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デイヴ・ザ・ダイバー

 ゲームカタログに追加されたので、私の肌に合わないローグライクなのに手を出してみました。Metacriticの点数が90点とやたら高かったことも私の背中を後押ししました。

 プレイヤーは主人公のデイヴを操り、昼はブルーホールという名の海域に潜って海産物を採取します。夜は採取した海産物を使って、寿司屋の配膳ミニゲームを行うことになります。こうやってお金を集めながら自身の装備を強化していき、より深い海に潜り、より希少な海産物を採る……というループでゲームは進行していきます。一読しただけでは理解が追い付かないコンセプトかと思いますが、このコンセプトからも想像がつく通り、作品全体にコミカルな雰囲気が漂っており、バカゲー要素も強くなっています。現に本作には様々な作品のパロディ(メタギア・ポケモン・たまごっち・美味しんぼその他諸々)がこれでもかと散りばめられています。
 ブルーホールは潜るたびに地形が変わるようになっています。本作が「ローグライク」と言われるのはそれが理由ですが、ランダム性はそこまで強くなく、「数パターンある全体構造の中からどれかが選ばれる」という程度だと私は感じました。また、ローグライク特有の「やり直すたびにまたイチから」という賽の河原要素もありません。デイヴを強くして探索や金策を楽にする強化要素は実に色々なものがあります(ゲームを進めていくと、養殖場や田畑のシミュレートまで可能になります)が、基本的にはどれも恒久的な強化要素です。
 
 さて私はといえば、一応最後まで本作をやり遂げることができました。ひとえに賽の河原要素がなかったからだとは思います。とはいえ、本作を十分に楽しめてはいなかったのは確かです。その理由はおそらく単純で、本作のアクション要素のほとんどが水中アクションだったからでしょう。そういうゲームだと言われればそこで終わってしまう話なのですが、水中のアクションというのはどうにも不自由の方が多い気がしてしまっている私には、最後の最後まで本作がピンと来ませんでした(この「水中面に対して何となく持っている嫌悪感」は、私のみならず多くのアクションゲーマーに多かれ少なかれあるものだと思っています)。すみません。
 付言するなれば、作中に登場させる魚介類をビジュアル面のインパクト重視で選出している節があり(巨大なサメとか、珍妙な深海魚とか、果ては絶滅した古代種まで出てきます)、その魚を使った寿司が美味しそうに見えない、というのも本作がハマらなかった大きな要因の一つであると思われます。どうせならちゃんと寿司にして美味しい魚介類で固めて欲しかったところですが、そうするとインパクトとバカゲー要素が大きく減退しそうなので、バランスが難しいところではあります。

 一応、上記のサザエさん的なループ作業に付随するメインストーリーもあります。ただメインストーリーだけをちゃっちゃか進めれば10時間〜20時間で終わるボリュームになっています。ハマる人であればストーリークリア後にもそれこそ何百時間と遊んでいられるゲームなのでしょうが、大事なのはハマるかどうかです。

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