張してます。東京は温かいですよね。最近まで成績つけてたので。

鈴木:続いて仲俣さん。

仲俣:最近僕も東京をロケハンしたんですよ。下北に住んでるんですが、そこから環七を北上して野方まで歩くという。後でその話もしたいなと。

鈴木:続いて唯一の23区出身、津田さん。

津田:北区出身なんですけど、北区は墨田区の次に存在感がなくて。

鈴木:その辺の感覚も地方出身者には分からないので、じゃあ後で。というわけで今日は東京がテーマということでメール、カナダで聞いています。埼玉って東京に近いとかいわれた。八王子の大学院に行くときも、東京に行くの、みたいな反応だった。関東におけるさいたまの響きの意味は分からないし、東京という響きの地方での意味は、関東を出なかったら分からないと思う。
メール、都心へ行くときに「東京へ行く」と行ってしまう。旅行だと「東京から来た」ですんでしまう。
メール、最近、再開発が進んだ六本木、汐留を見ていると、ヒルズとかカレッタはただの建物。周囲から完全に浮いているので街ではない。ヒルズなんかは巨大な生け花。資本が枯れたらキッチュな廃墟になっちゃうんじゃないか。
六本木、汐留、お台場、秋葉原、新しいビルが出てきてますけど、柳瀬さん、いつもこの手の話はまず最初にまとめていただいてるんで、解説をお願いします。そもそも、なんでこんなにいっぱいビル建ってるんですか。

柳瀬:今日ロケハンしてきたんですが、湾岸近辺、お台場の手前の辺りから数えて、高層ビルが、目視できるだけで15本。で、更地でこれから建築予定というビルが相当数。日経ビジネスの調べによりますと、2007年以降で70棟、06年までも含めると、ここ数年で100棟の高層ビルが建つといわれてるんです。
なぜこういう状況が起きたのか。それは小泉行革の結果で、まず2002年に都市再生特別措置法ってのができて、これは簡単に言うと、公共投資を集めて不況を打破しよう、東京に人を集めようって話で、土地の規制を緩和して、時限立法で高層ビルを建てやすいようにしたという話があります。次に、枠組みを変えてもお金が集まらないと建てられない。お金に関しては、外資系のお金が入ってきた。不良債権を買いたたいて、新しくして売り払うファンドのビジネス、それから不動産投資信託というのが金融の規制緩和で出てきて、小口の投資がキャッシュで流れてくる。というわけでお金も集まりやすくなった。さらに土地の話。規制緩和と、第三次産業化に伴って、倉庫やJRの土地が余るようになった。芝浦も汐留もそうですね。規制、カネ、土地という三つの条件が集まって、いまの不動産ブームが起きているんです。

鈴木:規制緩和の結果と。このビルって何が入ってるんですか、商業施設?

柳瀬:圧倒的に、オフィス。それからこの手の開発は住宅とセットなんですね。今まで日本に高層マンションってほとんどなかったんですけど、この10年くらいの動きで出てきている。この二つはかならずセット。

鈴木:僕、ソウルに行ってたんですけど、東アジアに行くとみんな持ち家幻想ないから、みんなマンションに住むことがステータスなんですよ。日本でもやっと高層マンションが建ち始めた流れなのか。
メール、地方出身の僕にとって東京を感じるのはお台場。入学手続きのために行った東京で始めていったのがお台場。フジテレビが見たかった。
木更津キャッツアイで、ぶっさんが東京に出て行くシーンで移っているのはフジテレビ。圧倒的に東京のイメージとしてお台場がアイコンになってる。
佐々木さん、お台場のアイコン化について、これってメディアが作ってる側面はあると思うんですけど。

佐々木:そうですよね。実は僕お台場に行ったことがなくて。

鈴木:えー!

佐々木:通り過ぎたことはあるんですけど。分かるのは、フジテレビっていうのは、全国どこに行っても見られるもので一番近いのがフジテレビであったり、あの橋とか

鈴木:レインボーブリッジね。

佐々木:それすらも言えないのか(笑)ぐらいの勢いです。

鈴木:でもよく考えたら俺もここ数年行ってないわ。だから大江戸温泉?とか一切分からない。

佐々木:行ってないんだけど、見るともなしにテレビで見てるから、なんとなくイメージはあって。だから僕は地方で、テレビを通してお台場を知ってる人とそんなにイメージ変わらないと思う。

鈴木:仲俣さんはお台場行きます?

