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 2016年4月7日放映のアメトーーク、内容は「立ちトーク」だった。
 インターネットに転がっている番組宣伝などには「半期に一回の立ちトーク」などという告知文句が踊り、他の回よりもおもしろい回であるかのように喧伝されているが、有り体に言えばこれは嘘である。
 立ちトークは、近時にスペシャル回などを抱えて余裕がない時に放映される「スタッフが手が抜ける」回である。現に今回も翌日の4月8日にアメトーークとロンドンハーツの合体4時間スペシャルが予定されている状態での放映だった。
 通常回のアメトーークのようにテーマを決めることをなく、しゃべれる芸人を一定数集めて、比較的自由にしゃべってもらうのが「立ちトーク」の構成である。スタッフは、まずテーマを考える必要がない。実力のある芸人を呼べばある程度おもしろくはなるので、テーマに沿った人選もあまり考える必要がない。「テーマフリーで自由にトーク」と言えば聞こえはいいが、悪く言えばスタッフが芸人に内容を丸投げしてあまりおもしろくするための努力や工夫をしなくていいということなのである。
 立ちトークが他の回よりおもしろいと主張しているかのような宣伝文句は、この点を糊塗するためのものに過ぎない。

 なので、芸人たちがスタジオで話す面白エピソードのおもしろさがそのまま番組のおもしろさに直結する。演者のエピソードトークに依存しているという点では「すべらない話」にも近いが、すべらない話よりはスタジオにいる芸人たちがガヤやツッコミで有機的に絡み合ううえに、すべった場合の笑いもあるので、幾分マシである。
 番組側が事前にどの程度台本を考えているかは正直よく分からない。芸人たちが自然に絡み合っている様子を見ているとそこまでガチガチな台本はなさそうである。あったとしても、きちんと守らなくてもいいのだろう。おそらくスタッフと放送作家は、事前の打ち合わせで出演芸人たちからどんなエピソードがあるかを聞き取ったうえで、その取捨選択と順番決めぐらいしかしてないのではないだろうか。そういう意味でも、裏方は多少楽ができるのだろう。

 芸人たちのパフォーマンスだが、山崎(相席スタート)と田中(アンガールズ)はもっと前に出ていい。岩尾(フットボールアワー)も同様である。特に岩尾は隣に相方の後藤が配置されていたのだから、どう転んでも後藤の的確なツッコミで笑いが起きたはずである。後藤は岩尾があまり目立つ動きをしていないのにトークの流れを止めてまでツッコミを入れ、なおかつウケをとっていたが、それぐらいの腕はあるのである。もっと、信用して頼っていい。
 後藤のみならず、宮迫もフジモンもいたのだから、山崎も田中も、たとえ前に出てやらかしたとしてもそのへんに助けてもらえただろう。ここで開けっぴろげにいけるかどうかがバカ売れするかどうかの分水嶺であるため、頑張ってほしい。
 それと、山崎は今回も「ちょうどいいブス」というキャラクターで売り出していたが、本人がそう言われることにあまり乗り気じゃなさそうな感を受けた。そうだとすれば、「顔はちょうどいいブスなのに本人はブスと言われるのが不本意」ということになり、キャラのちょうどいいブスではなくマジのちょうどいいブスになってしまう。
 だとすればますますそのキャラを売り出すなのべきであるが、本人がそのキャラを売り出したくなさそうだからジレンマに陥っている状態なのである。とはいえ波に乗れないと、あっという間に置いてけぼりにされるのが芸能界である。もっと、自覚的になった方がいいと思う。

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