仲俣:阿部和重の「シンセミア」が、山形とお台場と渋谷が出てくる小説ですよね。あ、あと僕も出身は葛飾で、育ちが千葉なんです。お台場っていうのは東京の海側だから、東東京から遠くはないんですけど、必ずしも近いところじゃない。あそこはやっぱりフジテレビができて以降ですよね。

佐々木:世代的に僕らの世代だとドンピシャじゃないよね。

仲俣:フジテレビは曙橋にあったからね。

鈴木:津田さん、お台場っていうと確かに僕らの世代で、踊る大捜査線で見たのが最初でしたけど。

津田:用がないと行かないですよね。Zeppでライブがあるとか。僕、北区の滝野川出身なんですけど、西巣鴨に近い地域なんですよ。で、文化圏だと池袋に自転車で15分なので、小中学生までは池袋を遊び場にしてて、その後新宿行くようになって、でも大学に入るまで、渋谷とか代官山には足を踏み入れることはなかったですよ。

鈴木:90年代の前半ですか?

津田:89〜91くらいかな。池袋で一通りのものは揃ってるから。

鈴木:仲俣さんもやっぱり、近郊からは出なかった口ですか。

仲俣:僕の場合は総武線だから、秋葉原、御茶の水まで。そこから西には行かないですね。

津田:秋葉原は自転車で行ってましたよ。ゲームとか楽器とか見に行って。

鈴木:今日は関東出身が仲俣、津田。他は地方出身ですか。

柳瀬:僕は子どもの頃、親父が転勤族だったので、生まれ育ちは横浜と東京。原体験はどっちかっていうと街の中なんですよ。60年代の終わりから70年代の初めかな。

鈴木:その頃の東京のイメージっていうと?

柳瀬:東京にはまだ田舎が町の中に残ってて。親父は銀行員で、銀行の寮って、結構いいところにあるんですよ。寮が高輪で、周りはみんなお屋敷でしたね。で、お屋敷の間の路地は砂利道でした。で、うっそうとした森で、カブトムシとか獲らせてもらってました。

仲俣:僕、柳瀬さんと同い年だけど、うちは教員住宅で、葛飾のはずれで、隣では牛飼ってましたよ。

鈴木:60〜70年代でもそういう感じだったんですか。佐々木さんは大学で上京?

佐々木:80年代の頭に名古屋から出てきて、僕も池袋の近くに住んでたんです。練馬の近くかな。畑とかいっぱいありましたよ。その後くらい、バブル以後の街の変化っていうのがすごかったっていう思い出ですね。

鈴木:東京に来て初めて行った街とか覚えてます?

佐々木:うーん、やっぱり学生時代も新宿・池袋で完結してて、渋谷って感じじゃなかったですよ。

鈴木:僕、95年に東京出てきて、大学が渋谷だったんで、入学式を終えて、今は亡き渋谷のパンテオンで「レオン」みたのすっごい覚えてます。

佐々木:割に近々のw

鈴木:10年ちょっと前ですからね。別に渋谷に行きたかった訳じゃないんだけど、せっかく出てきたから通ぶりたいわけですよ。おのぼりさんぽくしたくないから、じゃ、ちょっとレオンでも見てくるか、みたいな。

佐々木:でもそのパンテオンですら、もうないんだもんね。

鈴木:ですよね。パンテオンができたのも戦後だし、そういう意味では短いサイクルで変わってるんですよね。じゃあ80年代以降の流れについては曲の後で。

〜曲:カーネーション:Edo River〜

MP3その2


鈴木:メール、東京にあって地方にないものは人工的な緑地。東京を感じるのは、市ヶ谷駅周辺。
四ツ谷、市ヶ谷の周辺はいいですよね。大学院が市ヶ谷だったので、この辺の風景を知って、渋谷・世田谷的じゃない東京を知った感じ。ディープ東京。でも、最近は六本木とか、新しい建物が建ったところがメディア的には注目されますよね?

柳瀬:さっきメールでいい話があって、ビルは街じゃない。僕も同感。街とは人が作るもの。ビルっていうのは環境に過ぎない。環境の作り方で街は生きたり死んだりするけど、今は単に環境を作り替えているだけ。

鈴木:ヒルズって名前がひとつの環境を指してますよね。で、こういうものが地方にも建っていて、大阪のなんばパークス行ってきたんですけど、上のガーデンからは、外が見えないように巧妙に設計されてて、そこにいる限りはおしゃれ空間、みたいな感じなんですよね。完全にクローズじゃないんだけど、下の方のなんばの街は見えてこないっていう。

柳瀬:なぜそうなってるかっていうと、ここのところの再開発の大きな物件、不動産会社主導なんですよ。六本木ヒルズ、ミッドタウンもそう。もともと日本、東京の都市開発は、不動産会社よりも大きいユニットでされていて、たとえば丸の内というのは三菱地所ということになってますけど、あれはその前に岩崎弥太郎が、ロンドンの街をそのまま国から払い下げて持ってきたもの。あとは小林一三がやった阪急の開発、いわゆる田園都市構想ですね。あれも結局、西部の堤さんと、渋沢栄一の薫陶を受けてやることになる。だから都市の開発は、明らかに明治から昭和初期にかけては、グランドデザインがあったんですよね。

仲俣:理想主義もありましたよね。

柳瀬:かなりありました。で、それといい意味で、ヨーロッパのいい街を真似しようという、その発想はよかったと思うんです。でもいまは不動産会社の主導で、ややもすると独善的な開発になってしまっている。

鈴木:空間演出型であることは間違いないと思うんですが、資本が入ってできた空間演出型の建築が、という話をすると、仲俣さん、下北沢の話をしないわけにはいかなくなると思うんですけど。

仲俣:ホントに下北沢の再開発について、住んでる人間の立場で見ている。柳瀬さんが言ってた、街は路地が全てだというのを証明したのが、去年なくなったジェーン・ジェイコブズ。アメリカ大都市の死と生という本が出てますけど、彼女が言ってるのは、都市の活力、安全は路地が全てであるということを言っている。下北沢のように、路地がいっぱいあって、その中に自然発生的に街ができるという有機的な街のあり方というのは、東京という街の魅力としてずっとあるものだと思っていて、その象徴である下北沢でなんで今頃再開発っていうのが基本的には大きな疑問なんですよ。だから、反対っていうよりも、なんでこの街を再開発するんだっていうことになってるのかと。

柳瀬:僕すごく思うのは、街作りのプロが欠落したまま進んでるんですよ。経済合理性のある街というのは、ダメな店が潰れて、新しい店が入ってくる新陳代謝がすごくいい。環境設定の部分で間違えていると思うのは、路地が全てであるということ、つまり、普通の人にとっては、街って一階が全てなんですよね。ビルってその上に建つおまけなんですね。丸の内の、そしてロンドンが優れていたのは、ゆったりとした一方通行の道路に車止めがあって、ゆったりとした歩道もあって、全てのビルがある程度の高さに揃えられていて、一階が全部店舗になるように設計されている。ニューヨークにしても、ロンドンにしてもパリにしても、一階がすぐそのまま街になるというのが、世界の街の共通事項なんですよ。

鈴木:銀座のように街歩きができるという。

柳瀬:江戸の街もそうですよね。で、そのスケールをどうやるかってだけの話。近代都市の場合は、道路を広げて車が止められるようにする必要があるけれど、路地が全てという発想が、1960年代から日本にはなかった。その象徴が新宿副都心ですよね。

鈴木:あそこって元は浄水場ですよね?

柳瀬:そう。それを潰したのが60年代後半。最初にできたのが京王プラザかな。あそこはオフィスビルとしては人が集まるけれども、街の機能としては、戦後のぐしゃぐしゃから立ち上がってきた歌舞伎町に、比較にならないほど負けている。あれは象徴的な構図なんですよ。

鈴木:さっき80年代東京って話をしてましたけど、路地としての東京は確かにある、でも、京王プラザの上のバーとかがあって、路地の東京と、上空から見る東京っていうのが、そこで分離していったんじゃないかとふと思ったんですよ。佐々木さん、リアルタイムで見られててどうでした?

佐々木:それこそ、僕らくらいの人間が大学生の頃っていうのは、新宿副都心のビル郡っていうのは、一種のデートスポットだったわけですよ。

仲俣:そうそうそう!

鈴木:行ってんじゃん!

佐々木:そういうところ歩くじゃないですか。で、奮発して上の方のレストランでご飯食べたりするんだけど、でもそんなにはお金ないから、その後はなんとなくその周りを歩くわけですよ。で、そうするとその当時は、まだ古い街並みが残っているわけで、全然違う世界があるよなって思ってましたよね。それが、ロスト・イン・トランスレーションの最後のシーンがそういう感じで終わってて。東京に住んでない人はどこだか分からないかもしれないけど、あれは高層ビル街の脇のところですよね。でも、あの映画でももうだいぶ変わってたなというのがあって。だから、単に風景が変わってきたというよりも、時間軸のずれた風景が共存してたんじゃないかな。

鈴木:時間軸がずれた東京ね。ぶっちゃけた話をするとでも、なんで下を歩かなきゃならないかっていうと、上に行って、お酒呑んでいい雰囲気になったおねーちゃんをラブホ外に連れて行くためには、下を通らないといけないっていうことでしょ?

佐々木:いやでも京王プラザホテルってこともありうるわけですよ。

鈴木:そこで、「部屋を取ってあるんだ、ジャラ」なんてお金のない人は、下へ。

佐々木:そこで経済力が大きな壁になって来るというw なんだこの話w

鈴木:津田さん、お金のない時代に東京でもんもんとした青春を過ごしていたであろう人からすると、どうです今の話。

津田:今の話で思ったのは、サンシャインってまさにそのコントラストが一番激しいんですよね。ちょうど佐々木さんが出てこられた頃にできたはずなんですけど、脇には緑とか自然もいっぱいあったし、裏とかに行くと有名な池袋大勝軒ってラーメン屋があって、昭和の古い街並みが残っていた。あの辺ももう潰して再開発しようみたいになってますけどね。

柳瀬:巨大マンションができましたよね。

津田:そういう意味で、サンシャインが、やっぱり今の話にドンピシャかなと。

鈴木:僕、渋谷だったんですけど、渋谷は高いところに登らないんですよ。渋谷はクラブ行くんですよ。

柳瀬:渋谷は地下に潜りますよね。

鈴木:しぶちかもあるし、アンダーグラウンドって意味でもね。あと坂が多いので。

仲俣:元が谷だからね。

鈴木:そういう意味で上には登らないんだけど、公園通り、渋谷パルコみたいな話を、北田暁大さんなんかが書いてて、それはまた多分、上と下に分かれる東京っていうのとは違うイメージ演出だったのかなと。で、さらに今は六本木、お台場のように、そこ自体がテーマパークになっている。お台場なんて最初から何もなかったんだから、下歩いたって何も残ってない状態ですよね。

佐々木:昔の時間が存在してないですよね。

鈴木:汐留とかもね。下歩いたってどこにも入れないじゃないですか。二階、三階にデッキがあって、そこからじゃないと入れないですよね。車じゃないと行けない。ああ、車っていうのも大きいのかな。一曲挟んだ後で、東京で遊ぶって話をしてたんだけど、それは東京ってイメージの話、おしゃれタウンとか、そういうのに関わってきてる。地方の方からのメールも頂いているので、それも紹介しましょう。
曲は、さっきもかかってた椎名林檎の「正しい街」が90年代の上京ソングなら、これが00年代の上京ソング。YUIで「TOKYO」。

〜曲:YUI「TOKYO」〜

MP3その3


鈴木:メール、昔中央林間に住んでいたのですが、町田によく行ってた。交通事故で警察を呼んだら「警視庁」って書いてあって、町田は東京だったんだと動揺した。
町田はJRを挟んで東京と神奈川ですよね。当時援助交際マニアの間で、ラブホ街が神奈川側にあって、大問題になったって話を聞いたことがあります。

佐々木:今日、そういう話多いですよね。

鈴木:おっかしーなー。メール、東京を地名以上に認識したのが、マガジンの発売日が遅れていた。東京人はずるい。感覚的には格差が広がった気がする。
ジャンプ世代としてはこれは分かるわー。

津田:ジャンプは水曜日ですもんね。

鈴木:メール、高校の修学旅行で東京に来たとき、夜の電車で英語で絡まれ、サラリーマンが対応してくれた。東京の人って英語が話せるんだー。

一同爆笑

鈴木:これでもね、地下鉄で外人だからみんな笑ってるけど、俺、バス乗れなかったよ。博多のバスは一律料金じゃないから、後ろ乗りで整理券ですからね。

仲俣:東京でも前乗りと後ろ乗りで違うんですよね。

鈴木:だから初めて受験で高田馬場のバス停に着いて、「東京のバスは前から乗るんだろ、俺知ってるよ」って前から入ったら、それが前払いであることを知らなかったという。おっちゃんに止められちゃって。明らかに学生服だったから、その段階でお上りさんなんですよ。
感覚的には地方との格差が広がったかもって話は、でもリアルですよね。

佐々木:最近の売れ線のマンガって、何日「頃」発売って書いてあるんだよね。ちゃんと日付を書いちゃうと、ちょっと遅れただけでクレーム付いちゃうから。だからネットとかで情報は手に入ってるけど、モノが手に入らないっていうのは、不満としては大きくなってるんじゃないかな。

鈴木:みたいですね。アニメとか。テレビは結局キー局が全部普通に入る地域って、半分くらいらしいんですよ。人口カバー率でいうと9割とかいくらしいんですけど。それでも地方にいたら全部は見られないって人は多い。マニアックなテレビ東京の番組なんてのが、ネットでは話題になってるけど地方じゃ見れないっていうのがあるんですよね。そうすると、ちょっと悪いインターネットが出てきますよね。

柳瀬:YouTube様とか。

鈴木:とかね。

津田:多分、地方の人ってYouTube使ってないんですよ。Amazonが典型的で、使ってるのは都市部の人。忙しい生活を便利にするためのツールとして使っていて、地方の人だと、人口率より明らかに低いんですよ。東京にいる人の方が、情報への渇望感が増してるんじゃないかな。好例が、最近Amazonが始めた、「○時間以内に注文いただけると、当日お届けします」ってサービスで、あれは圧倒的に東京の人が使ってる。

鈴木:さっきは都市開発の話だったけど、物流、ネットの話で行けば、本当はこの10年一番変わったもののはずなのに、いまのは東京都地方の格差が広がってるって話ですよね。

津田:同僚が実家の青森に帰って行ってたのは、10時くらいでもう電気が消えてしまう。僕らの感覚からすると趣味に使う時間だけど、地方の人ってもう寝ちゃうんですよね。

柳瀬:まだ「セブンイレブン」だったりしますよね。

鈴木:7時−11時で。コンビニという名の24時間じゃない店舗がね。地方格差で言うと、佐々木さんとかどうですか。

佐々木:いまの津田君の話で言うと、東京にいて、これから地方に転居しようという人にはいい時代だってことですよね。でも都市部の方がAmazonの利用率が高いっていうのは意外でしたね。テレビで見ると、地方を含め、いま日本中の若者って、みんな同じ服装、髪型してるから、揃ってるってイメージの方が強かったんですよね。

鈴木:東京と地方ってのは別にやらないといけないし、東京の中でもいろいろあるわけじゃないですか。最近ぼく、東東京に住んでますけど、そこを見てて思うのは、みんな女の子がギャルの格好してるんですけど、中身はギャルじゃない。なんでかっていうと、要するにギャル服しか売ってないんですよ。多くの地方都市では、ギャル服しか売ってないからギャルの格好してるだけって子が結構いて。最近大阪行ってきたんですけど、ちょっとその傾向が変わってきてて面白かった。
メール、52歳の方。西東京に移り住んで出たことがない。セントラルパークの原宿がイメージの中心。お台場は人工的。

仲俣:今日出てない話題に、「郊外」って問題があって、昔は東京と地方、都市と農村っていうだけじゃなくて、郊外って問題があった。さっき津田さんが言ったように、文化的な資産とかがあるから、同じような郊外化、あるいは北田さんと東さんの「東京から考える」で言われているような工学化って現象が起きたときに、東京の人がよりツールを使いこなせちゃうってことがあるんじゃないか。地方都市の郊外は、東京の郊外とは違う。

鈴木:いわゆる郊外論、サバービアっていうのは、都市研究の中でも、アメリカとかでずっとやってたわけですけど。日本の郊外で言うと、越智道雄とか、小田光雄さんとかで学んだんですけど、僕、ニュータウン育ちなんで、郊外にできてくる新しい人工的な街っていうのもある。「東京から考える」でも、青葉台って街が挙げられてましたね。

柳瀬:都心にできている高層ビル群、あれって、僕は都心部に郊外を作っているように見える。

鈴木:そうそう。六本木ヒルズなんかの分析で言われているのは、あそこは電車で行けない土地なので、みんな郊外から車でそのまま来るんですよ。で、郊外のノリがそのまま持ち込まれる。汐留なんかでも、下のところでおばちゃんがコンビニ弁当食ってんだもん。

仲俣:麻布十番には行かないんだもんね。

鈴木:そういう意味でも、開発、街を作るという意味では、郊外に建っているばかでかいショッピングセンターが、六本木のど真ん中に建ってる感は漂ってますよね。と同時に、外国人のビジネスマンも多いので、ニューヨークとか行くと、ここはヒルズだと思えば怖くない、みたいのも若干ありますけどね。
今日の話、東京を中心にして色々あるなってことだと思うんですけど、佐々木さん、なんで僕らはこんなに東京を語りたがるんでしょうね。

佐々木:僕も東京論ってよく分からないんですけど、さっきTOKIOが流れてて、トキオから東京へっていうのが、なんかある気がするんですよね。昔は外国に向けてトキオって言ってたんだけど、今は内向きな言い方としての「東京」になってる。でも実は外国人は東京には増えている。その入れ子構造は面白いですよね。

鈴木:あー東京と何かを比較するという掘り下げ方があったのか。次週は「憧れの女性」がテーマです。

「東京」Part2
2007年02月07日(水) 09:13:54 Modified by life_wiki




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